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7つのひまわり - ゴッホとゴーギャン

国立西洋美術館で開催されている、ロンドンナショナルギャラリー展。
特に楽しみにしていたのは印象派のコレクション。
その中でもゴッホの「ひまわり」のストーリーに心打たれた。

「ひまわり」は複数枚制作されていて、花瓶に入った構図のものは7枚確認されているという。
展示を見るまでは、複数枚制作されたという点について、販売する為とか商業的な事柄が理由だろうと考えていたが、展示の解説で本当の理由知り、ますます「ひまわり」に惹かれてしまった。

ゴッホとゴーギャンはフランスのアルルで共同生活を送っていた。
ゴッホは共同生活をするにあたり、ゴーギャンに賞賛されたひまわりの絵で2人の部屋の壁を埋め尽くしたのだ。
ゴッホはゴーギャンとの共同生活にとても期待をしていたのだろう。
ゴッホにとって画家との共同生活は憧れだったという。
「ひまわり」の絵の分厚く塗られた絵の具からもゴッホの情熱が伝わってくる。
ゴーギャンも、ゴッホがひまわりの絵を描いている様子を作品に遺している。
しかし、そんな共同生活もすぐに終わりを迎えてしまい、耳切り事件と繋がったことを考えると、切ない気持ちが押し寄せる。

今回見た作品を含めると、私はこれまでに4枚の「ひまわり」を見たことになる。
日本で所蔵され残念ながら戦争で消失した1枚を除くと、あと2枚でコンプリートとなるが、その内の1枚は個人蔵で見ることは叶わないと思われる。
残るはあと1枚、フィラデルフィア美術館所蔵の作品。いつか見に行きたいと思う。

偶然にも旅行先や東京の美術館でゴッホのひまわりの絵に遭遇していた私だが、実は今までそれぞれの「ひまわり」に対面した時、どのような気持ちで向かい合えば良いのか分からず、決まってそわそわした気持ちになっていた。
さらには、何故「ひまわり」がゴッホの代表作と言われているのだろう、「星降る夜」だって素敵なのに、などとも度々思っていた。
今回の展示を見る以前は、「ひまわり」から溢れ出る情熱と鑑賞者である私に温度差があったのだろう。絵から溢れ出る何かを受け止めきれなかった。
しかし、ひまわりの絵に対するゴッホの想いを知った今は、「ひまわり」から溢れ出る情熱を受け取りたいと思う。
これからは良い意味合いで、今までとは異なる視点で「ひまわり」を見ることができるだろう。
そして、いつかアルルに行ってみたい。この目でアルルの風景を見てみたいという気持ちが強くなった。