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花がすみ

花がすみ         (ツカノマレーベル 「春の詩」 特別賞)

満開の桜の下をひとり
いつもより
ゆっくりと歩いてゆく
ふりそそぐ花びらの中に
久しく会わない人達の顔が浮かぶ
いつか笑ったことも
あの日泣いたことも
花がすみの中では
やわらかな光にかわる
心はなやいで
誰か誘ってみようと思ったり
ひとり
追憶にひたろうと思ったり

夜(よる)ふけて桜の下を皆と
肩並べ
なごやかに歩いてゆく
舞いおどる花びらの中に
大事にしている人達の声が響く
いつか語ったことも
あの日悔いたことも
花がすみの中では
まどやかな実りにかわる
心ときめいて
愛を打ち明けようと思ったり
皆と
余韻を楽しもうと思ったり

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