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はじめまして、猫キャットです。

 私たちふたりは遅刻常習者です。1991年から活動しています。同じ美術大学の彫刻科とデザイン科を卒業しました。

 私たちはいつも遅刻をするのですが、遅刻の理由はたいてい探しものをしているからです。寄り道やまわり道をしていると目に止まる、世の中から忘れられて消えてしまいそうな場所やもの。それに気がつくと、やはり時間に埋もれてしまいそうな服を着て写真を撮りたくなってしまう。それは私たちが、完全に世の中から忘れられ、置き去りにされる一歩手前の状態から立ち昇ってくる、高揚感と孤独感が好きだからだと思います。

 問題は、撮り終えると安心してそれを忘れてしまうことです。

 撮っては忘れ、撮っては忘れ、そのうち撮っていたこともすっかり忘れて、遂にはどこにあるのかわからなくなる写真たち。

1991年から26年後の2017年。それまでの写真を、家中ひっくり返し拾い集め、いつの間にか知り合いになっていた鬼才デザイナー・セプテンバーカウボーイ吉岡さんのチカラをお借りし、ようやくまとめた小さな写真集があります。それが『遅刻をくり返したあとの世界』です。

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 私たちは学生時代、時間の進み具合は常に一定ではないということに気がついてしまいました。瞬きをした瞬間にまわりが全く知らない風景に変わったり、延々と同じことを繰り返しているにもかかわらず、たった10分しか経っていないようなことがよくありました。
 当時の私たちはそういうとき、今ちょっと速かったねーとか、今日は遅い日だね、など、確認し合ったものでした。猫キャットとして活動しているとき、私たちは時間のエアポケットのようなところにいたのだとおもいます。

 とりたてて肩書きもない時代の狭間のようなところで遅刻をくり返してきた、猫キャットのまとめた本『遅刻をくり返したあとの世界』の中身を、ここnoteでも少しご紹介していこうと思います。ご興味ある方は楽しんでいただけたら嬉しく思います。
     

                       2021年 猫キャットM田

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