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猫のたかは考えた「1日に満足すること」について

僕はまめ子といつも一緒にいる。僕は、まめ子の1日をよく知っているつもりだ。まめ子は1日に凄まじい量のタスクをこなす。まめ子は携帯のアプリを使って、やったことをチェックしていたりする。

僕はいつも、まめ子を尊敬している。本当にすごいと思う。僕がやっていることは、昼寝することと食べることと考えることだ。そしてまめ子とまめ子の夫がベッドに入ったら、そこから6時間以上、完全に僕は相手にされないことを知っているから、僕は深い眠りに入る。

そして朝が来ると、食事を食べて、そして考え事をして、そしてまた昼寝をする。その繰り返しだ。僕は基本的に食べることと考えることと、昼寝以外をすることはない。もちろん、化粧室には行くし、毛並みも整える。

僕の毎日はすごく充実している。僕のしているタスクは多いだろうか?僕にとっては十分多い。だって、これで1日が十分持つんだから。これ以上のタスクをするとなると、僕は昼寝の時間を削るか、考え事の時間を削らなきゃいけなくなると思う。

まめ子とまめ子の夫が働きに出るので、以前、僕も働きに出ることを考えた。でも、僕が働くとなると、僕はおそらく考え事の時間を減らすことになると思う。だって、昼寝の時間を減らしちゃったら、体力まで落ちてしまいそうだから。

まめ子は、1日にいろんな活動をしている。人と会ったり、話したり、ものを書いたり、片付けたり、掃除をしたり、運動したり、料理を作ったり、とにかくいろんなことをしている。僕はまめ子のタスクの量は、半端なく多いと思う。けれども、まめ子は1日を終えた後に「どうして、私は1日もあったのに、これだけしかできていないんだろう?」というふうに思っていることがあるから、全く不思議だ。

まめ子は自分がものすごくたくさんのタスクをしているのに全然認識できていないのか?まめ子は常に変化を求めている。目に見える変化だ。大きな変化だ。

まめ子はこの間、2時間をかけて、新しい料理を作った。まめ子初挑戦の料理だ。僕は横でずっと観察していた。ものすごく時間がかかった。でも、まめ子の夫は、料理を喜んでくれた。食べ終えて、後片付けをした。そして、僕は心の中で、まめ子すごいぞ!と拍手を送った。

それなのに、1日が終わった後、今日は何もできなかった・・・みたいなことを言っていたからびっくりした。まめ子は2時間かけて料理を作った。それはすごく良かった。なのに、食器を洗って、食事を終えると、なんとまめ子はその2時間を消したんだ。この僕が、ちゃんと見ていたっていうのに。

僕は毎日、昼寝と、考え事ばかりしているけれど、その時間は、瞬間瞬間消えていく。僕が昼寝と、考え事をしたからって、何かすごいことが起きているか?って言われれば、何も起きていない。僕の世界は変わらず、平和に動いている。僕の存在に気づいているのは、ほんのわずかな人間だ。でも、僕は昼寝と考え事をしたことに満足している。

僕が昼寝と考え事をしても、だれかの空腹が満たされたわけでも、どこかの誰かの命を救ったわけでもない。誰も何も変わらない。でも、僕が満足している。まめ子と同じこの世界、地球に生きる一つの生物が、昼寝と考え事をすることで、満足した。これは、すごいことじゃないか?って僕は思うんだ。

この世界に、命ある生き物が、一匹満足した。これは、すごいことじゃないか?僕はすごいことだと思う。

地球の中の命がみんな自分に満足したら、僕はすごいことになると思う。だから、少なくとも、僕が僕に満足している。これは、すごいことじゃないか?

どうしてまめ子は1日を満足することができないんだろうかと不思議に思う。僕は毎日に満足しているんだ。でも、まめ子はどうも、今日に満足するのを拒んでいる。僕には全く理解できない。

僕は例え1日中昼寝したって、1日に満足する。僕は1日中食べ続けていたって1日に満足する。僕は1日中考え事したって、1日に満足する。誰かが君の1日はよくできたよというわけじゃないんだ。僕自身が僕の人生を全て肯定すると決めているし、僕自身が満足するっていう風に決めているんだ。

寝る直前になって、僕は毎晩のようにまめ子のため息を聞いている。僕は1日も早く、まめ子が今日の1日に満足する人生を送ってほしいと思う。僕はまめ子に何かすごいことをしてほしいなんて、全く思っていない。ただ今日1日満足してくれたら、それだけで嬉しい。この地球上の命が、僕だけでなく、2つの命が満足したことになるなんて、僕は、すごいことだと思う。

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