見出し画像

新生ラ・ロハの船出/UEFA ユーロ2024予選:スペインVSノルウェー

カタールでの惨敗劇。

ベスト16入りはしたものの、ルイス・エンリケのラ・ロハは終わってみたら惨敗した印象を残して終えました。

まぁね、日本に逆転負けして、その後のモロッコにPKで負けて終えたという期待外れもいいところでしたが、ルイス・エンリケの旅は終えました。そして、ブスケツにアルバ、さらにラモスも正式に代表引退を発表するなど、デルボスケ体制を知る黄金期メンバーが去っていくということで新たなサイクルが始まります。そんな新生ラ・ロハの新たな指揮官になった人物がコチラ。

ルイス・デ・ラ・フエンテ。61歳。これまでのエンリケ、ロペテギ、デルボスケといった名のある監督というわけではありません。たぶんほとんどの人が「誰やこのオッサン」と思ったはずです。

選手時代も目立った成績を残してるわけではありません。一応、アスレティック・ビルバオが長かったみたいで、引退後もビルバオで監督してたみたい。
一番「ハッ!」とするのが2021年の東京オリンピックスペイン監督。あの印象薄そうなオッサンです。2011にビルバオそしてアラベスで監督を終えた後はずっと育成畑で指導していたみたいです。その育てたメンバーの集大成となったのが東京オリンピック。スビメンディとかオヤルサバルをずっと見てた人ですね。

そんなデ・ラ・フエンテの新生ラ・ロハの初陣を見ていきます。ノルウェー戦です。



シン・無敵艦隊の出航

■脱・バルサ

まずスタメンです。

ノルウェーはよく分かりません。ウーデゴールしか知らない。

公式記録では4-2-3-1ですけど、ほとんどロドリのアンカー状態だったので事実上の4-3-3。トップ下表記だったFWのイアゴ・アスパスが実質中盤の位置でプレー。オフェンス時は433でディフェンス時はアスパス上がっての442。


スペインにしてはハイプレスというより、4-4の2枚壁を作ってしっかり守りましょうよと。

これまでのスペインが、ポゼッションで圧倒できたこともありそもそもの守備機会が短かったこともあるんですけど、ここまでブロックを敷いてくるのも久しく見てなかったのでちょいと新鮮。

こういうところも含めて、完全に「脱・バルサ」に踏み切ったなと。バルサの選手がスタメンでは左のガビ:レッドフォルムとバルデのコンビ。右ウイングのオルモはカンテラ出身ということも加味すると3人しかいない。あとハイプレスというよりミドルプレスというか、そこはこれまでと比べたら違うところ。

ただ、ポゼッションを大切にしたい辺りは継続路線というか、そこに関してはスペインだなと。


デ・ラ・フエンテのサッカーを簡潔にまとめるとならば「古き良きバスクサッカー」。手堅いっす。極限リスクは最小限に留めて、サイドから素早く攻める。ちょっとデルボスケっぽいか?ですけど、あの時はチャビ&イニエスタがいたことで圧倒できたわけですが、バルサ産がいなく、むしろバスクの選手が増えてるんで、ダイレクトに手堅く見えるのかな。



■ビルドアップの設計図

ビルドアップに関してはそんなに変わっていないというか、まだ新体制1発目なので大きな変化をつけるのも難しいか。

基本的に、左が縦行きたいバルデと中入りたいガビなので、ここは補完関係が成り立って、サポート役にメリーノ。ペドリと違うのが、メリーノはレフティなので、低い位置からでも対角線にボールを入れることができる。

右はオルモが張って、最終ラインはカルバハル残しての3バック。左がこれまたレフティのラポルトなので、ここはスムーズ。
ノルウェーが4-1-4-1で組んで来るので、アンカー横もしくは最終ラインを引っこ抜く。アスパスでライン間をポジショニングさせて、隙あらば積極的に裏抜けろよ、ラインブレイクしろよってことなんでしょうけど、あんまり効果は見られなかった。アララ。


シンプルなサイド攻撃に、中盤で細かく繋いでサイドチェンジしていく展開がずっと続いて、先制点のシーンはまさにそうでしたね。

今、赤丸がメリーノなんですけど、ロドリがライン際でボール残して拾った場面ですね。

これをモラタが受ける。この状況ですでに、

逆サイのバルデがいつでも受けられる体制になっている。こういうところは実にスペインらしいですね。同サイドで崩せそうにならない時のために、逆サイへの迂回するルートは作ってあるところとか。デルボスケの時もカプデビラもそうだし、今のカルバハルもできるし。

これで展開できたことで、バルデは楽にクロスを上げられると。

こういうのはバルサ化以前、ホアキン全盛期の時からこういった逆サイへの展開を素早く行うための迂回ルート作りとSBのポジショニングはお家芸なので、見たまんまの「あっスペイン」です。

この得点場面では、ロドリにメリーノと中盤主要メンバーが飛び出していたので、フエンテも内心ビクビクしてたと思う。


極論言うと、エンリケからフエンテに変わったところで、スペインのビルドアップは大して変わらない。変わったなと思うところは、本当に多少の変化としてモラタをよく使っていたことかな。軸となるCFは置いておきたいんだと思う。

となると、CFを基準点に置くならばウイングの重要性はかなり大切で。右はオルモと途中からジェレミー・ピノが。左はガビ:レッドフォルムと交代でオヤルサバルが入りました。U24の時からフエンテはこのオヤルサバルは崩しの局面でポイントにしていたんですけど。



■新たな軸、オヤルサバル


ミケル・オヤルサバル

レアル・ソシエダの10番です。ウイング兼司令塔みたいなすごい使い勝手のいい選手で、年末に大怪我から帰ってきた選手です。

オヤルサバルのいいところはというと、まずガビとの違いは本職ウイングでありながら司令塔としてやれるということ。本職ウイングではないガビとの差別化はココです。

実際にオヤルサバルが入ってから流動性ある部分が増えてきていて、

今ココで楔受けました。ターンします。

ターンした。中央にポッカリとスペースが生まれています。もしくは縦にモラタでもいいし、タメ作ってから左のバルデでもいい。

中のセバージョスを選択。

例えばコレ、ガビだったら中だけだったと思う。これは本業がセンターだからどうしても思考がそうなってしまう。だから絶対に中は閉じられていたんだけど、ウイングであるオヤルサバルの場合は縦があるのでそこも封じつつ、同時にCF見ないといけない。最終的に合わせるのはCFだから。



■無敵艦隊の船出の行方は

初陣だけ見ても、「スペインはスペインだな」と。そんな印象のみ。
さっきのシーンの続きなんですけど、セバージョスがあそこで1度カットされたんですけど

これをロドリが拾う。オヤルサバル的には逆サイへの展開を試みたんでしょうけど、左が行き詰まっていたからでしょうね。最初の先制点のシーンもそうでしたがカルバハルがサイドチェンジするための迂回ルートを作れている。

オヤルサバルとセバージョスで繋いで

右ウイングに入ったピノへ。ここはウイングで1発裏抜け出来るのでカルバハル使うよりもピノで。


こういったシーンの連続なので、「スペインはスペインだな」と感じるわけです。ルート作りの上手さはどの世代でも変わらん。CFは欲しいだろうなとは思いましたけど、いつまでモラタで行けるのか。モラタ以外が、この日デビュー戦にして2ゴールのホセルとか、ベティスのイグレシアスとかベテランばっか。たぶん、エンリケとかデルボスケと違ってゼロトップはやらないと思います。しっかり最前線に軸を作っておきたいのかな。ジエゴ・コスタがこういう時に欲しい。

そうだ、大きく変わったのは守備で、これは最初にも書きましたがブロックをしっかり築いての守備でした。ただカウンターを簡単に喰らっちゃう辺り、まだ試行錯誤中かな。あとやっぱスペインというか、ポゼッションで優位作れるので、そもそもの守備機会がそんなにないことも含めて。ユーロも1年半後なので、ソリッドなチームに仕上げてくんじゃないかと思います。




次回予告

「ブスケツ:アンカーとしてのステップワーク」か「デンベレ:正対の作り方」あたりでもやろうかな


Thanks for watching!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?