ねこ科たぬき【猫科狸】

南の島からお届けします。 『投稿瞬殺怪談』『投稿瞬殺怪談怨速』『呪録怪の産声』竹書房怪…

ねこ科たぬき【猫科狸】

南の島からお届けします。 『投稿瞬殺怪談』『投稿瞬殺怪談怨速』『呪録怪の産声』竹書房怪談文庫より発売中。自己責任です。判断は貴方に任せます。

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怪談に関する見識録

まず、実話怪談と言うもの。 実際に起きた怖い話を人から取材し、文字として興し、怪談話として完成させる。 その物語の数は有象無象合わせて半端ない量になっている。今現在でさえネット、テレビ、本、噂…。 数え切れないほどあるでしょう。 実話怪談の体験者という方々は、至って普通の方です。私が知る限りはね。 別に霊感があるとか、普段から他人が見えないものが見えるとか、そんなんじゃないんです。 何ならその話以外の怖い体験、不思議な体験なんてしていない人がほとんどです。 私が知る限りの人

    • こわいものの話

      何か、こわいものってありますか。 大概の人はそんなことを聞かれても、と困った顔をします。 そして考えを巡らし話を始めるのです。 居酒屋で友人と呑んでいて、こんな話を聞かされました。 「○○大学の近くにあるビルにはお化けがでる」 彼は心底嬉しそうな顔をしながら言うんです。 「なあ、行くだろ?」 こわいのが好きなもので、つい、乗り気になってしまいました。 お酒の力もあったのだと思います。良い大人が、こんなにも胸躍ってしまっていたのですから。 そのビルは借り手もおらず

      • 後から分かることだってある

         美紀さんの母が亡くなった時の話。 「母は嫌われ者でした。皆が母の事を嫌っていたんです。祖父も祖母も、勿論私も」  母は若い頃から酒に溺れ、借金を作ったりと父に迷惑をかける最低な人だった。美紀さんも物心ついた時には毎日のように母から暴言を浴びせられ、母との楽しい思い出など存在しなかった。  父はとても優しく、母に暴言を浴びせられて泣いている美紀さんをいつも慰めてくれていた。  酒に酔い、タバコの臭いを全身に纏わせて、怒鳴り声をあげながらドアをガンガン叩いて帰ってくる母

        • 取り違い

           川田さんがお盆に帰省した時の話。  川田さんの母はすでに亡くなっており、帰省したときに顔を合わせるのは父と兄だけだった。  夜、実家でテレビを眺めながらビールを飲んでいると兄が話しかけてきた。 「そういえばアレはまだいるのか?」 ──アレというのが何の事を指しているのか、分からない。何の話なのかを聞くと 「覚えてないのか? お盆の度にずっと言ってただろ」 と兄は怪訝な顔をして言ってきた。  それでもなんの事か分からずにいると、父が会話に入ってきた。 「お前あんなに騒いでい

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        • 奇譚
          11本
        • ホラー漫画
          5本

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          耳業地説

          【自業自得】 ・自身で行った事の報いを自分の身に受けること。 実話怪談。誰かが体験した、もしくは自身で体験した奇怪で奇妙な話。 創作ではない、本当にあった話を探しては世の中へ届ける。 それが、私が生業としている怪談作家の仕事である。 毎日の様に、まだ見ぬ怪談を求めては全国を飛び回っていたのだが、近ごろはめっきり行かなくなっていた。行かないというよりは行けなくなっていた。 知人、友人と様々な繋がりを当たり、怪談を探し求めていたのだが、話は尽き果て、如何せんもう疲れてし

          キスするみたいに

          さっさと風呂に入ってさっぱりしてビールでも呑んだろうと思って。 ぱっぱっぱっと服を脱いで浴室に飛び込んだら 「何をそんなに焦っているのです?」 って声をかけられた。 キョロキョロしていると 「こっちです。こっち」 そこにいたのは買ったばかりのシャンプーだった。正確にはシャンプーの容器か。 とにかく早く風呂を終えてビールが呑みたかったんで 「あぁなんだ」 と気のない返事をして、シャンプーのポンプに手を伸ばしたら 「これ、痛いんです。優しくしてもらってよいですか。キスするみたいに

          疎通

          昨年の冬、晶さんは暖かい居間のソファーで微睡んでいた。 不意に、押入れの中に閉まってあるアルバムが脳内に浮かんできた。 何故か、今すぐにでもそのアルバムを開かなければいけないような気分になり、慌ててソファーから飛び出して押し入れを漁る。 アルバムを発見し、パラパラ捲っていると、一枚の写真が妙に目を惹いた。 それは、幼い頃によく遊んでいた従姉妹と、祖父母の家の前でポーズを決めている写真であった。 確か祖父母の長寿祝いの為に親戚一同集まった時に撮った写真である。 今は更に古くな

          取材談話をお伝えしますので安心して読んでください

          所謂怪談や体験話を本で読んだり人から聞いたりして楽しんでいても、どこか心の奥底では自身と関係ない、と思っている方は意外と多いものです。 この人は曰くつきの場所へ行ったのだから、この人は霊感がある人だから、この人は運が悪かったから。 そもそも本当に体験したのか、創作話ではないのか、ちょっとした出来事をただ大袈裟にしただけではないのか。 勿論、そのような話もあると思います。否定はしません。むしろ私自身聞いていてもこんな事、本当にあったのか? と疑問に思うことだってあります。 正直

          取材談話をお伝えしますので安心して読んでください

          遺曳

          「今思えば気の所為だったのかもしれないんですけど」 Cさんの父が自ら命を絶ったのは年の暮れだった。 元々精神的な病を持っており、病弱な母の介護でそれが悪化し衝動的にやってしまったのだろう、と残された家族は警察からの説明を受けたのだという。寂しがり屋だったが優しい父であった。 Cさんは悲しみに暮れる間もなく、母の介護問題に直面することになった。 母の妹である叔母も手伝ってくれたが、今の生活を続けながら父の代わりをすることは難しい。 Cさんは施設へ母を入所させる事を考えていた。

          でてくる

          幼稚園 両親や先生から危険なモノには近寄らないように教わる 【近寄らない】 小学三年生 近所の公園で███君と遊んでる時に現れた野良犬から慌てて逃げようと背を向けて走り、背後から襲われる ███君が持っていたバットで犬を殴り、通りすがりの大人に救助される すぐに逃げず、動きを注意深く見なさいと教わる 【観察する】 中学二年生 近所の不良に絡まれる 逃げようと試みるが捕まる 相手を観察し、思いっきり殴ってみる 不良に一目置かれ、友達になる 勇気のあるやつだと褒められる

          どう見えますか?

          前回イラストをポストしたんですが、数名の方々からDMを頂きました。 どうやら違う画像が見えるそうなのですが、スクショの画像をみても、私には同じイラストにしか見えません。 しばらくして、こんなDMが来ていました。 アカウントは削除されており、もう連絡はできません。 どうも、私が以前noteに上げていたこの話に関係がありそうですが、どうしようもないので何もしないでおきます。 送られてきた画像です。 どう見えますか?

          壁様

          町民の皆様に注意喚起 〇〇◯公民館裏の◯山で「壁」を見かけたらすぐに役場職員へ連絡をお願い致します。 *絶対に近づいたり触れたりしないようにして下さい。 *あちらから近づいてきた、既に遅かった場合は、自身で対応することは難しい為役場職員へ早急に連絡をして下さい。その間家族、血縁関係者の名前は絶対に口にしないようにお願い致します。 皆様のご協力をお願い致します。 緊急連絡先 〇〇町役場 安全保安管理課 電話番号(■■■)-■■■-■■■■ 〇〇町会報·ホームページより

          手記についての論考依頼

          【内容】 行方不明者の遺物である手記についての論考依頼 ※情報保護、特定を避ける為一部改変あり ※手記内容一部引用 なれるここら一帯は猫が多い。 庭に食べ物を置いてると、翌日には無くなっている。 庭に猫が来てくれたんだ、と嬉しかった。 毎日置いているのだが、猫はまだ警戒しているのか、食べている瞬間を見たことがない。 慣れて姿を現すまでは焦らず待とうと思っていた。 この前仕事中に家の前を通ったら、庭に 『こけし』 がいた。 次の日から食べ物を置くのは止めにした。    

          手記についての論考依頼