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小説集

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『関西女子のよちよち山登り』以外の小説はこちら。 一話完結の掌編小説が中心なので、さくっとお読みいただけます。
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記事一覧

【掌編小説】泡沫の夢

 縁側、黄緑の葉を茂らせる木々、その足下に咲く色とりどりの花、蝶が舞い飛び、青空。  空…

猫と山
2年前
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【短編小説】マスク-05(終)

*これまでの話* マスク・マスク-02・マスク-03・マスク-04 ※感染症について偏った表現がな…

猫と山
2年前
15

【短編小説】マスク-04

マスクをあごまでずり下げで歩く人間。 あごマスクのままスマホで会話する人間。 あごマスクの…

猫と山
3年前
20

【短編小説】マスク-03

ここまでの衝撃を受けたのは、中学生以来かもしれない。 今日ニュースで、スーパーコンピュー…

猫と山
3年前
16

【短編小説】マスク-02

今日は久しぶりにお弁当を作った。 たいてい毎日一緒にお昼に出かけるY先輩は、私が今日はお…

猫と山
3年前
21

【短編小説】マスク

マスクは本音を隠してくれる。 余計なひとことにムッとして、相手に向かって「いー!」と歯を…

猫と山
3年前
29

【掌編小説】おひなさま

「おひなさま、いつしまったらいいんやろ。今日の夜?」  久しぶりに食べたちらしずしが思いの外おいしく、余韻に浸っていたときのことだった。  こちらに問いかけておきながら、志麻は答えを聞く気がないのかすぐにジャージャーと水を流しながら洗い物を始めてしまう。  まずコップを洗って、次にお箸、それからお茶碗……彼女の洗い物の順番はいつも変わらない。頃合いを見計らって台所に体を向けると、ちょうど彼女が蛇口を閉めるところだった。 「別に3月いっぱい置いとけばいいんちゃうん。せっか

芝さんち。「2.胃袋」

前の話 / 次の話  現在、午後十時ちょうど。今日もいつも通り、妻の話を聞きながら夕食を…

猫と山
3年前
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【掌編小説】ばらばら

※痛みを伴う表現が苦手な方はご注意ください※ 冬の午後に窓から差し込む柔らかな温かい光や…

猫と山
3年前
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芝さんち。「1.偏見」

次の話  現在、午後九時五〇分。  毎日九時ごろまで残業し、四〇分ほどかけて帰宅。それか…

猫と山
3年前
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【掌編小説】はりぼて処世術

 結婚だったろうか、妊娠だったろうか。  たしかそのどちらかの理由で退職する斜め後ろの席…

猫と山
3年前
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【掌編小説】歩け、歩け、歩け

 ずっと前、私が小学生のころのことだ。どういう流れでかはもう思い出せないが、私は母にこん…

猫と山
3年前
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【掌編小説】秘密のはなし

「わたしの秘密?そんなん大してないけどなあ」  『ユイには何か秘密ってあるん?』という突…

猫と山
3年前
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【掌編小説】もし猫になったら

――もし私が猫になったら、お昼寝とかひなたぼっこするより、ずっと鏡の前におるわ。  そんで自分のかわいい姿を眺めんねん。どのポーズがかわいいか、いろいろ試すん。  お昼寝はそれからやな。大好きな飼い主の膝の上で寝たいなあ。最高やなあ。  私、猫になりたいなあ。  もし私が本当に猫になったら、それでも勇気は私と一緒に暮らしてくれる? 「当たり前やんか。ちなみにどんな柄の猫になるん?」 ――勇気はどんな柄が好き? 「茶トラ」 ――茶トラはオスが多いって言うで?もし私がオス