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帰る度、生き返る旅。

毎年8月に、京都の旅館「山ばな平八茶屋」に泊まりに行く。
バスに乗れば、家から30分くらいで行けてしまう。なんなら、歩いて行ったこともある。

もう、7年くらいになるだろうか。

旅行というと遠出したり、新しい出会いを求めていろんな土地に行く人が多いが、私はこの平八さんへの旅行がいちばん好きだ。


鴨川を眺めながらバスで北上する。
出町柳を過ぎると、だんだんと賑やかさが減り、長閑な風景に変わってゆく。

時々、川べりに野生の鹿の親子がくつろいでいる。

宿に着くと、名物の麦とろ饅頭をいただく。ほんのり甘くて、夏の疲れが癒やされる。

さあ食事といきたいところだが、その前に、まずはお風呂。

ここのお風呂は「釜風呂」という、和風サウナだ。筵の上に寝転がって、じわりじわりと汗を出していく。イグサの香りがほっとする。温度も高すぎないから、銭湯のサウナのようなしんどさはない。15分入ったらひと休み。魔法瓶にたっぷりと冷たい水が入っているのがありがたい。一晩中繰り返したいくらいの心地よさだ。

お風呂であったまれば、いよいよ食事。これまでいろいろなコースを頼んだが、鱧づくしのコースが飛び抜けて美味しい。湯引き、寿司、鍋、鱧ご飯、、これでもかというほど鱧が出てくる。そして調理法ひとつで鮮やかに七変化。まったく飽きることがない。ここの鱧料理を知ってしまったら、そこらの料理屋ではもう頼めない。だから、一年分の鱧をこの日に堪能すると決めている。

そして、人。女将さんも大女将さんも、他のスタッフさんも、皆さん素敵な方々。一年元気にしてましたか、なんて会話が嬉しい。ああ、今年もみんな元気そうでよかったなと、ほっとする。帰ってきた感じがする。

新しい刺激溢れる旅も楽しいが、私はふるさとに帰るような旅が好き。のんびり過ごすひと時が最高に贅沢なんだ。お風呂と食事と会話で、心も身体もあったかくなる。


次に戻ってくる日を楽しみに、この一年またがんばろう。

そう思える場所があることが、心の支えとなり、毎日の活力になる。


ああ、来年の夏が待ち遠しい。


#わたしの旅行記


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