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「#noteフェス」セッションのゲストってどんな人?(6)平野啓一郎さん✖️松尾豊さん

いよいよ8日後に迫ってきた、noteの夏祭り「noteクリエイターズフェスティバル」。マンガ・料理・スポーツ・教育などの分野で創作を続ける方が、その魅力や工夫、考え方を私たちと共有してくれるオンラインセッションです。

ゲストのことをより知れば、トークを聞くのも楽しくなる!ご本人にはまったく無許可で、猫耳つきの紹介をさせていただいています。シリーズ6回め。
作家・平野啓一郎さんと、AI研究の第一人者・松尾豊さんの人となりを調べてみます。


平野啓一郎さん

『日蝕』で芥川賞受賞。『マチネの終わりに』が映画化されたことでも知られる平野さん。

作家を目指すきっかけの一つになった10代の出来事について、with newsサイトで少し触れられていました。

1歳のときに父親を亡くした平野さん。「父がいない」ということが普通ではなかった当時、保育園で父の日の似顔絵を描くことに戸惑いを感じたそうです。その複雑な感情をクラスの誰とも共有できないまま、中学生で多読に。生や死がどういう意味を持つのか一人で考えていた頃、ある作家の本に衝撃を受けました。

トーマス・マンの作品に出会い、「自分という人間をどう考えるか」ということを学んでいきました。彼の小説には、自分の心情に近いことが書かれていたんです。
単純な考えではありましたが「僕の悩みとか考え方は、学校の友達に話してもまったく理解されないけど、トーマス・マンというノーベル賞作家は僕と同じことに悩んでいる」と思うと、心強い援軍を得たような気がしました。

平野さんの「人間を考える」姿勢は、少年時代から変わらず今へと至ります。

朝日新聞の去年のインタビュー記事で、著書『「カッコいい」とは何か』について、平野さんの考えが深掘りされていました。小説を除き、この10年でいちばん書きたかったテーマだそうです。

「カッコいい」という言葉に対する平野さんの定義がこちら。

未知あるいは非日常の物事に接したときにもよおす「しびれる」「鳥肌が立つ」などの生理的興奮を発端として、「この人のようになりたい」「それを身につけたい」などと興奮した対象への同化、模倣の願望をいざなうもの――。

「共感」にも似ているようですが、それとは違うのだそう。『マチネの終わりに』の主役二人の「少々、浮世離れした」職業(クラシック・ギタリストと通信社のジャーナリスト)を例に出し、共感だけでは足りない要素を説明されています。

最近の『共感が大事』みたいな文脈に乗っている人たちからすると、『もっと等身大の登場人物にしたほうがいい』という発想になるでしょう。でも、読者は、『憧れる人の中にも自分と近い感覚がある』ということを発見したときに感動するのであって、等身大のつまらない人には共感しないんです。

これ、すごくわかります!数年前に椎名林檎さんのインタビュー番組を見たとき、彼女がこんなことを言ってました。「冷蔵庫の中身を覗いて献立を考えるのが好き。仕事から離れてそれだけに集中できる」。あるいは「曲を書くのは孤独。深く潜って自分の見たくない部分にも向き合わないといけない」。
もともと彼女が好きだからインタビューを見たんだけど、この言葉を聞いてよりファンになりました。彼女も私たちと同じなんだ!って嬉しくなった。

平野さんは現在、複数の新聞社で小説『本心』を連載されています。

「ーー母を作ってほしいんです。」

VF(ヴァーチャルフィギュア)の製作を通して、息子は死んだ母の「本心」にたどりつけるのか。そもそも人間は、「本心」を生きられるのか?

AIや仮想現実が発展する世の中で、「人間とは何か」を追求する作品とのこと。

平野啓一郎さん文字

その平野さんとトークするのが、人工知能研究の第一人者、松尾豊さんです。


松尾豊さん

Eテレ番組「人間ってナンだ?超AI入門」の解説をされていた松尾さん。

さらには、昨年公開された映画『AI崩壊』で、AI監修を務めておられます。

暴走したAIが、「生きていい人間」と「死ぬべき人間」をデータによって選別するという、かなりショッキングな内容を含んだ作品。

この映画の話を絡めた、日経ビジネスのインタビュー記事がありました。

今は、適職や結婚相手までAIが選んでくれる時代。ネット検索中に広告で別の記事へ誘導されるなど、自分の意思決定が以前より少なくなってきたように感じます。AIがどこまで人に関わるのか。AIをどう活用すれば、人は幸せを感じることができるのか。それは研究者だけでなく、私たちみんなで考えるべき課題だと松尾さんはおっしゃいます。

例えば、AIによって商品のレコメンドをもらったり、診療なども自動化されたりすることが、幸せにつながるのか。人がどのくらい介在するとお客さんはうれしいのか。あるいは働いている人は満足しているのか。これらは、とても大事な話です。だから社会全体で考えていく必要があります。いったん、方向性が決まれば、AIは目的を達成する強力な手段なので、うまく実現に近づけていくことはできると思います。

一方で、人間には複雑な感情があります。秘密を隠し持ったり、愛想笑いをするといった曖昧さを、一つの判断基準で一刀両断にしてもいいのか。松尾さんはそのことを、真夜中の赤信号に例えて戒めます。

例えば、小さな道で夜中に車も全く通ってないときに、赤信号でも渡ってしまう。悪いことだと分かっているけど、「誰も見てないしいいか」と思って渡ってしまう。
この「悪いことだと分かっているけど」という建前の部分、そして、「渡ってしまう」という本音の部分、両方があるわけです。そして、「渡ってしまう」ことだってあるよね、とまず認めないと、例えば、信号無視を検出するAIを作ったときに息苦しくて仕方ないわけですよね。

無人の赤信号を渡ったらブザーが鳴って逮捕された、なんて星新一のショートショートに出てきそうな話。便利さを追求するあまり、AIによる行き過ぎた統治社会にならないよう、私たちにとって何が幸せなのかを考え合わせることも大切ですね。

松尾さんは、AI分野での若い世代の活躍にも注力しておられます。最近、香川県の高等専門学校が、AIを活用した会社を設立したとのこと。

まさにこれからの世代が担っていくAI事業。松尾さんご自身も、学生が新しい研究や技術を応用するための「松尾研究室」を提供したり、学生に向けた「ディープラーニング勉強会」などを積極的に開催されています。

松尾豊さん文字


AI談議が白熱しそうな、平野さんと松尾さんのトークセッション。お二人をつなぐモデレーターは、note株式会社CEOの加藤貞顕(かとう・さだあき)さんです。
加藤さんは平野さんの著作『マチネの終わりに』の編集担当をされたとのこと。これはますます盛り上がりますね!

(noteフェスのトリで、加藤さんと深津さんのトークがあります。加藤さんの猫耳はそのときにお披露目しますね。むふふ)

noteフェスのトークセッションに、事前に参加申し込みをすると、視聴方法をあらかじめ知ることができます。また、zoomなどの背景に使えるオリジナル画像がもらえたり、登壇者への質問を優先的に採用される特典も。ぜひご活用ください。(下記noteからお申し込みいただけます)

最後に、これは見逃せない!と個人的に興奮した、平野さんのnoteがあります。

平野さんの小説『ある男』のオーディオブック化。朗読は声優の速水奨さん!マジで!?ジョジョ3部のヴァニラ・アイスの人ですよ。おまけに小説の主人公役は野島裕史さんです。サイクリスト声優。(弟も声優、野島健児さん。スキ。)贅沢すぎるキャスティングです。
上記noteで、平野さんと速水さんの対談と、朗読の試し聴きができますよ。素敵な低音ボイスにうっとり・・・。


最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたにいいことありますように。