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今日は父の月命日

 父が旅立って2ヶ月が経った。毎日父の写真の前にコーヒーを供える。「お父さん、コーヒー入ったで」と。

 母は口癖のように「つまらん、つまらん」と言うようになった。配偶者の死は、ストレス指数で言うと最も高い。「片身を削がれたよう」とため息をつき、胸を指して「ここにぽっかり穴が空いた」とうつむく。

 父を追いかけてペットのデイジーまで虹の橋に行ってしまい、我が家はすっかり静かになった。今までは休みの日ごとにドライブやキャンプに出掛けていたのに、今は近場を行くのでさえ、億劫だ。

 東京に住む弟家族は心配して、よく電話をくれる。もっとも、電話口では2歳と6歳の姪がワーワー騒いでいるので、何を言っているのかよく聞き取れない。

 昨日は義妹の誕生日ということで、イタリアンレストランで食事をしたとのこと。ところが普段食べつけぬ物を食べたせいか、弟はお腹が痛くなったそうな。緊張もあったのかね?

 姪はじいじのことをどこまで覚えているだろう。葬儀の時「じいじねてるー。ばあばあるいてるー」と無邪気に声を立てていた2歳の姪に、じいじの記憶が残らないのは残念だ。

 父は多くの人に慕われており、スポーツクラブの人達からは似顔絵入りの寄せ書きを頂いた。「あの世でも忘れんとってよ」などの言葉をいただき、微笑ましかった。

 父は身軽になった身体で、あの世のドライブやキャンプを楽しんでいるだろう。足元にデイジーがいるようだ。ひと足先に旅立ってしまった父。寂しくなったと、今頃悲しみがあふれてくる。

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