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年賀状とSDGs・環境問題の話

年賀状の季節がやってきた。
毎年年賀状をやめるかやめないかという話が盛り上がる時期だが、昨今流行りのSDGsが年賀状をやめる言い訳に使われることもあるようだ。
たしかに、メールやSNSでできるようなことをわざわざ紙を使って出すのは環境負荷が高そうだ。それに加えて、赤い軽四でポストから回収され、トラックで運ばれて、バイクで相手の手元まで運ばれるわけだから、二酸化炭素も多く出してそうで、これまた環境に負荷がかかっていそうだ。
しかし、それだけではないのでは、と私は考える。見落としがちな点について述べてみたい。

年賀はがきはどれくらい使われているか

年賀はがきの発行枚数は年々減少しているが、直近の2021年用だと、約21.3億枚発行されている。
日本郵便のプレスリリース

しかし、差し出された年賀状の枚数はどうだろうか。
2021年の年賀状は約15.5億通差し出されたことになっている。
日本郵便のプレスリリース

約5.8億枚の年賀はがきは一体どこに行ったのだろうか。
家庭や企業に使い切れなかったり書き損じたものが残っていることもあるだろう。
しかし大半は、売れ残った年賀はがきなのではないだろうか。

使い切れなかった年賀はがきはそのまま懸賞の応募に使ったりするかもしれないが、企業では、郵便局で別の切手やはがきに交換することも多いだろう。

こうして使われず郵便局に集まってくるはがきや売れ残った在庫はどうなるのだろうか。

在庫処分

残念ながら、その年用の年賀はがきは再販することはできない。
しかし、はがきとしての価値(金券的なものとして)はあるので、おいそれと軽率に扱うこともできない。

このページをご覧いただきたい。入札の案件で、
「年賀葉書等の回収、整理・保管及び煮つぶし処分等の委託」とある。
つまりは、こうした使われなくなった年賀はがきは煮潰されて、よくて古紙パルプ、悪くて産業廃棄物となるわけだ。

もし5.8億枚の全部が在庫だったと考えると、大体1,800トンほどになる。
1,800トンの紙が、製紙、印刷、裁断を経て製品化され、店頭まで運ばれ、売れ残り、回収され、煮潰されて終わる。一度も役目を果たさないで一生を終える。
これが一年に一度起こっているとしたら、どれだけ環境に負荷を与えているだろうか。

消費者として

在庫を減らすには、そもそもの流通量を減らせばよく、無駄な年賀状を出さなければよいことになる。
それに加えて、在庫が発生しないような方式を郵便局に対して求める必要がある。
例えば、くじを廃止して、次の年でも使える年賀はがきを発行することもできるだろう。
もしくは、「年賀はがき」というもの自体をなくし、通常発行されているはがきに統一することもできるだろう。

もちろん、正月の風物詩としての年賀状を残そうということも理解はできるが、なるべく環境負荷をかけないことも求められていると思う。
年1回しか使わないプリンターで宛名を差し込み印刷して大量に送る年賀状に何の気持ちがこもっているのだろう。印刷会社に外注して送る年賀状に何の風流があるのだろう。

送りたい人だけに心を込めて出す。くじがついていようがついていまいがかまわない、ただ送りたいから送る。そんな年賀状が出せれば何の問題もないのではないだろうか。

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