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【映画レビュー】ウクライナ発!『ストールンプリンセスキーウの王女とルスラン』の感想

公開から間が空いてますがレビューを書くシリーズ。

『ストールンプリンセスキーウの王女とルスラン』のざっくりとした感想

『ストールンプリンセスキーウの王女とルスラン』を観てきました。

ストールンプリンセス キーウの王女とルスラン
制作年:2018年 / 制作国:ウクライナ
94分
監督:オレ・マラムシュ

https://eiga.com/movie/98060/

2018年にウクライナで公開されたファンタジー映画が遥々日本上陸!本作の日本公開に向けてクラウドファンディングを実施し、930万円以上の支援が集まり満を持してついに一般公開がスタートします。

売れない役者の青年ルスランと自由を求める王女ミラが身分違いの恋に落ち、悪の魔法使いに立ち向かうファンタジー作品です。
日本語吹き替え版では、グローバルボーイズグループ・INIの高塚大夢さんが主人公ルスラン役で声優に初挑戦し、INIが日本語吹替版主題歌を担当します。

本作を配給したエルフィルムズの粉川なつみさんは本作の配給をきっかけに「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を受賞しています。

あの『羅小黒戦記』をチームジョイにて配給を担当。その後に独立し本作の配給に尽力し、紆余曲折を経て日本上映にたどり着いた映画なんですよね。

そういった背景を知っているので、基本たくさんの人にて観て欲しい映画ではある一方……映画の出来といった話になると、まぁ話は別。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……


フツーは日本上映されないようなタイプの映画。



ちょっと前だったらビデオスルーされて入ってくるような仕上がりの作品でした。

とはいえ、配信文化が主流になってソフト自体が出ない時代に突入しているので、本来は入ってこなかった映画が上映されたと考えるとやっぱり貴重。

本作の感想をもっと詳しく書いていきます。


『ストールンプリンセスキーウの王女とルスラン』のもっと踏み込んだ感想


■3DCGの出来は悪くない……がすこぶる良いわけでもない

かつてはアメリカの大手アニメーション会社でもなければ、チープな3DCGアニメーションばかりだった時代もありましたが、“フツーは上映されないいタイプの映画”と言ってももう2010年代後半ともなると、そんなにチープな映像は出てこない!

ということで、本作映像面は十分高いクオリティ
さすがにピクサーとかドリワに並ぶかと言われれば難しいけど、あっちは上映スケールが違いますからね。かけてるお金も違うのですよ。

(C)2018, SSVG EAST FUND INVESTMENT LIMITED (C)2018, “ANIMAGRAD” LTD (C) 2018, Ukrainian State Film Agency

ってあれ、このヒロインの女の子、どこかで見覚えが……

(C)2019 Disney. All Rights Reserved.

というわけで、ヒロインのミラ王女の顔立ちは思いっきり『アナと雪の女王』のアナ意識を感じるデザイン。

それ以外にも、本作はさらわれた王女を救うべく、売れない役者の青年ルスランが騎士となって魔法使いチェルノモールに挑む直球ファンタジーなのですが、二人が出会いを経て冒頭で繰り広げられる夜のデート展開も『アナと雪の女王』味を感じる導入。

私が『アナ雪』のアナが好きだからなのかなと思いつつ、出会って一悶着もなく二人が豪速球で“結婚”に向かおうとしていくところはやっぱ『アナ雪』の風味だよ。

売れてるものに学ぶ姿勢は大事ながら、オマージュ元がチラつく感じは配信入国映画っぽい部分です。

『アナ雪』っぽさがぬぐいきれてないのはノイズ。


■恋愛映画として大好きだー!

ただ、このまっすぐな恋愛要素がめちゃめちゃこの映画の良いところ

分格差とか女性の自立といったテーマが出てきてもおかしくないキャラクター設定なのに、そういった課題は周辺には転がしつつ、ルスランもミラ王女も恋は盲目的にお互いのことを好きすぎるので、その青さが眩しすぎてたまりませんでした。

相手を好きすぎる描写で私が特に好きなシーンが、ルスランが悪役チェルノモールに騙されてフラれたと勘違いするシーン

(C)2018, SSVG EAST FUND INVESTMENT LIMITED (C)2018, “ANIMAGRAD” LTD (C) 2018, Ukrainian State Film Agency

明らかにやる気を無くして敵を目の前に仰向けになったり、騙されたと分かり冷静に殺気立つんですよ。あからさまな豹変ぶりが最高。
未だかつてこんな主人公が居ただろうか。

しかしこれもまた確かに愛だ!

世界平和とか関係なしにマジで好きぴのためにだけ燃えるルスラン。
マジで最高。
ありそうでなかった主人公像がここにはありました。

あまりにもまっすぐすぎる恋愛描写がだぁいすき。


■ウクライナでの戦争要素はない一方で……

そして本作はウクライナでの公開は2018年ということで、ロシアの侵攻を思わせるような内容は作中に現れず気楽に物語を楽しめます

(C)2018, SSVG EAST FUND INVESTMENT LIMITED (C)2018, “ANIMAGRAD” LTD (C) 2018, Ukrainian State Film Agency

一方、逆にこの明朗快活さが「今はこの映画を作れていた環境にない」ことをより悲しくも感じさせられたりも。今回添えられた“最後のメッセージ”がじんと来ます。

現在、本作を製作したクリエイター陣は世界各地に避難し、そこで新作映画を製作中。

そちらはロシアの侵攻以降完成ということでまた別の意味が乗ってきそうですね。

新作『MAVKA』は昨年完成済み。日本上映待ってます。

ウクライナの戦火が良い意味で消えることを祈るよ。


まとめ

●ラブストーリーとして大好き。
●映像面のクオリティも高め。
●なんかアナ雪っぽい。

というわけで、珍作っぽさもありつつも、楽しいし何よりバカップルっぷりがフツーより突き抜けてて最高でした。

上映は昨年秋なのでもう上映はほとんど終わってしまっている……と言いたいところなのですが

なんと2024年2月に東京と大阪にて再上映が決定しました。
しかも今回は応援上映も実施。
愛される作品になって良かったです。

ぜひまだ観たことがないという人はこの機会に映画館で、敵を前にしてやる気をなくすルスランを見に行こう!


公式サイト


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