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【読書日和】「団地のふたり」(藤野千夜著)を読んで~ゆるりとしてみたら~


 40年も一緒に、そして同じ所で過ごしてきた五十歳前後の女性ふたり。長い期間の友情。そのふたりを取り巻くような人間関係。現代ではあり得ないような、ほっこりとした関係。この団地の人たちは、昔から同じ団地に住む仲間のような感じだ。
 この作品に出てくる、映画、音楽、そして場所などに覚えがあり、懐かしくなる。そんなふたりの話す様子が頭の中に浮かんでくるようだった。
 この作品のスパイスとして、料理が出てくる。その料理を想像し、美味しそうだな、と思いつつ、しっかり「今」の「生活」をしていると思った。ふたりでゆるい話をしているが、時は流れていくのだ。
 そんな中で、古い団地の建て替え計画があるかも、と話しながらも、その団地で生活している人たち。今後のことを考えながらも、どこかゆるりとしている。でも、ふんわりとした雰囲気でありながらも、「コロナ」という言葉もあり、現実なんだな、とも思う。
 これからもふたりは、友達関係を続け、団地のおばちゃんたちとも良い関係でありながら、ゆるりと暮らしていくのかもしれない。
 仕事はそれぞれ大変な時もあるだろうけど、ふたりは、お互いがいることで、肩の力を抜いているように感じた。これからも、このゆるりとした生活が続いていくんだろうな、と思うと、なんとなくほっとした。こんな関係、素敵だな、と。

 

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