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父ちゃんより1日多く生きるのが目標

ここ最近、ジャンボ宝くじをひっそり買っている。
1等が当たったら父ちゃんに半分あげる。

仲のいい友人には
「お父さんそんな大金もらっても喜ばないんじゃない?」って言われる。

友人は父ちゃんに会ったことはないけど、

それはなかなか核心をついている。


父ちゃんはものをあまり買わない人だ。
使えるものは古くなってもずっと大切に使うし、

家具など作れるものは自分で作る。


人からの貰いものや私が捨てようとしていたものを拾ってきては

物に息を吹き込んでいる。


野菜や米も作る。
ど田舎の不便な街で、日々楽しそうに生きている。


だからなのか、毎年父の日や誕生日に欲しいものを聞いても

特にねえなあ、と言われてしまう。
 

そんな父ちゃんが果たして何億かもらって喜ぶだろうか?


まったく喜ばないということはないかもしれないが、

きっと100万円も使いはしないだろうな。



そんな友人もお母さんを大切にしているから
時々、私たちにできる親孝行ってどんなことだろうね?と話す。


三十路過ぎた娘たちの最高の、全力の親孝行とは。


孫を抱かせてあげるとか、犯罪者になって新聞に載らないこととか?

子を持つ予定のない私と独身の友人には、孫はハードルが高いぞ。

新聞云々は人として大切なことだけど、それを最高の親孝行とまでは言えなくない?

却下します!

やり直し、再提出!!
もう少しさあ、なんかあるでしょ?!


しばし悩んで


「親より先に死なない」を目標とすることとした。

病気や事故、事件。
親より子どもが先に亡くなってしまう場合もあるけれど

できるだけ避けられるように努力をしよう。

でも、父ちゃんが死んだら悲しすぎて生きていけるか自信がないから

父ちゃんより先に死んでしまいたい、とゴネる私に友人は言った。


「ならば、親より1日長く生きろ!1日だけ耐えるんだ!」

「うわあああーん、わかった、1日だけなら。。。」


従兄弟や同級生が地元で就職し、結婚し家を建てて

孫を抱かせているあいだ

私はろくに実家に寄り付きもせずたいした孝行もしないまま

都会で好き勝手に生きてきたのだから、

せめて父ちゃんが死ぬまで私は死ねない。


でも父ちゃんが死んだら寂しいから翌日死にたい。。


私の目標は定まった。
「父ちゃんより1日多く生きる」


投げやりだったり諦めだったり
ときにもういいなあ、死んでもいいかなと思うこともあるけど

父ちゃんより1日だけ...歯を食いしばって生きる。



本当は何かあれば駆け付けられるくらいの距離に住んで、

ちょくちょく顔出して一緒にご飯食べて、

食べ終わったらテレビ見て新聞のナンクロを一緒に解いて。

そんなふうに過ごす何気ない時間が、何よりの親孝行なんだろうな。


それができない私はやっぱり親不孝者だと思う。

年に数日帰省するとして

あとどれくらいの時間を父ちゃんと過ごせるだろう?

そう思うと居ても立っても居られない気持ちになる。



まだ宝くじは1万しか当てたことがない。

私、できるだけお酒の量を減らして、野菜をいっぱい食べて

よく寝て運動して、そのうち1等当てるから


父ちゃんはまだまだ元気でいてね。

1等は無理でも特別賞で温泉にでも行こう、約束だよ。

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