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〔詩〕春嵐

大粒の雨が降り出した午後
こんな再会は誰かの悪意
遠慮がちにかけられた声に
長すぎた時を思い知る

元気?

うん

親しげに笑ってみても
もう他人より遠い
その顔に降りかかる雨を
拭ってあげることもできない

じゃあね

じゃあ、また

守れない約束が
昔から多い人だった
もう会うことのない背中
最後まで見送りたくなくて
前髪から落ちる雫を見ていた





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