ベトナムの伝統料理に挑戦。
滞在5日目の夜。
アトリエをあとにした僕は、ホストファミリーにつれられて夕食の屋台へと向かった。
屋台に到着すると、すぐにお母さんのナさんが店主に注文。
どうやら行きつけの屋台らしい。
料理を待っているあいだ家族と談笑。
そして料理が運ばれてきた。
たくさんのゆで卵が、ざるに盛られている。
ナさんが「「おいしいですよ、たくさん食べてください!」とすすめる。
僕も「シン・マイ!( いただきます )」と卵を一つ手にとり、テーブルのかどにあてて、ヒビをいれた。卵のからを一枚一枚はがしていくと、中に血管らしきものがみえる。
僕は気がついた、、、、、
これは普通のゆで卵ではないと、、、、、
それはバロットと呼ばれる料理だった。
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*バロットとはアヒルの卵でそれを孵化する前に茹でたものだ。東南アジアでは大変ポピュラーな料理でよく食べられ、健康に良いとされている。ベトナムではチュビロンと言われている。
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後から聞いたのだが僕の彼女も大好物らしい。
僕はそういう料理があることは知っていたが、実際に目の前にして食べるとは思ってもみなかった。
からを割った瞬間、僕は正直パニックだった。
家族の視線が僕にあつまり、感想を聞きたがっているようだった。
お父さんのハイさんは、ジェスチャーを交えて、満面の笑みですすめてくる。
、、、、、、、、、、、、僕は思った。
せっかくベトナムに来て伝統料理をいただかないのはいかがなものかと、もったいではないか、親切なホストファミリーの歓迎は断れない。
見ためはよくないかもしれないが味はおいしいかもしれないではないか。
そういい聞かせ、ひとくち口へといれる。
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、、、、、、、、味はない。
口のなかで身がほぐれていく。
ときおり、コリコリしたものを感じるが、正直何を食べているのかわからない。
僕はそのコリコリしたものがなかなか飲みこめずに、10分ぐらい格闘していた。
体感時間でいうなら1時間ぐらいか。
僕のあたまの横にフワフワと、原型のイメージがでては消えてをくり返す。
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、、、、、、、、だめだ、コレすごく苦手だ。
流しこもうと水を探す。
最悪なことにテーブルに水の姿はなかった。
流しこめない。
ここで吐きだしたらホストファミリーに悪い、と思い僕はバロットと一緒に運ばれてきた香草の炒め物を口につめこんで、ようやく飲みこむことができた。
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長い戦いだった。
ハイさんが、「どうだ、おいしいか?もっと食べなさい!」とジェスチャーつきでまっすぐな目で、さらに僕にすすめてきたが、僕はもう体力が残っていなかった。
僕は意を決して、となりの長女のクインさんに、英語で「ごめん、僕はこれ苦手なんで食べれない」と伝えた。
クインさんが家族にそれを伝えると、お母さんのナさんは笑っていた。
どうやらずっと口をモゴモゴしていた僕がおかしかったらしい笑
しかしお父さんのハイさんはその後も、「うまいぞ!遠慮せずにもっと食べなさい!!!」と力強くすすめてきた。ジェスチャーつきで。
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先ほどの僕をみかねて、ナさんは僕がチェーを食べたがっていたことを思いだして、僕を近所のチェーのお店へつれていってくれた。
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*チェーとはベトナムの代表的なスイーツで、主にココナッツミルクのスープに、マンゴーやドリアンの果実や、もち米、豆類などを合わせたものだ。
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ナさんが注文して、僕たちは路上わきの低いテーブルに着いた。
お客さんも何人かチェーを食べていた。
おいしそうだ、、、、、❤️
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そして僕たちのテーブルにもチェーが運ばれてきた。
ココナッツミルクにドリアン、ゼリー、氷がたくさん入っている。
一口いただく。
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ココナッツミルクがとてもさっぱりしている!
ドリアンの匂いは、思っていたよりきつくなくておいしい!
スルスルとノドをとおっていく笑
ナさんが追加でプリンを注文してくれて、それもおいしくいただいた。
その日は本当にいろいろと貴重な体験をさせてもらった。
僕はホストファミリーの皆さんのあたたかい歓迎に本当に感謝した。
つづく