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猫のたかは考えた『安いからという理由で大量買いをすること』について

まめ子はこの間、「ただでもらえた」とか言って、焼きそばのカップ麺を2つ、家に持って帰ってきた。僕は、そのことがすごく不思議に思った。なぜなら、まめ子の家は食べ物で、既に溢れているからだ。

まめ子のパントリーは食べ物がびっしりだし、まめ子の冷蔵庫も、食べ物でびっしり。冷凍庫も、食べ物でびっしりだ。僕はまめ子が冷庫を開けるたびに、顔を突っ込んでいるから、その在庫状況はよくわかっている。本当に言葉通り、びっしりなんだ。だから、更にどうして、焼きそばのカップ麺が2つ必要なんだろう、と思ってしまった。

まめ子は自分の家に十分過ぎるほど、食べ物があっても、タダでもらえるからという理由で、もらってきた。まめ子がこれまで、焼きそばのカップ麺を食べているのを、一度も見たことがない。まめ子は作り方がよくわからないかのか、焼きそばじゃなくて、ラーメンみたいになっていた。お湯の捨て方が、わからなかったようだ。

まめ子は、自分の家に十分過ぎるほど、食べ物があっても、特売のセールがあったりすると、さらに買ってくる。まめ子が大量買いをした時は、すぐにわかる。玄関の扉がしばらく開いているからだ。まめ子の両手に、いっぱいに持っているから、扉を開けっ放しにする。僕にとっては、ハエが入っぱい入ってくる、チャンスだ。

そして、まめ子は大量に買ってきて、冷蔵庫に入れるスペースがなくなって、パントリーにも入れるスペースがなくなってくると、なんと、僕の場所にまで侵入してくる。最初にこのことが起きた時は、僕はびっくりした。その日、昼寝から目覚めたら、まめ子の食べ物が、僕の部屋にたくさん置かれていたから。

以前、まめ子は韓国のりをなんと48個も買ってきた。1
袋12個入りの個包装の韓国海苔だ。賞味期限が近いということで、かなり破格で売っていたそうだ。まめ子はそれを4つも買った。12 × 4で48個だ。やたらと軽そうだけど、やたらと場所だけとる。

まめ子が、その韓国のりを開けて食べてるのを見た時に、プラスチックの容器ばかり大きくて、中身が全然ないことにびっくりした。あんなにも僕の場所をとっていたのに。すごい量のプラスチックを使ってるけれども、実際の海苔の量はわずか。風が吹いたら飛んでいきそうな量だ。どうして、こんなにたくさんの容器を使う必要があるんだろう。僕には全く理解できない。

ちなみに、安いものをたくさん買ってくるのは、まめ子だけじゃない。まめ子の夫もそうだ。まめ子ほどではないものの、まめ子の夫も、たくさん買ってくる。

今は、まめ子の夫が買った炭酸水が、僕の部屋に侵入してきている。まめ子の夫は、毎日、缶の炭酸水を飲むが、ある日、特売のセールがあって、ものすごく安かったらしい。24本入りの箱が、僕の化粧室の後ろに、どしん、どしんと2つ置かれた。

2つ置かれてから、もう随分と時間が経っている。まめ子の夫は毎日飲んでいるのに、一向に僕の部屋に置いてある在庫に手がつけられていない。ということは、キッチンのパントリーには、まだまだ相当な在庫を抱えているんだろうと思う。もちろん、僕にとっては邪魔にはならないから、気にならないけれども。でもどうしてこんなに、たくさん買ってこようとするのか、僕には全く理解できない。

今日は、僕の砂が大量に僕の部屋に置かれた。僕にはまだ砂がいっぱいあるというのに。まめ子は、すごく重そうに僕の砂を運んでいた。なんと2個買うと、ただで1個もらえるとかいうやつだったらしい。ものすごく大きな砂のケースが、僕の化粧室の背後に置かれた。

僕の部屋は確かに広いし、僕の部屋には、確かにスペースがある。そして、僕の部屋はまめ子のキッチンの近くだ。だから僕の部屋が便利だっていうことは、すごく良くわかる。でも、まめ子のパントリーも、冷蔵庫も、かなり大きい。それらが全て埋め尽くされて、僕の部屋に侵入してきてるんだ。それを考えると、まめ子は既に、どれほどのものを抱えているんだろうと思う。

僕には在庫を持つという考えが1つもない。僕は在庫がないんだ。僕は与えられた水を飲むし、与えられた食べ物を食べる。それだけだ。

まめ子は韓国のりをかなりのスピードで消費している。なんと1日3パックも食べることもある。そして、喉が渇いたと言って、大量に水を飲んでいる。塩を含んでいるらしい。安いからといって、大量に買っても、ものすごいスピードで食べるから、すぐになくなる。

一方で、まめ子の夫はそうじゃない。安いからといって大量に買っても、消費のスピードは何も変わらない。だから、まめ子の夫のものは、僕の部屋にいつも留まっている。

でも、まめ子のものは、僕の部屋からものすごい勢いでなくなっていくんだ。あんなにたくさんあった韓国海苔のプラスチックの山も、もう随分と小さくなった。

僕はまめ子とまめ子の夫が、僕の食べ物にどれだけお金をかけているのか知らない。僕の食べ物は安いのだろうか。高いのだろうか。それは分からない。

まめ子とまめ子の夫は、もし僕の食べ物が安く売っていたら、大量に買うんだろう。そうすると、僕の部屋に、僕の食べ物が大量に溢れることになる。僕はこれまでに、僕の食べ物の在庫が、僕の部屋に置かれたのを見たことは、一度もない。ということは、多分、僕の食べ物は、それほど安くはないんだと思う。




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