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ぺらいちショートショート④『終の棲家』


ぺらいちショートショート④
『終の棲家』


 雪山に棲む鳥達は今宵も寒さに震えていた。朝昼は何とか凌げるが、夜ともなると吐く息も凍る。
 とまり木で身を寄せ合い、ただ耐えるしかない。

 一羽の鳥が云った。

 ──なぁ。明日、日が昇ったら巣を作らないか?
 ──そうだな。巣を作れば寒さを凌げる。
 ──よし、朝になったら早速とりかかろう!

 そうして互いに慰め合い、朝を迎えた。

 ──今日は妙に暖かいな。
 ──そうだな。春が来るんだ。
 ──春が来て、暖かくなるのなら巣は要らないな。

 再び夜になり、やはり寒さが身に染みる。
 こんな夜を幾度も幾度も繰り返し、一羽、また一羽と凍え死んで逝った。
 今際の際、彼らは思った。

──ああ。鳥になんて生まれなければ良かった。

願いが叶ったのか、雪山の鳥達は人間に生まれ変わり、今日もぬくぬくした部屋で寛いでいる。

そして云った。

 ──噫。懐が寒い。
 ──明日こそ働き口を探そう。
 ──鳥は自由でいいなぁ。

(了)

#ショートショート #ぺらいちショートショート   #短編小説  #不思議な話


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