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鋭敏な感覚との付き合い方 人為由来編

私は日々何気ない生活を送るだけで、色々な感覚をフル稼働してしまうらしい。私の意思とは関係なく、何でもかんでも、鋭敏に感じ取ってしまう体質を持っている。
気候や環境の変化にも敏感で、すぐに体調を崩してしまう。感じ取るだけですまないところが、悩ましい。

娘も、赤ちゃんの頃から特定の刺激に反応しており、言葉で伝え合えるようになると、感覚はかなり鋭敏だと教えてくれるようになってきた。
夫は、私達がピーチクパーチク言うものだから、周囲をじぃっと観察して「なるほど、これか?」というものに気がついたり「無理だ!わからん!」とお手上げ状態になってみたりだ。彼のすごいところは、気のせいだとか、無かったこととして扱わないでいてくれるところだ。
3人家族なので、2対1で「むずがり派」が多数になるという珍妙な環境のため、何を信じればいいか、混乱もするよね…。

私が悩む刺激には、人間の活動の影響によるもの、気候の影響によるもの、大きく二つに分けられる。
今日は、人間の活動由来の刺激に対する、我が家の付き合い方について、書き留めておきたい。

私の苦手な場所

とにかく空港…

夫との二人旅も娘と3人の家族旅行も大好きだが、大きな空港が怖い…。
新千歳、羽田、関空、セントレア、那覇…。
石垣空港くらいの規模だと、お土産を見る余裕があった。暑くもなく、人がいない時期だったことも大きいが…。
基本的に、旅行は一般的な長期休みを避けて閑散期の平日に行くことにしている。盆と正月の空港には、足を踏み入れたことはない。残念ながら、目的地に到達できる自信はゼロだ…。

閑散期であっても、空港は常に情報の嵐だ。
複数言語の音声案内、ひしめく人間、看板や標識や広告の文字や色のオンパレード…。
速攻でどこか静かな場所に座るか、うずくまりたくなる。目も耳も塞ぎたい。
そこに、最近は、全ての看板を読んで理解したい(気にいると暗記したい)娘の手を繋いで、ひっぱりながら目的地まで移動しなければならない…。何度かApple Watchに、心拍数の警告を出されている…。

近年「カームダウンスペース」なるものが導入された空港もあるようだが、実物を見ていない。広い敷地で娘アリの状態で辿り着ける気もしない。
具合が悪くなりそうな時は、壁側を向いたベンチで耳栓をして目を閉じて深呼吸するか、トイレの個室で深呼吸だ。

毎回、飛行機の自分の席に着くと、就職の専門試験に合格した時以上に安堵して、額と首の汗を拭いている。この様子から、客室乗務員さんに、体調を心配されることも度々だ。ありがたい申出なのに、毎回ドギマギしてしまう。

色々な人混み…

20代までは、買物や飲食に出歩くのも好きだった。
30代に入って、自分の好きなものが固まってきたし、ネットで何でも買えるようになって、外出頻度が急激に減った。色もサイズも理解しているので、特に苦にならない。
時間を使うなら、家や庭で創作や手直しをしている方がしっくりくるようになった。

その後、妊娠出産からのコロナ禍、鬱病再発ときたら、人混みは恐怖の対象にさえなった。
人混みに出歩かないだけで、本当に疲れないし、風邪もひきにくい。一度風邪をひくと、数ヶ月の吸入剤が欠かせなくなるので、風邪への恐怖心は同世代の多数派と異なっていそうだ。
小児科も怖い。いつも混雑していて、子供の病気はうつると辛い…。数回の一発アウトを繰り返し、娘の通院担当は夫になった。彼は、本当に風邪をひかない!!なっても数日の鼻風邪で治っている!

娘を産んでから、育児と家事になけなしの体力を振り分け続けているので、常に最小限の体力で物事を遂行できるように、執拗に考え、取組むようになってしまった。
私の体調のせいで、小さい娘まで引きこもらせたくはないし、人間の活動の面白い部分(季節や文化を感じるものは特に)も一緒に体験していきたい。
賑わう場所に出かけたい時は、人のいない時間帯を考え、狙って、最低限の滞在で済むように工程を計画している。

商業施設の有料キッズスペースは、娘の好きな遊びがあるため、月に1回程度、家族で出掛けている。
このお出かけは、施設全体の人がまばらになる閉店間際の18〜19時位を狙って行く。遊び場は、日中は激混みで予約制になるらしいが、この時間帯は貸切状態になる。それでも、私はしっかり耳栓着用だ。
たまに、金切り声を上げたり、駄々を捏ねて泣き叫ぶ子供を前にすると、そのエネルギーに母子で圧倒されている。娘は眉間に皺を寄せて「なんで泣いてる?泣いても何もならないよね?」と聞いてくる。凄まじく正論だ。
脱線するが、娘は眠くて泣くことはあっても(寝るの大好き)駄々っ子で暴れたりしないらしい。
「えー…(-“-)」とふてくされつつも、「わかったー↓ じゃ、◯◯の時は、△△してもいい?」と交渉してくる。最後は「約束だよ!ちゃんと覚えてるからね!」と念も押される。合理的な理由を説明できれば納得できるし、次回の約束を交わして、次の行動に切り替えていく。この辺の切替は、大人も学び直させてもらうところが多い。

工事現場

予め情報を持っていなくても、僅かな音や匂いで数百メートル離れた工事現場の存在がわかったりする。
人間でこれなんだから、人間のそばで暮らす臭覚の鋭い動物達は、どれだけ苦痛だろう…。
風向きや体調にもよるが、重機や発電機の排気ガス・土・塵の匂い、重機が動いている音や振動を感じると、布マスクで匂いや塵の対策をしている。
古めかしい建物の解体工事に、囲いをせずにガツガツ壊している様子を見ることもある。吹きつけや化粧板のアスベストなんかは、含まれてないのだろうか…調べたのかな?と不吉なことばかり考えてしまう。
アスファルトを熱した時の匂いは、子供の頃は何故か好きだったが、今は一目散に逃げている。
転圧をしたり、はつる作業をしている方を見ると「こうやって現場で働く人がいないと、何も作り出せないよね…」と思いつつ「ごめんなさい!私は耐えらません…!」と逃げている。
仕事の関係で、どうしても近づかなければならない時は、マスクと耳栓でやり過ごすしか無い。
帰宅中〜帰宅後は、いつになく頭が痛くなる…。

娘も重機の音は苦手らしく、両耳をふさいで「あーーー!」と言って紛らわそうとする。顔も強烈に、しかめっ面だ。この我慢しない、取り繕わない嫌がり方を見て、「嫌なものは嫌だよね…」と安心した自分もいる。
もう、駆け足か抱っこで、2人でスタコラ逃げるしかない。

大型機械

木や金属を加工する工房は、珍しい機械がたくさんある。稼働していなければ、興味津々で見て回ったが、作業音には耐えられなかった…。
木材を切断する巨大な機械は、木を切る作業音もなかなかだが、運転スイッチを入れただけでも低音と高温の両方が絶えず聞こえてくる。糸鋸も振動に耐えきれない…。金属加工は、グラインダーのような削る作業音に、叫びたくなる。
溶接も、光と音と匂いのパレードだ。
家具制作や彫金、板金等をしている職人の方は、日々この環境で緻密な作業をしている。決して真似できない。
新聞を刷る工場に行った時も、印刷機の音や振動に終始ビクビクしていた。
私は少しの滞在で、私は心底フラフラだ…。

皆そうだと思ってた…

私は、視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚の順で違和感を感じやすい。触覚と味覚は、神経に到達させるかどうかを、自分である程度は選別できるため順位を低く感じているだけかもしれない。環境変化の影響を受けやすいのか、自分の中で刺激を増幅してしまうのか、体調を壊しやすいし、引きずりやすい。

私にとっては幼児の頃から当たり前のことで、20代前半まで、皆わざわざ言わないだけで、世界中の人間は多かれ少なかれ、皆同じことが起きていると思い込んでいた。だって、私も口にしないから…。
夫と生活する中で、彼は平気でも私だけが随分とむずがっているらしいとわかってきた。月日が流れ、生まれた娘もむずがり屋さんらしいと発見した。

私の場合だが、「あ…来たな」と思った時に、出来る限り逃げたり、防御したり、頭痛薬や吸入剤で対処するくらいしか対処法がない。しないよりはマシ。根治はできないと気がついている。
亡き父もこれらの傾向はあったが、「逃げる」「緩和策を実行する」というような、自分のコンディションは保っていいのだ、という認識が社会も個人も受け入れられなかった結果、生活の質を諦めてしまう負のループに滞在していたと思う。

現実社会では、声に出したって治らないのだから、声にする意味もないと思っていた。これ以上、変なやつとして注目を集めたくないので、常に静かに、むずがり、痛がってきた。
noteでは、仲間が見つかるかもしれないし、誰かが悩んでいたら似たようなやつもいると示せるかもしれない…と思い書き留めている。

外出の必需品

何はともあれ、ノイズキャンセリングイヤホンが手放せない。重要度は、iPhone≒イヤホン>ハンカチ>常備薬>水>>>財布の順だ。財布はなくても何とかなる。他は変えが効かない…。
私はApple製品を使用している。公共交通機関では必須だ。はじめて使った日の外出は、最高に快適で、もっと早くにこの技術があれば…と思った。
子供と一緒に外出しなければならない時は、安全のために周囲の音にも敏感になっていたいので、会話の聞こえる耳栓をつけている。耳栓は小さく、無くしやすいため、複数所持している。夫は「耳栓って、こんなに色々あるのか…」と、私の選ぶ耳栓に興味津々だ。

次に、綿の大きめのハンカチも必需品だ。自分の好きな香りのエッセンシャルオイルを数滴つけてカバンに入れている。ベルガモット、ラベンダー、ライム等が好きだ。
公共交通の車内の匂いに気分が悪くなった時、鼻と口を覆って息をしている。頭痛や吐き気に襲われないように、自分の鼻を騙して、やり過ごしている。
私の場合は、つわりの気分の悪さにも効果があり、随分と助けられた。コロナ禍を経て、UNIQLOの布マスクも匂いをシャットアウトする道具として活用している。
体調が最悪の時は、エチケット袋も持ち歩いている。娘の外出セットにも常備している。幸いにも出番は来ていないが、万が一の事態を多少救ってくれるハズなので、不安が一つ減る。

その他、メガネも持ち歩いている。視力は日によって0.4〜0.7と裸眼でもギリギリ生活できるため、普段はあえてメガネをしていない。
見えすぎると、考えすぎたり、気になりすぎて落ち着かなくなる。普段は、ややはぼんやりした世界で生活している。何かの作業時や映画館の中等、クリアな世界に戻りたい時だけメガネをかけている。
来年は、仕事と日常生活の両方で使えそうなサングラスを新調したい。陽の高い時期の外出用に、お試しでサングラスを取り入れてみたところ、目の疲れや頭痛の軽減に一定の効果を感じた。

夏場は、このほかに紫外線や高温対策グッズが増える…。どんどん装備が増えていくし、見た目も怪しいヤツになってきそうだが、自分のことは自分以外に救ってやれないのだから、しょうがない。
人間の活動由来の刺激は、防御のための装備によってやわらぐことがわかったので、これからも臨機応変に備えを整えて、生活の質を保っていきたい。

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