見出し画像

何が起きてる? ドイツ代表の現在地

escape


低迷からの脱却へ。と言いたいところでも、2018年のショックから未だに立ち直れていない雰囲気のドイツ代表。

カタールW杯も、そんなに悪いわけではなかったし、どっちかと言えばスペインより良かった方だと思います。初陣が日本じゃなくてコスタリカなら、結果は逆になってたんじゃないかな。

バイエルンで欧州チャンピオンに導き、そのままドイツ代表を率いることとなったハンジ・フリック。

ホスト国となる2024年ユーロは、優勝が至上命題になるでしょう。しかし現状では不安の方が上回るクオリティ。6月シリーズではウクライナに3-3の打ち合い の末にドロー。そしてポーランドにウノゼロ負け。さらにコロンビア戦で0-2の完封負け。果たして何が起きてるのか。見ていきましょう。



ドイツ・クライシス

■メンバー的問題

今回は6月シリーズにて、様々なケースを挙げていこうと思うんですげ、まずは招集メンバー的な問題点から。

まず、ドイツのピークと言える2014年ワールドカップのメンツを振り返りましょう。

凄いですよ。ポゼッションやるならこれ以上いないメンツ。

今シティで話題となっている4CBなんですが、これに近いメカニズムで逸早くやっていたのがこの時のドイツです。大会序盤はラームを中盤で使って、ムスタフィを右SBでやってました。ウイングも、そのあおりというわけでは当時はなかったんでしょうけど、司令塔タイプのエジルにゲッツェをウイングや最前線起用。グロスクロイツとかシュールレとか、本家ウインガーはちゃんといたんですよ。他にもドラクスラーにポドルスキもいたわけで、彼らを差し置いて司令塔をウイングで使ってました。

普通にメンツやべー

当時はバイエルンがペップ政権下、天下を獲っていました。クラブの歴史上でも最強の時代だったでしょう。そして、そのバイエルンのライバルでもあったドルトムントからも有望な若手がたくさん生まれており、バイエルンの弱点をドルトムントで補うという、2010年大会における「バルサの弱点をレアルで補ったスペイン」みたいな感じでした。


時は経ち現在。メンバーはどうか。

大体こんな感じか。

ワールドカップの時からそうでしたけど、メンツ的に中央強めな感じ。特に左SBのラウムが上がって可変する形とかは、それこそ日本戦でやったビルドアップでして

あと最前線に入ることが多いニャブリやハヴァ―ツ、あと今回呼ばれたヴィルツも、ストライカーってタイプでもないので中盤のポゼッションに参加して威力を溜めたい。じゃあ誰が仕留めるの?の話。

一応ストライカーはいるって言えばいるんですよ。例えばティモ・ヴェルナーとか、今季のブンデス得点王になったニクラス・フュルクルク。

ただね、彼らを使うということは中盤にいるギュンドアンかキミッヒかゴレツカを外さないといけないというジレンマもあり、生粋のウインガーでもあるサネを外すのも勇気いる。優先順位はどうなのかでふるい落とした結果がコレ。戦術に合わせての選考=ポゼッションサッカー=バイエルンのサッカーにフィットできるかが基準なんだと思うんですよ。そこでぶつかるのがもう1つの問題。



■戦術的問題

例えば、スペインでマジのポゼッションサッカーをクラブの哲学としてやっているのはバルサくらいです。イタリアもカテナチオがセリエAの決定的文化かと言われたらそうでもない。ただ、いずれの国もクラブがやっていないだけで、哲学に理解はあるわけです。

じゃあドイツはなんやねんと。ドイツのお国柄の哲学は、ラングニックが主導としているプレッシングスタイルであって、ドイツの指導者も大半がその方向性。フリックもそうじゃない?

バイエルンのやっているポジショナルプレーはドイツのサッカー文化的に異色すぎる。今やっているスタイルに合うドイツ人自体がそんなにいない。

文化的にドイツとポジショナルプレーがミスマッチなところがありますが、ドイツ最強のバイエルンがそのポジショナルプレーなので、バイエルンの選手を中心にするとしたらそれをやる以外の選択肢が果たしてあるのだろうかと。そして今のメンツ的に2014年と違ってバイエルンの選手が多いわけではないので、ヴェルナーとかそうなんですけど、ポジショナルプレーとミスマッチな選手を主力として使わざるを得ない。交代で出てくるメンバーなんか特にそうなんですけどね。



■ピッチ上的問題

では実際に試合を観ていきます。分かりやすいところで主に失点シーン辺りを振り返ろうと思うんですけど、まずは3月シリーズのベルギー戦から。いきなりのベルギー先制点から。

ハイプレスを回避してロングボールですね。

オイオイ!!
あっさりとロングボールを潰せずに後逸。しかも結構中盤にスペースがある状態で!

デブライネがポストを受ける動きをします。ドイツの選手はみんな後ろ向きの守備ですね。これでデブライネに前向きで渡せたら、

デブライネにタメ作られる。

あ~、最悪。逆サイのカラスコはドドドドフリーで何でもし放題。

最悪な被カウンター対応なんですけど、個人的に気になったのが2枚目の画像のシーンですね。

ハイプレスしている割にはなんかスペース空きすぎじゃね?と。前に人だけいすぎて、後ろはスカスカ。キミッヒ1人でこの広大なスペースをカバーしている。だから3枚目で後逸してしまったときにキミッヒは対応で後手に回ってしまったと。無理やこんなん。

バイエルン組と非バイエルン組とでプレスが違っていたというか、バイエルン組の中盤は主に嵌めてコース切って回収という流れなんでしょうけど、その他の主にゲーゲンプレス組はその場でかっさらうつもりでプレスするんで、ここでの守備の共通認識がなっていなかった。カラスコ側が相当スペース空いていたじゃん。圧縮して奪うから、逆サイなんか捨ててナンボで奪いきっちゃえプレスだから、特にボランチとの意思疎通ができてないとただただスペース空けているだけの自殺行為になってしまう。

ベルギー3点目も

取り敢えず同サイド圧縮。

サイドは固めた。中でエムレ・ジャンがデ・ケテラーレを捕まえるよう指示。

オイオイオイ。簡単にスポットで受けられたぞ!

結果論ですけど、これはジャンが潰しに行くべきだったかな。トロサールがスポット入れば裏抜けるだろうなな予感はあったので、最終ラインが行くにはリスクがあった。ノープレスなら結果は同じなんだけど。
サイドに関しても、ジャンからしたら人数いるし嵌めているからそこで奪えるっしょ♪感覚でしょうね。でもプレスでサイドに追いやったのはバイエルンのメンツで、嵌めて裏蹴らせて回収した方が楽じゃね♪な発想だから、この場面は奪いきるより裏蹴らせた。結果統一できずにベルギーにスコーンとやられた。
フリック的には、バイエルンで指揮していたし黄金期の時にはスタッフだったわけだから、バイエルンに合わせたいが本音かもしれないけど、如何せん今のドイツ代表はそんなにバイエルンの選手が多いわけではないから合わせずらい。きちぃ。


これはコロンビア戦でも顕著に表れました。



■プレス的問題

「嵌めるため」だけなのか、「その場で奪いきる」のか。この2つではプレスの強度と周囲の連係、ポジショニングはかなり異なります。同サイドに圧縮するのがドイツの一応の守備ですけど、内容がバラバラなので圧縮していてもプレスが掛かっている気がまるでしない。

そこでコロンビア戦です。

早速ここで奪われます。オイオイ。
まぁ、これはいいです。問題はネガトラから守備陣形の形成。

ネガトラは早いですね。同サイドで圧縮できている。問題はその内容。嵌めるために泳がせるのか、奪いきるのか。

うわ!簡単にターン許してサイドチェンジさせた!!
同サイド圧縮の最大の弱点は逆サイが手薄になることです。意思統一できていなければ簡単にコレを許すことになる。




■トランジション的問題

どういう守備陣形を作ってどうボールを奪うのか。トランジションはカオスな時間帯です。どちらも攻撃の陣形、守備の陣形が整っていないので、この間に上手くいくチームというのは意思統一するものです。ドイツは致命的にトランジションにおける優位性を作れていない。

奪いきるなら、同サイドにスペースを無くし、相手を窒息させるつもりでなくてはならない。嵌めて泳がせるなら、周囲のマークは怠らず、スペースの管理はしっかりしなくてはならない。


なのですが、それができていないので簡単に崩されてしまう。トランジションを制することができていないので、それは当然攻撃の面でも影響を及ぼすこととなる。トランジションは攻守の繋ぎ目なので、ココが破綻していれば上手くはいかないでしょう。



■フリック的問題点

フリックとしたら、もう1年後に控えるユーロまで時間が限られているので、なんとかしないと開催国であったとしても悪夢を見るかもしれぬという内容。1年後のためにもう戦術隠してますならいいんですけど、見てる感じ今のドイツ代表がまんま現在地を表している感じなので早急に対応していただきたいです。でなければ、本当にドイツ代表から去る運命になってしまうかも。。。












!!!!!!!!






次回予告

その男、救世主なのか、はたまた悪魔なのか。ジョアン・ラポルタ



Thanks for watching!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?