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これからますます重要になる自己効力感を言葉かけで育もう

こんにちは、ベビーシッター兼保育士のねこばすです。

最近とても気になる言葉があります。
「自己効力感」


今後の世を生きて行くのに欠かせないのが「非認知能力」

非認知能力という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。

意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力。学力(認知能力)と対照して用いられる。学術研究によって、非認知能力の高さが学歴や雇用、収入に影響することが明らかになっていることから、幼児教育の分野で注目を集めている。非認知能力は、学力のように1人で身につけられるものとは異なり、集団での行動の中での困難や失敗、挫折などの経験を通して養われるものが多い。

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今までは学力に重きを置いた教育が中心でしたが、AIが当たり前になっていけば学力の部分はAIがカバーしてくれます。
その時人間に必要になるのは、それ以外の部分。
「人間だからこそ」の部分が強くないと世の中を渡り歩いていくことができなくなると言ったら言い過ぎでしょうか?

今回取り上げる「自己効力感」はそんな非認知能力の中の一つと言われています。
「自己肯定感」も同じ中の一つでよく一緒に語られます。

自己肯定感よりもまだマイナーでありながら子育てをしている方にぜひ知っていただきたい自己効力感と、それを育む方法についての本を読みました。

そのあらすじをシェアさせていただきます。

「子どもの自己効力感を育む本」 (著者:松村亜里)


自己効力感とは

「自分の可能性を信じて、いろいろなことに挑戦できる人になってほしい」
「自分の手で幸せをつかみとってほしい」
と願うのが親心。

そのように子どもが成長していくために欠かせないのが自己効力感です。

自己効力感が高い子(人)はどうなる?

自己効力感が高い子は、
「自分の行動が自分の環境になんらかの影響を与えるという信念や、自分なら目標を達成できるという自信があり、難しい課題であっても努力をすれば少しずつ目標に近づけるという希望を持っている」
そんな状態にあります。

何かに挑戦したら失敗はつきものですね。
ここで自己効力感が低い子は失敗を恐れて挑戦を避ける傾向があります。
ですが、高い子は逆。
「チャレンジしても失敗するかもしれない」と思いはしても「チャレンジすること自体に価値がある」ことも分かっているので、チャレンジできるのです。

これは彼らの長い先の人生を考えても大きな違いですね。

自己肯定感との違いは?

自己肯定感とは、自分の全てを受け入れ「どんな自分も好き」と自分にOKを出せることです。

自己肯定感の高さと成功や幸福感はイコールで考えられてきましたが、最近ではどちらかというと成功の喜びや幸せを感じるほどに自己肯定感が高まる傾向があることが報告されています。
今までと逆のベクトルですね。

ここで大事になるのが自己効力感です。
自己肯定感を高めたければ幸せを感じ成功体験を積んでいけばいい。
成功体験を積むためにはいろんなことに挑戦するのが近道。
自己効力感が高ければ結果を気にせず挑戦自体を楽しむことができる。ハッピー。

自己効力感が高ければ自己肯定感が高くなり、その結果自己効力感ももっと高くなるという相乗効果が発生するのです。


自己効力感を育てるためにできること

子どもの自己効力感を育てたいと考えて親は子どもにいろんな言葉をかけます。

「やれば何でもできるわよ」
「あなたは賢い子」

などなど。

しかし上記のような良かれと思った言葉かけが、子どもにマイナスの影響を与えてしまうことがあるのです。
「やれば何でもできるわよ」と言われ続けたことにより失敗を必要以上に恐れ挑戦ができなくなったり。

何てこと!!!

しかし事実です。それぐらい親からの言葉の影響は大きいということです。

子どもにより多くのことにチャレンジして楽しんで生きてほしいという気持ちを変える必要はありません。言葉を変えるだけ。

マイナスの影響を与えうるのと同じように、言葉かけ一つで自己効力感はグングン育ってもいきます。
それを目指しましょう!


自己効力感を育てる言葉かけ

ここからは、具体的な声かけの方法についてお伝えします。

うまくいった時


能力よりも努力や頑張りをほめる方が効果的
能力をほめるのは「評価」につながります。その言葉の中に無言の圧力を感じるようになり完璧主義になって失敗を恐れたり、ほめられるためにしか頑張れなくなったりしてしまいます。

気質や人格をほめる
絵を描いていたら「細かいところまで丁寧に描いていたね」などの言葉かけが効果的です。
「上手に描けたね」などは評価につながりますし、楽しんで描いているものへの評価は不要です。

ポイントは見たままを言葉にすること。子どもって実はそこまでほめて欲しいと思っていません。
「自分の気持ちに共感してほしい」
「自分が楽しい・好きなことを共有したい」
そんな気持ちの方が強いのです。
だから、関心を持っていることが伝わればそれで充分なのですね。

優劣をつけない
例えば親が負けず嫌いだと、子どもをつい他の子と比べてしまうことが多くなります。
授業参観で見た我が子の絵に「○○君より上手に描けたね」など。
お友達と比べられた上で評価をされたとなると、子どもの心には相当なプレッシャーがかかっているはずです。
他の子と比べるのではなく、過去のその子と成長した今の姿を比べる方が自己効力感の観点からも効果的です。

成功した時こそ「理由」を追求する
何かうれしいことがあった時など「どうしてできたの?」「なにがきっかけだったの?」など原因を聞くと、子どもはその答えを考えることで自分の強みを見つけることができます。

失敗した時

失敗を叱らない
何よりも大事なのは失敗を叱らないことです。
叱るのは子どもの意欲を低下させるだけで意味がありません。
「失敗するかもしれないけれどチャレンジしてみよう」と思えるのが自己効力感が高い状態なので、「なんで?」などと追いつめないようにしてください。

ネガティブな感情を否定しない
失敗して落ち込んでいるのは子ども本人です。その気持ちを否定したり追い打ちをかけるような言葉をかけないようにしましょう。
「失敗して辛かったね」とまずは共感することが大切です。
(例)子どもが転んで「痛い」と泣いていると親は励ましたい気持ちもあって「痛くない、大丈夫大丈夫!」と言ってしまいがち。

励まし方には注意
「あなたは頭がいいから」など、能力を持ち出して励ますのは避けるようにしましょう。

失敗は誰でもあることです。それを気にし過ぎないことが自己効力感を高めるポイントなので、まずは共感をして安心できる言葉かけをしてあげてください。
「成功の原因は追究して、失敗の原因は追究しない」のがポイント。
失敗した時は「これからどうなったらいい?そのためにできることは?」と未来に目を向け、そこに行く方法を親子で話してみてください。

問題行動がある時

問題行動は本来個性
問題行動をそれと捉えるのは大人であり、行動自体を親や大人の言葉かけで減らすことも誘発することもできるのです。
例えば、我が子に集中力がないと親は気になりますがそれも個性の一つです。「集中力がないわね」という言葉かけはやめて「今10秒集中できていたね!」とほめるくらいがちょうどいいですね。

親はどうしても子どものダメな(と感じる)ところに目が行ってしまいますが、「優柔不断」→「優しい」などに変換して伝えてみてください。
どんな子にも長所があるので、それをしっかり見て伝え「よいセルフイメージ」を育てていきましょう。

子どもの脳の特徴や発達を知って対応する
子どもの脳は右脳の方がより発達しています。右脳はイメージをインプットする場所なのですが「否定形を理解できない」という特徴を持っています。
そのため、「走らないで!」という言葉は走るイメージを持たせ、結果走る行為につながりやすくなってしまうのです。
また、「いい加減にして!」や「ちゃんとして!」などの声かけも残念ながら意味がありません。抽象的な言葉かけを子どもは理解できないからです。

こういった時に必要になるのは
・「歩こうね」といった肯定の言葉かけ
・「お膝とお膝をくっつけて椅子に座ろうね」などしてほしい行動を具体的に伝える言葉かけ

です。

本当に厳しい言葉で子どもを制する必要があるのは、子ども自身や周囲の人に危険が迫っている時くらいです。
問題行動を目の当りにすると親はつい感情的になってしまいますが、そこで一度グッと冷静になるようにしてみてください。

やる気や自信がない時

一にも二にもまず大事なのは共感
例えば「学校に行きたくない」「習い事をやめたい」などの言葉は単に疲れているだけの場合もあるので、共感されればケロッと行くことも多々あります。
共感した上で「どうして行きたくないの?」と理由を聞いたり、「どうしたら楽しく行ける?」と話しあってみるのは有効です。何か特別な理由があれば一段階上の対応になるでしょう。

課題の難易度をチェックする
宿題を嫌がる時は、課題の難しさと子どものスキルが合っていないことが多いです。子どもをよく観察して「難しいところある?」などの声掛けをしましょう。
因みに簡単すぎる課題でも子どものやる気が下がります。

人は楽しみながらしている時にその人本来の強いを発揮するので、習い事などは好きじゃないことをしても意味がありません。
話をした上で今後どうするかは本人に決めさせることが大切です。親はそのサポート役なので、続けるも辞めるも親が勝手に決めないようにしましょう。

自己効力感が高い人にとって、自らする努力はそれ自体が楽しいことなのです。その過程での成長や手に入るものに意味があると感じられるから。
親にできるのは、そのための言葉かけですね。「何のために習っていると思う?」「どうしたら楽しくできるかな?」など。

「どうせ」が口癖になっている時

3つの原因がある
①過保護で何にも挑戦させてもらえず「自分には力がないんだ」と思ってしまう
②放任的で何でもさせてもらえ、悪いことをしても叱られない。よい行動をできると信じてもらえないことから「どうせ自分なんて」と思ってしまう
③親や周りの大人からものすごく叱られる

「どうせ」という言葉が子どもの口から出てくる時点で、その子の自己効力感はかなり低くなっている可能性があります。
①~③のような対応をしていないか自分を振り返り、している場合には子どもに謝り言葉かけを変えていきましょう
現状に気が付けたということは変われるチャンスを手に入れたということです。


常に評価をされてきた子は完璧主義になりやすく、チャレンジを恐れたり緊張に負けやすくもなります。
逆に何も言葉かけをされてこなかった子は無気力になりがちです。子どもを観察して適切な言葉かけをするのがいかに大切なのか、がお分かりいただけたことでしょう。


自己効力感を育てるための4つの土台

その1 親は子どもの「安全基地」


子どもは成長するにつれて活動エリアを広げていきます。未知のもの・ことばかりでワクワクしつつも恐怖心が生じることもあります。
楽しく夢中になっている時はいいのですが、うまくいかなかった時やふと不安になった時にいつでも帰れる安全基地が必要なのです。

安全基地で愛(安心・安全・勇気を含め)を満たされると、また外に出てチャレンジすることができるようになります。この繰り返しの中で成長し自己効力感も高くなっていきます。

ということは、親が安心できる存在じゃないと子どもの気持ちの行き所がなくて、外での問題行動が多くなっていくということです。

その2 自分で決めていいんだよ

(例)何度言っても自分の持ち物や服を片付けない子がいます。「もうママはやらないからね!」と突き放しても自分からやることがありません。これは子どもが自分で決めたことじゃないためです。

人は「自分で決めたい」という感覚を持っています。これが満たされないと苦しくなってしまうので、親はコントロールを手放すことが大切です。

ただし子どもの行動になんの制限もかけない、ということではありません。子どもの自律性を育てるには圧力が最小限の制限をかけるといい、という研究結果も出ています。

①まずは共感(やりたい・やりたくないなどに)
②説明する(なぜ「やらない・やった方がいいのか」)
③自己決定(「この方が嬉しいけどどう思う?」など圧を最小限にした表現で親の気持ちを伝え、子どもに選択の余地を残す)

この3ステップを踏むことで子どもの反応が大きく変わってきます。

その3 みんな「違う」からみんな「いい」

多様性はとても大事です。「私とあなたは違うけど、ただ違うだけ」というフラットな見方を誰もができれば、虐めや差別も世の中からグンと減ることでしょう。人の目を気にする必要もないので、自分らしい生き方に挑戦することができます。自己決定の欲求を満たせて達成経験を積むこともできます、そうすれば自然と自己効力感は育まれます。もちろん自己肯定感も。

そのために家庭でできるのは、「違い」を見つけた時に優劣をつけたり無視したりするのではなく「違うね」と認識して「共感」する、そんな会話をすることです
「○○ちゃんはそう思うんだね。ママはちょっと違ってこう思うんだ」などの会話の積み重ねが大切です。

その4 何よりも親が見本を見せる


脳にはミラーニューロンという神経細胞があり、それには「見たものを吸収して真似しようとする」性質があります。

「子は親を見て育つ」という話の科学的根拠がこれです。

もっとも身近にいる親が普段どのように生きているのかに子どものミラーニューロンが反応してそのまま真似るのです。

だからこそ親がどう生きているのかが重要になってくるのです。
親が自分の弱点や失敗を見せつつ、同時に「今はできなくても練習すればいつかできるようになる」という姿勢を見せていれば、子どもはそこから多くのことを学びます。


最後に

「国民総中流」と言われていたのは過去の話。
シッターの仕事をして色んなご家庭に行くにつれ、「子どもの学力は親の経済力に比例する」のが事実だと痛感します。
お金と時間をかけて早期教育をしてきた人たちが集まる場所があり、そういた人たちが共存共栄していく世界線があるのも否定できません。

だからこそ今重要視されているのが、非認知能力
今回紹介した自己効力感や自己肯定感は非認知能力の中の一つです。

非認知能力とは学力でははかれない自尊心・自己肯定感・自己効力感など「自分に関する力」、協調性・共感力・社交性など「人と関わる力」のこと。

コロナの流行で誰もが実感しているでしょうが、日本のみならず全世界も日々変化が激しくなっています。
そんな時代に生きてく子どもたちには柔軟性や困難にあっても折れない心、未知を楽しめるチャレンジ精神、人と関わったり他者を受け入れるコミュニケーション力が今まで以上に必要になってきます。つまりAIにできないことですね。

この非認知能力は、実は家庭の中で時間もお金もかけずに育てることができるのです。
教育と言えば学力を育てること。周りが早期教育に熱を入れているのを見ると焦りつつ経済的・時間的に難しい。
そう感じている親も多いでしょうが、これからの世を生きる力は日常で育てることができます。

その分親の普段の言葉かけや子どものとコミュニケーションのとり方がとても重要になるので、今回はこの本を取り上げました。

今子育てをしている世代は、自分が子どもの頃学力編重の教育を受けてきたため、非認知能力を育てるコミュニケーションが苦手な方が多いです。
もちろん私も。

日々子どもと接する仕事をするにあたって「子どもの前に自分の自己効力感を育てよう。」というつもりでこの本を読みました。
本の中には具体例がたくさんあり、気になる場面だけをピックして読んでもかなり参考になります。

個人的には「ママ」という言葉ばかりが出てくるのが若干気がかりではありますが、もちろんパパにも共通する内容なので、「我が子のチャレンジ精神を育てたい。そして逞しく生きていってほしい」と願っている親はぜひ実際に読んでみてくださいね。

あなたの読書が子どものよりよき将来に繋がります。








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