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【映画レビュー】“失敗”にいかに向き合うか?ネタバレあり『バズ・ライトイヤー』の感想
ピクサー映画がスクリーンに帰ってきましたよ!
『バズ・ライトイヤー』のざっくりとした感想
初日の大阪・梅田TOHOシネマズで『バズ・ライトイヤー』を観てきました。巨大な1番スクリーンのドルビーアトモス環境での上映でしたぜ。
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バズ・ライトイヤー(原題:Lightyear)
制作年:2022年 / 制作国:アメリカ
PIXAR制作 / 105分
監督:アンガス・マクレーン
ピクサー最新作にして久しぶりの劇場公開作品となったのは、『トイ・ストーリー』で知られるバズ・ライトイヤーの“元ネタという設定”の映画。おもちゃではないバズがどんな人物だったのかを描く作品となっています。
監督は『ファインディング・ドリー』の共同監督や、短編『ニセものバズがやって来た』や『トイ・ストーリー・オブ・テラー!』の監督でもあるアンガス・マクレーン氏です。
本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
傑作!
ここ数年のピクサー映画は、かなり信頼できると思っていましたが、今作もその流れを止めることなくしっかりよく出来ている。
変に『トイ・ストーリー』で知るバズを意識すると、気になるところはあるのですが、完全に新しいキャラクターとして受け止めるとその完成度を感じられます。
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というわけで、ざっくりではなく、ネタバレ含めてもっと詳しい感想を書いていきます……以下、本編の内容に触れますので予めご了承くださいませ。
ピクサー流“失敗”との向き合い方
そもそも観始めるなり、ちょっとビックリしてしまったのですが、始まって早々の段階で「えっこんな話だったの!?」というSF節にビックリ。
なんたってバズが“ウラシマ効果”でひと世代分ぐらい時代を飛び越えてしまう事態に陥っており、導入から度肝を抜かされました。
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ここの時間の経過の見せ方のテンポとか、またサイコーなんですが、何よりも物語の見せ方が上手い!ここで散々時間という犠牲を払ってでも“失敗”を挽回しようというバズのドラマから、バズ自身のキャラクターへの愛着や理解が深まっていくのに、加えて後の展開に別の引き目を感じさせるのだから恐ろしい。
この映画、ひたすらにそんな“失敗”との向き合い方を描いた映画でした。
映画の主役であるバズの失敗との向き合い方
“出来ない側”であるイジーの失敗との向き合い方
さらにはヴィランであるザーグの失敗との向き合い方……
いろんな立場を見せた上で、最初こそできる人間とできない人間の話かと思いきや、万人に“失敗”が付き物で、その上でできることが増えていく……一番よくないのは“失敗を無かったことにすること”というメッセージをスマートに描く巧さが恐ろしい。
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最後までキャラデザにこそ全く好きになれなかったけど、ほんと、すっかり大好きになってしまいました。
“失敗”との向き合い方というテーマの描き方が素晴らしい
『トイ・ストーリー』ファンをしっかりニヤリとさせる演出はあるけれど……
今思うと無理に『トイ・ストーリー』に結びつけて、バズの映画にしなくても良かったと思ってしまうのは、そもそもバズの造形に魅力を感じていなかったからこそ。バズに引っ張られなければガジェット部分でもっと魅力的にできたかもしれないですね。
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ちなみに、『トイ・ストーリー』シリーズは追ってなくても全然大丈夫な映画でした。『1』と『2』を観ておけば、「元ネタだ!(こっちが後発だけど)」とか、ニヤリとさせられる展開がある程度です。
例えば、一番最初の惑星着陸シーンは『トイ・ストーリー』の『1』のバズ登場シーンのリフレインだったり、クライマックスで羽を広げて活躍する展開も同じく『1』のリフレイン。
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ザーグの中身を観て父親だと思うのは『トイ・ストーリー2』での、ザーグが父親だと打ち明ける展開からの引用……なんだけど、もちろんこれは『スター・ウォーズ』が元ネタ。
というかこの映画が『トイ・ストーリー』のバズの元ネタという設定なので、こっちがオリジナルという、一から説明するとややこしいんですよね、設定。やっぱり、『トイ・ストーリー』のことは気にしないのが正解かも。
『トイ・ストーリー』という元ネタはあってない様なもの
日本語ローカライズは大事故!
そして、今回一番大問題だと思ったのがローカライズ!
PIXAR作品に顕著なのが吹替版だと、本来英字で書かれていた部分を日本語にわざわざ変えてくれるのですが、今作、本当に作品に合っていない!
吹替版で観たのですが、百歩譲って冒頭のプロローグとかを日本語にするのを許すとしても、名札とかいちいちカタカナに直さなくて良いし(何ならフカンだと英字のままだし)、ラストにカタカナで『バズ・ライトイヤー』というタイトルが出た瞬間の締りのなさにはズコーッてなりました。
日本語が気になりすぎて、ザーグのロボットの胸元の記号も実は、ひらがなの「こ」なんじゃないかと気になっていたのですが、どうやら向こうの玩具も「こ」って書いてあるから「こ」ではないらしい。
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英字の日本語直しが、過去最高レベルで悪い仕事をしていたことはマイナスポイントとしてしっかり申し上げます。ほんと、やめて。
日本語ローカライズは最悪でした。
まとめ
●“失敗”をテーマにした物語は流石のピクサークオリティ
●『トイ・ストーリー』のスピンオフという事が足を引っ張ってる
●日本字ローカライズ合ってなさすぎ
といった感じでほんと、話としては大好きなんだけど、文句言われるのもわかるし、ローカライズ部分はホント嫌だったので、もったいない映画でした。
ただ大声で腐す様な映画ではないと思うので、いたずらにいじめる様なら私は声を大にして『バズ・ライトイヤー』を守りたいぞ!
ただ科学的な部分やタイムパラドックス的な部分では色々ツッコミどころがあるそうなので、そういうのがざっくりな人の方がオススメなのは確かなのかもしれない。事実私がざっくりだし。
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あと、媚びキャラだと思っていて、鑑賞前は好きになれなかったソックスは、作品を観るとまんまと好きになっちゃいますね。そういうとこも上手いよ、ピクサー。
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