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違和感を無下にしなかったから気づいたこと

自分自身の違和感を正面から受け止め、見つめたのはいつぶりだろうか。

はじまり

夏の幕開けを感じさせる気温の中、私は一つの挑戦を始めた。
それは『企画メシ』への参加である。
『企画メシ』は端的に説明をすると、コピーライターである阿部さんの「企画する人を世の中に増やしたい」という思いから始まった約半年間の連続講座だ。詳しくは直接阿部さんの思いを覗いていただけたらと思う。


私が『企画メシ』の存在を知ったのは二年前に阿部さんの著書を読んだときだったが、読んだ時からいつか参加したいと思っていた。そして、2024年晴れて企画生の仲間入りをした。参加を決意した最も大きな理由は、肩書きも経験もまだまだなく、クリエイティブな仕事についているわけでもなく、どちらかというと引っ込み思案で思いを伝えることがあまり得意ではない私も、もっと自分の表現を好きになりたくて、小さくても何かわくわくするものを生み出せる人になりたいと思ったからだ。

第一回 『言葉の企画 自分の広告をつくる』

第一回目の講義に向けて「自分の広告」を作成した。

備忘録代わりに作成過程も残すが、私はまずスマホを片手に街を練り歩いた。一番初めに感じた「広告ってなんだったっけ」という疑問は街中に答えがある気がしていたからだ。電柱、看板、駅の構内、アナウンス、店内のポップ、タクシーやトラックのボディ部分などなど、普段何度も歩いている道にもかかわらず、見慣れない部分がたくさん目に入った。数多くの候補の中で私が選択したのは「本の表紙(帯)」である。
理由は大きく2つ。
①自分自身が普段からよく目にする好きな広告媒体だから
②本体(書籍の内容)に寄り添って魅力を伝える手法は、「自分の広告」というテーマにぴったりだと感じたから

枠組みが決まった後はひたすら自己分析と言語化をした。自分の肩書き、名前の由来、他人からの評価、大切にしている価値観、書き出しては選ぶ、選んでは書き直すを繰り返した。本のタイトルも伝記のようにフルネームのみにするか、私の憧れを表した「おばあちゃんになりたくて」とするか、いくつか候補があったが最終的に自分自身が今最も大切にしている「マイペース」を名前と掛け合わせたものにした。

作成を終えた達成感もそこそこにほかの企画生の広告を見て何度も「あぁ、すごいな」とつぶやいた。きっと私には思いつかなかった表現方法、自分にはない経験、自身のことを言葉で表現する力。うらやましいと思う広告が数多くあった。正直、引け目も感じながら第一回目の講義に挑んだ。

違和感と向き合う時間

講義が終わった後、私のメモにはこんな単語が書き出されていた。

うらやましい、不安、肩書き、自信、かっこいい、素敵、ものさし、自分、ぐちゃぐちゃ、すごい、私にはない、世界、経験

そして心に残っているのは、講義の内容は理解できたにもかかわらず、何か消化できていない違和感だった。講義の内容はとてもわかりやすかった。考える上でのヒントをたくさんもらえた時間だった。それなのに「学びが多かった、よくわかった」で終われない何かひっかかりがあった。

講義が終わった後、近所のカフェで改めて考えを整理する中で違和感の正体がわかった。正体は「そうすることが良いとわかっていながら、実践する準備が整っていない自分への気づき」だった。

例えば、「考えるということは、とにかく思い出すことだ」という話があった。講義中の私は「確かに考える時って、何か知識や経験を思い出しているな」という気づきがあった。同時に深く考えるためにはより知識を集めたり、経験を積んでいく必要があるんだろうなと想像していた。おそらくこれは間違いではない。

ただこれだけでは不十分で、もっと根本的なところで、「そもそも思い出すための準備をしていないんじゃないか、自分」ということに振り返りで気づいて、ハッとした。より深く考えるために今の私に足りていないのは、知識を集めたり経験を積んだりすること以上に、感じたこと・学んだことを書き留める習慣作りなのだと思った。

もう一つ、「自分の良いと思うものさしを持ちましょう」という話もあった。講義中には「自分のものさしを大切にするためにも、なんかいいなという感覚を言葉にできるようにしていこう」と思っていた。こちらも全く間違いではない。

ただ振り返りの中で気づいたのは、ものさしに影響してくる強いバイアスや癖を意識する必要があることだ。私はおそらく「正しさ」を求めてしまう癖がある。ルールに基づいているか、大多数が選ぶものか、上位に入るものか、こういった「正しさ」を意識してしまう癖はおそらく私の選択にも大きく影響しているのだと思う。このことをきちんと自覚したうえで「良いと思うものさし」を磨いていくことではじめて自分の本心に近いものさしが作られていくのかなと思った。

まとめ

講義前・講義中・講義後、すべての時間において自分の違和感を理解しよう、言葉にしようと意識したのはかなり久しぶりな気がした。年を重ねるごとに自分の中の違和感を無視したほうがうまくいくことがあることに気づくし、実際に無視してしまう場面も多いのだが、今回改めて違和感と向き合うことで自分の本心や核の部分を知ることができた気がしたので、せめて『企画メシ』の間は違和感とも向き合い続けたい。


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