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胸焼けドーナツ

アメリカ出張が近い。

海外に行って一番楽しいのは、朝ごはんを探すことだ。
美味しかった思い出も不味かった思い出もあるが、その中でも強烈な朝ごはんの思い出がひとつ。

初めてアメリカに行った時のこと。
案内してくれていた大学教授におすすめの朝ごはんを聞いたら、彼は即答でこう答えた。

「そりゃダンキンのボストンスペシャルだよ!ダンキンドーナツはボストンが発祥なんだ」

あれを食べずしてボストンに来た意味はないという熱烈な語りを聞き、素直だった私は翌朝いそいそとダンキンドーナツに向かった。
コーヒーとボストンスペシャルなるドーナツをひとつ受け取って、思いっきりドーナツにかぶりついた、が…

甘い。

もう一瞬で虫歯になったんじゃないかと思うくらい甘い。
コーヒーとかじゃ打ち消せないフォンダンの攻撃力。
カフェオレとかにしなくてよかった、ほんとよかった。

これがアメリカの洗礼である。
ドーナツ自体はとても美味しかったのだ。美味しかった気がする。
でもいかんせん甘すぎた。
時差ボケもあって万全ではなかった私の胃はあっという間に白旗を上げ、その後丸一日胸焼けで何も食べれなかった。

結局アメリカから帰ってきたら何故か痩せていたし、おまけに甘味に関する感覚がいささか鈍っていた。
おかげでニューオーリンズ名物カフェ・ドゥ・モンドのベニエには余裕の勝利を飾ることができたけれど…
さあて、今度の出張先はどうかな?
期待と不安に震えながら、胃薬と整腸剤をスーツケースにそっと仕込む。
君たちが頼りだ。頼んだぞ、薬。

読んでくれてありがとうございます。 我が家のお猫様4人のちゅーるに早変わりします。