見出し画像

〔ショートショート〕桜回線

同い年のユウジと付き合ってもう二年。私も今年で30才、そろそろ奥の手を使うか。スマホから電話をかける。
『プレミアム回線サービスです』
「あ、桜回線お願いします」
『お相手の電話番号は?』
私はユウジの番号を告げる。
『では、お繋ぎしますのでお話しください』
呼び出し音の後、ユウジが電話に出た。
「どうした?電話なんて珍しいな」
「あんたが何日も既読スルーするからよ!」という私の言葉を、桜回線が変えていく。
『あ、連絡ないから体調でも悪いのかと…』
「いや、心配させてごめん。仕事が忙しくて」
「短いLINEぐらい送れるでしょ!」→
『元気なら良いの!ちょっとLINEくれると安心できるけど』
「もう、そんなに私が面倒なら別れる?!」→『でも迷惑だよね。あなたの邪魔になるなら、もう別れた方が良いのかな…』
ユウジが急に慌て出す。そして首尾良くプロポーズを引き出した。よし!
別れたいなら氷回線、進展させたいなら桜回線。このサービスは優秀だ。
(408字)


こんばんは。こちらに参加させていただきます。

やっぱり400字は難しいですね💦
たらはさん、よろしくお願いします。
読んでくださった方、有難うございました。


この記事が参加している募集

私の作品紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?