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【解剖学】腹部解剖の本質を理解する④


こんちは!ねこのてです!!

 やー、今回は絵もたくさん描かなきゃだし、伝えようとすると文章難しいし、文才のない私には難しいテーマでした。
まぁ今回はですね、前回告知していたように、
「軸を意識した腹部臓器配列の知識を使うと、どのように画像を見る目に変化があるのか」をチラッと見ていきます!血管造影や単純写真など、画像上は輪郭の見えない臓器が想像できるようになるはずです。訓練していかないと身につかないので、ニュアンスだけでも伝わるといいなと思います、、

じゃ、さっそく


CT、MRI

これは、下の図のイメージを持っていただければ比較的イメージしやすいかもしれません。

「配列の軸」と、「臓器の軸」、「脊椎を中心にして幅や高低が変化する腹腔という箱」。これらを意識して腹腔という空間の形態の変化と、臓器を見てみてください。
頭尾方向に連なるスライスの一つを抜き出しているでちょっと伝わるか心配ですが、
どのスライスも、こんな感じの軸のイメージを持ってください。

https://www.miyagawa-hospital.com/information-department/houshasenbu/ct/fukubu-ct/より引用

どの臓器も頭→尾にスライスが進むにつれて、腹腔の左上→右下の方向に椎体を跨いで位置するはずです。臓器の固定点をしっかり意識して画像を見ると、オリエンテーションを正確に付けることが可能です。冠状断、矢状断もまたしかり。
決して、ただマウスを動かしてスクロールしては身につきません。一つの臓器に着目して、どこが動かないか、軸なのかを意識して何回もスライスを上下して画像を見てください!

腹部単純写真

レントゲンには、臓器の輪郭が写っていないですね!

ここで、配列軸と臓器の軸を意識した上で、腸管ガスから臓器の位置のオリエンテーションをつけます。すると、

きっとこう見えるはず。
このイメージをしっかり持っていれば、単純写真から情報をつかむ目を養うだけではなく、エコー検査にも活きてきます。やみくもにプローブを動かして「おっ!出た!」ではなく、どんな位置にあっても狙って臓器が出せますよ〜!!
よくある十二指腸穿孔の造影剤漏れも肝臓下面に平行な造影剤溜まりの像となりますが、臓器の軸が斜めなので、必然的にその間のモリソン窩も斜めになるためなんですね。
・・・というように、なんで「こう貯まるか?」とか、「なんでここに空気が貯まるのか?」みたいな疾患や病態も、しっかり腹腔と臓器の軸を理解出来れば納得のいくものとなるんです。その情報を画像から取れるかどうか、は観察者次第です。

血管造影

血管造影もなかなか理解が難しいですよね、、

https://www.tkgh.jp/guidance/department/radiation/angiography-2/c/より引用

頑張って解剖と血管を覚えても、いざ現場でこのような造影画像を目にすると、どこか何なのか理解しにくいと思います。だって、白い背景にただ血管だけ出てるんだもの。わかりやすいわけがないんすよ!

でも、せっかくなので、これまでやったことを意識して改めて造影画像をみてください!

「真ん中に椎体があって、そこを乗り越えて臓器は位置するから、脾や胃底部はかなり背側にあるはず、、」・・・みたいな感じで、なんとか奥行きを意識しながら画像を見る感覚でしょうか。やはり、軸と配列を意識すると、血管造影の画像こそ「立体的」に見えてくるものなのです。

この感覚をより理解してもらうために、血管解剖の中でも複雑な十二指腸や膵頭部付近の血管解剖を例にとってみて見ます。

今回記事にはしませんが、理解を深めるために、上の図のように膵頭部発生過程の絵を用意しました。四角は膵頭部を模式的に表現しています。これまでやったように、時計周りに回転しながら膵は発達していくのでした(下図)

従って、膵頭部は血管も含めこのように時計回りに発達します。

この上の図の一番右側の図と、下の膵頭部血管解剖の図を対比させて見てください。

・・・繋がりが見えてきますか?

解剖の本だけでは理解しにくい以下のような血管解剖(赤矢印の病変は無視してください!)も、

https://trc-rad.jp/case/329/s6/329_6_2.htmlより引用

このように軸を意識した解剖を理解すれば、右の画像にだって「奥行き」と、「臓器」が見えてくるはずです。


まとめ

 よしっ!まとめに入ります!!
①〜④の記事を通して、「一元的にみる」といった意味が伝わるでしょうか?
一元的とは、「さまざまな事物が根源を一つにして見えるさま」とあります。単純写真、CT、MRI、US、血管造影など、さまざまなモダリティごとに医用画像の絵は確かに異なりますが、写している部位は同じなのです。その部位の解剖の根源を押さえて画像を見る訓練をすれば、これまで取れなかった情報に目がいくようになっていきます。
どの画像も、間接的ではありますが、臓器や血管が立体的に把握できるようになります。

 これから解剖を学ぶ新人の方はもちろん、解剖を覚えていてもこのような見方をしていなかった方など、「こんな考え方もあるんだなぁ〜」と参考にしていただければ嬉しいです!




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解剖を根源から学ぶための本をご紹介します。
今回の記事の参考文献です↓

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