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究極奥義 プレーンオムレツ

村上春樹のなにかのエッセイに書いてあった理想の朝の風景が好きだ。
手元に本がないのでうろ覚えだが、
『ぽんっとひっくり返してささっと焼いたプレーンオムレツとコーヒーを寝ぼけまなこの女の子に出す』
みたいな内容だった、はず。
しかしこの描写、実際にやれるとしたらかなりの料理の腕を持っていると思う。
だってプレーンオムレツは卵料理の真髄だもの。

均一な黄金色。シンプル極まる形。ふわふわの口当たり。
ホテルビュッフェに行くと、まず最初にシェフが目の前で焼いてくれるオムレツを探してしまう。
簡単そうに見えるけど、あんなに難しい料理はない。

中学の頃、家庭科の課題で卵料理を作るように言われた。
それならプレーンオムレツで勝負しようと大それたことを考えた私は、母に猛特訓をつけてもらった。
その結果消費した卵は約20個。
もっと小さい頃に卵の割り方をマスターするのに20個使ったそうだから、今までの人生で40個の卵を練習に使ったことになる。
よく許した、いや処理したな、母よ。
ちなみに家庭科の授業では、それなりのプレーンオムレツを焼き上げることに成功したが、シンプルすぎるという理不尽な理由で評価が伸びなかった。
今だに少し納得がいかない。

プレーンオムレツを上手に作るのに必要なのは使い込んだフライパンらしい。
油を馴染ませた、滑りの良いオムレツ用フライパンが何気なくかけてあるキッチンは、きっと幸せな場所だ。
朝起きて、なんでもないことのようにくるくるとプレーンオムレツを焼く。
そんな休日の朝もいいと思うのだ。

読んでくれてありがとうございます。 我が家のお猫様4人のちゅーるに早変わりします。