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そして私は屍になった。
ようやく一週間が終わった。
へとへとだ。
ヨガをやって身体を伸ばす。凝り固まった足が、脇腹が、ぐいーっと伸びて気持ちいい。だんだんと呼吸が深くなっていく。普段いかに身体をこわばらせて、浅い呼吸で過ごしているかに気づく。
最後に、シャバーサナというポーズがある。
日本語でいうと、屍のポーズ。マットの上に仰向けになって、目を瞑り、静かに過ごす。屍になったように、静かに、穏やかに。
やがて魂が、ふっと抜けるような感覚が訪れる。なんてかっこよく言ってみたけれど、要は寝落ちである。たった数分のことだけれど、これがもう超快眠で、最高に気持ちいい。
終わりの合図がくる。手足の指先から、少しずつ身体を動かしていく。
ゴロンと横向きになって、ゆっくり起き上がりましょう。
あぁ。ヨガマットに根っこが生えた。起き上がれない。起き上がりたくない。このままもう一度夢の世界へ私を誘って。
このシャバーサナ、やさしいストレッチのようなプログラムよりも、しっかり身体を動かすフローヨガのあとのほうが、格段に心地よい。
身体動かした後に寝っ転がると、ふわーっと力が抜けていって、魂は昇天する。一方の肉体は、重力がいつもより感じられて、下に下に、沈み込むかのよう。もうこの重さに逆らうことはできない。何も考えられない。ただ、大地に身を預ける。意識がふっと途切れる。
できないポーズもあって、負荷もかかって、しんどくなって。でもどうにかやり切って、最後の最後、シャバーサナのポーズまでたどり着いたとき、これまでの大変さが報われたような、充足感に満ちた時間が訪れる。
きっと人生も同じ。
一生懸命生きて、それから迎える死はこんな風に気持ちいいものなのかもしれない。
心地よい最期の眠りを味わうために、大変な毎日を生きているのかもしれない。
死が怖くて頭を掻き毟ることもあるけれど、そうして考えてみると、ちょっと心が軽くなって、明日からまた頑張ろうかなって思う。最期に気持ちよく眠るために。
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