20年ぶりのお月さま

保育園の送迎。15分ほどの道のりを次男と歩きながら、子どもの話をきく。とりとめのない話。今夜の晩ごはんのこと、最近推しのポケモン(ガオガエン)のこと、路上でぺったんこになった虫のこと、空に浮かんだお月さまのこと…etc 5歳児の観察力・発想力は侮れなくて、思いもよらないことを感じていたり、考えているから面白い。

子どもの話をきいていると、高校時代のI先生のことを思い出す。授業中に唐突に息子さんの話を始める先生で、子育てをしていて驚いたことや感動したエピソードをよく話されていた。「その時、息子はいったね。」というのが決まり文句。エピソードにはよくお月さまが登場した(どの子もお月さまが好きなんだ、と今は思う)。

先週、そのI先生と偶然再会した。いつものように仕事をしていると、窓口にふらっと現れたのがI先生だった。最近もI先生のことを思い出したこともあって、この気持ちを伝えなければ!と思い、ドキドキしながら話しかけた。残念ながら、私のことはお忘れになったようで、あまり噛み合わない会話で終わってしまった。

まぁ仕方ないか…と思っていたら、翌週、I先生が窓口に再びみえて、昼ご飯でも一緒にどうか、とのお誘いを頂き、翌日、学生食堂でご一緒した。高校の卒業アルバムを眺めながら、昔と今を行ったり来たり。とても素敵な時間だった。

I先生の息子さんはすっかり成長されて、今はもう社会人だそうだ。そして、僕は当時のI先生に近い年齢になり、子育てをしている。時々、高校や大学の頃に出会った大人が語っていた言葉を思い出す。よく覚えているもので、その1つ1つが今の自分の価値観の一部となり、道標になっている。そう思う。

会話の最後。I先生は一呼吸おいて、私に言った。

「今、佐々木さんは幸せですか。」

その問いかけ方がいかにもI先生らしくて、思わず吹き出してしまった。

おかげさまで。うちの子達もお月さまが好きなんですよ。

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