ぺらいちショートショート⑫『女狐の窓』
ぺらいちショートショート⑫
『女狐の窓』
化性の者か、魔性の者か、正体をあらわせ。
化性の者か、魔性の者か、正体をあらわせ。
化性の者か、魔性の者か、正体をあらわせ。
「こうして呪文を三回唱えて、両手で印を結ぶでしょう?そんで、その穴から覗きますと、狐狸妖怪の類いが人間様に化けてても、見破れるってぇまじないなんですわ。」
兄貴は美人女将が作った料理を喰いもせず、彼女の手をベタベタ触りながら『狐の窓』の組み方を教えている。
この山小屋が運よく見つから無ければ、遭難しかけていたと言うのに、呑気なものである。
いちゃつく彼らを尻目に飯を食い、手持ち無沙汰になった俺は、兄貴を真似て『狐の窓』をつくり、手に出来た覗き穴で兄貴と女将の姿を見た……。
「ん?なんだ?弟の奴、急に血相変えて出ていきやがって。……えへへ。二人っきりですねぇ。」
女将は艶然と微笑み返した。
その妖艶な笑顔はまるで人の世の者では無いようであった……。
(了)
#ショートショート #ぺらいちショートショート #短編小説 #不思議な話
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?