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ねじ工房「こだわり」

以前デザフェスであった事です。
金属加工に携わっているというお年を召した方に「この指輪、表面に引っかかりがあるから服とかにひかっけちゃうかもしれないんで、もうひとなめ旋盤で挽いてくれないか」と言われました。「うちはねじのみ製作なので専門外なんです、すみません」と言うと「だって指輪の表面がギザギザじゃあダメでしょう。普通ピカピカにしなきゃ」と、若干突っかかり気味にきましたので「うちの商品は削って作ったという事を前面に出す意味でも変にきれいに仕上げず、ひきめが残ったままでも良いいと思っております、ご了解ください」と反論しました。で、連れが「気になるようでしたらご自身でどうぞ」と追い打ちをかけましたら、とりあえずはそれ以上言ってくることは無く、一応購入いただきました。

まあクレームまではいきませんが、うち的には表面がどうのって言われたのは初めてで、実際ピカピカにはなっていませんが「それがどうしたの?」です。

今回、相手の方が加工やさんでしたので、ご自身の中での製品の仕上がり具合の、言い方は失礼ですが「勝手な」判断基準があったのかもしれません。それと指輪はピカピカなものだという固定観念。

以前も書いたんですが、製品の仕上げをピカピカにしなければいけない、という理屈はどこにもありません。そういう明確な指示があれば別ですが、今回のものは「うちの商品」なんですから、こちらの理屈が全て、です。

ピカピカな指輪を欲する方と、削ったままの状態が良いという方と、前者の方は多いのかも知れませんが、後者のニーズもあるのなら、あえてそこを狙うのは悪い事ではないはずです。

売る方が「自身の理屈」を押し通したって良いじゃないですか。販売するにあたり「顧客のニーズを」ばかり気にするのじゃなく。

特に「デザフェス」はそういう場、だと自分的には思っています。こっちの思いを気に入ってくれたら買ってね です。

※2012年にFacebookに投稿したものを加筆修正したものです。


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