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催眠と心理学 歴史編その1

こんにちは、猫ねっこです。

本題に入る前に先ず、私は心理学や宗教学を主として学んだ人間ではございません。単なる趣味程度の者故、誤り等多々あるかと存じます。その点何卒ご容赦ください。

さて、催眠と心理学、それは催眠療法というものが存在するくらいに深い繋がりが見られます。
今回はその繋がりを歴史的側面から少し追ってみます。

抑(そもそも)、科学、即ち論理的解釈を重んじる概念が希薄な時代では、催眠に於ける諸現象の活用は宗教の担う範疇でした。それは神の奇跡や仏のお慈悲、呪い(まじない)師や行者が繰り出す呪術や神通として捉えられていた様です。また錬金術的なアプローチ、即ち化学反応やその効用を主観的并(ならび)に経験則的に活用するとでも言えましょうか、その様なものが東西に広く散見する事はよく知られている事でしょう。また、キリスト教圏に於いても秘教的実践(敢えて申し上げればトランス状態の活用等)は少くともギリシャの時代から存在し、往々にして異端と見做されていたと聞きます。

時は降って、於16世紀フランス。
メスメル氏(フランツ・アントン・メスメル氏、医師)によって“動物磁気説”なるものが提唱されました。それは催眠下で起こる諸現象における物理的な介在者としての“磁気”を仮定した説であり、催眠への初めての科学的なアプローチともされています(催眠-hypnotism という言葉の登場はもう少し後の時代です、その当時は動物磁気、メスメリズムと称されていたのでしょう)。

然し、動物磁気なるものはやはり存在しなかった様で、その諸現象は否定しないものの動物磁気の介在はフランス王立アカデミーによって否定されました。民間レベルではその研究がその後も続いたようですが(戦間期のドイツに於ける飛行クラブの様なものでしょうか...)。

そこで、その心理的側面に着目した解釈がなされてゆきました。動物磁気の仮定の下ではありますが、ファリア神父(ジョゼ・クストディオ・デ・ファリア氏)は磁気化(催眠)に於ける術者(催眠を施す者)よりも被術者による要素が甚だ強い点※、そして動物磁気を否定する立場のジェイムズ・ブレイド氏(医師)は催眠の暗示的要因へ着目し現代の「催眠-hypnotism」に繋がる言葉を作出しました。
催眠の性質に宗教色が薄く科学的な、そして被術者の精神状態に主軸を置いた解釈が付されたことが特徴的であると感じます。

※ 被術者による要素が甚だ強い、とは催眠を受ける者の催眠に対するより建設的且つ積極的な態度の事です。

そうして、その様な解釈はフランスのナンシー地方、リエボー氏(アンブロワーズ=オーギュスト・リエボー氏、医師)らによって磐石化され、現代に於ける催眠理論の源流、ナンシー学派となりました。

少し長くなってしまいましたから続きはまたの機会と致します。

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