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日本版「彼女はキレイだった」を今さら観て思ったこと。

今更ながら、2021年の日本ドラマ「彼女はキレイだった」を観た。私はとてもひねくれているので、巷で話題になっているドラマはリアタイするのではなく、数年後に一呼吸置いてから観ている。(同じ!っていう人います?)

ということで、例によって2021年にフジ系列にて放送された「彼女はキレイだった」を本日ネトフリにて無事完走した。

知ってる人も多いと思うが、このドラマは韓国で2015年に放送されたドラマを日本版にリメイクしたものである。
主演はジャニーズ事務所・SexyZone所属の中島健人で、ヒロインは魔女の宅急便実写版でキキ役も務めた小芝風花だ。
一方、韓国版では主演はパク・ソジュン(梨泰院クラス主演)が務め、ヒロインはファン・ジョンウム(代表作にキルミ・ヒールミー等)が務めている。

(中央:主演・中島健人)


韓国ドラマフリークの方なら(日本版のこの主演に)「ん?」と正直思ってしまうかもしれないが、フタを開けてみると、日本版も主演2人の良さがよく出ていたのではないか、と思う。

そもそも、当たり前の話だけれど、韓国版で16話あった本編を、日本版として10話に編集し直すのは、そう簡単なことではない。韓国版ヘビロテ視聴者の私は「あ、ここのシーンは韓国ではこんなかんじだったな」とか「あ、ここのシーンは省いたんだな」とか、色々照らし合わせながら観ていたが、韓国版のいわゆる「グッとくる」山場の良いシーンがきちんと入れられていたし、本編でアクセント的に用いられていたサブカップルの恋愛模様も、ボリュームは違えど、要点をまとめてちゃんと取り入れられていた。

結果的に日本版のほうがシーンごとの表現がより率直になっていたし、カットされていた描写も多かった気がする。しかし、原作へのリスペクトをしっかりと持ちつつ、日本への馴染みやすさを取り入れたアレンジが加えられていたと思う。


(ここからは少し話が逸れてしまうが、)考えてみたら、日本はこんなふうに「既存の技術や品にアレンジを加えて新しく革新を起こすこと」がもともと得意な国だった。
車だってテレビだってラジオだって、そうやって進化を遂げてきたし、ゆくゆくは世界第一位になった分野だってある。
それは、日本という国にもともと備わっている、他国の文化や風習を柔軟に包み込むことのできる「温かさ」がもたらしたものではないだろうか。

私は以前、日本に来た外国人からこんな話を聞いたことがある。

「日本は素晴らしい国だ。だって、日本には、和食屋だけでなく、イタリアンもあれば中華もあるし、フランス料理もブラジル料理だってある。それに音楽だって、演歌だけじゃない。POPSもクラシックもKPOPも、ロックだってある。そういう国は珍しいんだよ。」

私はこの話を聞いたとき、本当に嬉しく幸せに感じた。
「日本に生まれて良かったな」って強く思ったし、外国の若者に言われたこの事実を誇らしく感じた。


話を「彼女はキレイだった」完走の件に戻そう。

いま、一時期のトレンディードラマ時代に比べて、日本のドラマはレベルが下がったとか、面白くないとか言われている。
たしかに、私自身も最近Tverで「ラブジェネレーション」を観た時は度肝を抜かれたし、なんだ!日本ドラマもこういう恋愛ドラマ作れるんじゃん!と思った。

しかし、その頃と今とでは、日本のテレビ業界も時代が変わってきている。
テレビ業界と言えども、長時間労働やサービス残業は御法度となっているし、製作にかけられる予算も時間も限られているだろう。

そのような中で今回の「彼女はキレイだった」のように、韓国で反響を呼んだものをうまく取り入れ、新しい日本の良さを持ってリメイクすることは、ある意味今の時代に合っているんじゃないか、と私は思った。

賛否両論あると思うが、私自身は「彼女はキレイだった」のような作品を、どんどん観ていきたい。
新しい時代を迎えつつある日本のエンタメ業界が生み出す『ネオ・ドラマ』を今後も楽しみにしていきたいと思う。