【短編小説】マスク-03
ここまでの衝撃を受けたのは、中学生以来かもしれない。
今日ニュースで、スーパーコンピュータの富岳による、会話時における飛沫のシミュレーションが取り上げられていた。
テーブルに四人で座り、そのうちの一人が隣の一人に話しかける。
すると、話しかけたほうの口から、まるで噴水を横に置いたように、相手に向かって大量の飛沫が飛んだ。浴びせかけた、といったほうがしっくりくるかもしれない。
今もその光景が目に焼き付いて私を怖がらせる。
一体これまでどれだけ他人の飛沫を浴び、逆に浴びさせてしまったのだろう。
飲み会など最悪ではないか。張り合うように間近で大声を出し、笑い、歌う。
あらゆる人間の飛沫が、ウイルス、雑菌が渦巻いている空間。ぞっとする。
あれを見てしまったら、もう誰かとマスクなしで食事に行こうとは思えない。
この記事が参加している募集
サポートいただけたら、もれなく私が(うれしすぎて浮かれて)挙動不審になります!よろしくお願い致します!