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今年は全面オンラインだ!花開くコリア・アニメーション2021+アジア体験レポート!

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2021年5月19日(水)〜5月23日(日)にかけて『花開くコリア・アニメーション2021+アジア』が今年も開催されました。

花開くコリア・アニメーションとは
韓国唯一のインディーズ・アニメーション映画祭「インディ・アニフェスト2020」で上映された短編を中心に、韓国やアジアの最新のアニメーション作品を上映するイベント。通称“花コリ”。
2008年からスタートしており、現在は東京・名古屋・大阪の三会場をベースに実施しています。

私は昨年、初参加。去年の模様もレポートを書いております。(↓)

例年はオフラインでの開催イベントなのですが、その他の映画祭と同じく花コリも今年は全面的にオンラインでの開催となりました。

今年は長編映画の上映こそなかったのですが、今年はなんと太っ腹なことに各種トークイベントをYoutubeにて無料配信。密な内容をじっくり楽しむことができました。

花コリ2021!今年の見どころは?

今年の見どころとして、特別上映として細川晋監督の『DINO!』の上映が実施されました。

本作はワニと船が合体した謎の生命体・ディノと少年の冒険譚。
すでに新千歳空港国際アニメーション映画祭での上映の際に、現地で見てはいたのですが、改めて鑑賞の機会となりました。

ディノの愛嬌のある表情が可愛いく、ライバルのバク(らしい)との最終決戦はまるでポケモンバトルのようで熱いのですよ。

作品だけでなく、今回はスペシャルトーク『DINO!』への旅も実施。
細川晋監督に加えて、聞き手に『ちえりとチェリー』『チェブラーシカ』の中村誠監督を迎えての聞き応えのあるストップモーションアニメトークが実施されました。

『DINO!』に“かわいそうなワニ”という副題を想定していたことや、ワニに船が付いているのは、もともと別の話の悪役としてワニを想定していて、『ピーターパン』に出てくるフック船長と因縁のあるキャラクターを想定していたため、ワニと船が結びついたというエピソードは、より作品を深く味わえる情報でした。

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画像引用:https://amzn.to/3wAwLHE

ちなみにディズニーに出てくるワニの名前は“チクタクワニ”。
昔はキャラグリがあった気がするんですが、いつの間にかいなくなりましたね。

ちなみにトークは1週間だけYoutubeで配信されておりました。

充実した無料配信トークイベント

その他にも複数のトークイベントが実施されています。

オープニングトークでは「コロナ時代、映画祭の明暗」と題して、インディ・アニフェスト映画祭のディレクターのチェ・ユジンさんに加えて、新千歳空港国際アニメーション映画祭のチーフディレクター・小野朋子さんをゲストにトークを実施。

コロナ禍に映画祭を実施するにあたって具体的にどんなことをしたのかを紹介してくださいました。運営側も手探りながら、いかに安心して参加してもらえるか四苦八苦していることがわかりました。

あえて大きなスクリーンを確保して、ひと席開けても十分な人が入れるようにするというアイディアはなるほど、と思った一方で、韓国側が収容人数に対して制限をしたことで、その作戦が思い通り働かなかったというエピソードは、イベント側と政府の動きがうまく噛み合わない例として大変さが伝わりました。

その他にも、『魔王の娘、イリシャ』のチャン・ヒョンユン監督の右腕美術監督のパク・ジヨン監督とオフィスH伊藤裕美さんによるトークライブ。

アジア短編プログラムで『そのままでいい』を手がけたジェシカ・ウー監督とニューディアー代表の土居伸彰さんによるトークライブ。

インディ・アニフェスト大賞受賞作『クム(夢)』のキム・ガンミン監督と『DINO!』の細川晋監督によるトークライブなどが実施されました。

『クム(夢)』に影響を与えている意外な映画

中でも、『クム(夢)』のキム・ガンミン監督のトーク配信がなかなか面白く、実際の人形を見せてくれたりとキム監督とサービス精神がふんだんに発揮されたトークライブでした。

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この『クム(夢)』という作品は日本でも観客賞を受賞した作品。

本作は、監督のお母様の予知夢を描いたストップモーションアニメで、白く発砲スチロールのような質感(スポンジ系の素材らしい)が、どこか無機質で夢という不確かな存在に合っていて絶妙。モリモリとあの素材が増殖していく画は、まさにセンスオブワンダーです。

トークで語られてわかったのですが、人形の素材はソファなどに使われるスポンジ。結構なサイズの人形でした。

そして、一番驚いたのが影響を受けたとされる日本作品『The Pornographer』。のちの交流会で発覚したその正体は今村昌平監督の『エロ事師たちより 人類学入門』の英題でした。

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画像引用:https://amzn.to/3fkkVf2

本作未見なのですが、どう影響を与えている作品なのか、観ておきたい一本です。

おすすめの短編アニメ作品たち!

その他にもトークイベントこそなかったものの、面白い短編アニメは盛りだくさん。

個人的に今回のイチオシは、『ホモ・エレクタトゥース』という作品。

全身火傷を負った男の顛末をスプレー画のようなアニメーションで見せる一本。随所のドクロをモチーフにしたアイテムたちのカッコ可愛さが完全に私好み。オチを含めて、綺麗にゴールがキマって、今期一のお気に入り作品となりました。

昨年、新千歳空港で見逃して悔しく思っていた『少し足りない女』も観られてラッキー。コミカルなバラバラの身体の女の子の話で、深く考えずにも楽しめる一方で、作中で描かれていない作中の世界の広がりへの想像が止まない深みがある秀作でした。

体験自体が驚き!オンライン交流会

そしてきわめつけは、Gather Townというサービスを理由してのオンライン交流会。運営の方や、クリエイターの方、花コリの観客として参加した私みたいな人間も混ざっての交流会が実施されました。

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ドラクエやポケモンのようなキャラクターを操作しながら、擬似的に交流するシステムで、自分のキャラクターの近くに居る人の映像と音声が随時、表示されるシステムが、実際にその場に居るような距離感を生んでくれて、おもしろい!

◯×ゲームのオリエンテーションや、別室に移動してじっくり大人数でのビデオ通話など、「こんなサービスあったんだ!」とシステム含めて実に楽しい体験となりました。

ご一緒いただいた皆様ありがとうございました。

花コリ、来年にも期待!

開催前までは、「今年は長編アニメーションの出品がないし、参加しなくてもいいかなー......」なんて思っていたのですが、思い切って参加してみて正解!

観てよかった!と思える作品の多くや、他にないイベント形式など、実に密度の濃い時間を過ごすことができました。

これは来年も期待できるのではないでしょうか。
今年はすでに終わってしまいましたが、ぜひ来年はこれを読んでる皆様の参加もおすすめいたします。

来年は、実際に現地のスクリーンで観れるといいですね......。

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