通貨で貯蓄を行なってはならない
米国経済は転換点にある。インフレ率は9%から3%台に下がってはきたが、長らくそのまま横ばいとなっており、私の分析によればここから上がってゆく可能性が出てきた。
金融市場は少し前まで今年6回の利下げを織り込んできたが、その楽観は修正されて今ではたった1回の利下げ織り込みとなっている。連銀総裁らが利下げを急がない意向を次々と表明しており、Fed自身もトーンを落としていると言える。
私に言わせればそれも可能なのかどうか、むしろ利上げの可能性を考えるべきではないのかということである。
しかし今ではたった1回の利下げ織り込みとなっているのに高値を更新しているのである。元々は今年6回の利下げを織り込んで上がってきたわけだが、5月に入って上昇したのは長期金利が下がったからである。見事に相関している。市場は楽観しているようである。
私はインフレ再加速を警告しているが、実は株価予想にはインフレがどうなるかはあまり関係がないのである。何故ならば、もし株価が上がっているとすればそれ自体が利上げがインフレに効いていないことを意味するからである。インフレが収まるならば株価は下がる。インフレが収まって株価が無事だというシナリオを信じている人は、単に頭の中がお花畑なだけである。
だからもしインフレが継続するなら株価は一度上がるが、その場合あとから利上げのリスクに直面して株価は下落し元の場所に戻ってくる。インフレが収まるならば景気後退になって株価は下落する。
だから今年の相場は良くて横ばいなのである。何故横ばいかと言えば、仮に株価が上がったとしても、それはインフレが収まっていないということを意味するので、その場合には金利が上がって株価には下方圧力がかかるからである。
一方で、本格的な暴落になるかどうかは景気後退が来るかどうかによる。経済統計を見ている限りでは年内の景気後退は可能性が低いと思うので、恐らくそのシナリオは来年に回されるのだろう。
今年は横ばいか、利上げ織り込みで一度大きく下落してから景気後退がまだ来ないと分かって持ち直して横ばいか、どちらかだろう。
ちなみにそれはアメリカだけを考慮した場合であって、中東リスクは何も解決されていないのでそちらも注意したい。
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