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あの小銭をピンってした彼は今何をしているのだろう

就活生のとき、ある会社の面接で知り合った男の子がいた。

その会社はなんだかイケイケな雰囲気の会社で、担当者として出てきた人たちは、ことごとくみんな日サロに通ってそうな黒い肌をしていた。飲食店のプロデュースとかその他いろいろやってる会社だった気がする。

で、そこで知り合ったわけだけれど、グループワークをしたのか、集団面接だったのか、そういえば何でその子と話すようになったんだっけ。


とにかく、連絡先を交換したいと言われ、ごはん食べに行こうと言われた。異性としての興味は全くなかったけれど、よく話す面白そうな人だったからご飯を食べに行ったのだった。

彼の話は終始友人自慢で、自分自慢よりは幾分ましかなと思いつつも、誰ですかその人って感じで耐えていたのを覚えている。
今まで出会ったことのないタイプだったもんで、あぁ、こういう人っているんだなぁと感心もした。


ようやくお会計の段になって、割り勘で支払う。それはいいんです。二人とも学生だし、おごられるのは(たとえ彼氏でも)嫌だったので。

でもね、彼がね、お会計の時、小銭をピンって指先ではじいて、会計トレーに出したんですよ。

身体をこう、ちょっと斜めに構えて、人差し指にのせた小銭を、親指でピンって…!

共感性羞恥というのでしょうか、もう、わぁぁぁってなっちゃって。
カードをピンっならまだわかるよ(それも変だけど)。でもそれ小銭…!しかも割り勘の端数…!かっこつけて出すものではない…!


それきり彼とは会っていない。


なんてことを突然思い出した。
彼は今どこで何をしているんだろう。

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