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小説の掃き溜め

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猫宮の創作物
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#短編

唐揚げになりたい

唐揚げになりたい

 もしも叶うなら、私は唐揚げになりたかった。

 小さい頃から唐揚げが好き。美味しいから。
 口に放り込んだ時の、いかにも美味しそうな匂い。
 歯を立てるたびにさくと気持ちのいい音を立てる衣。
 噛み締めるほどじゅわりと溢れ出す肉汁。

 お弁当に入ってるだけで嬉しくて思わず口角が上がっちゃう。唐揚げってすごい。
 唐揚げよりも素晴らしいものなんてこの世にはない。

 本気でそう思っていました。

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