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20230527の自動記述による詩

仮定

結果それは戦いではないのです。争うことはもうやめたのです。
だからこの殴り合いも、これは戦いではないのです。
痛いとさえ思わなければ、痛みではないのです。
苦しいとさえ思わなければ、苦しみでもないのです。

地面の上で倒れていても、這いつくばってもがいていても、
苦痛とさえ思わなければ、苦しみではないのです。

光陰

水たまりを踏んだ
雨上がりの儀式の一つとして

カメラを覗き込んだ
風景に対する尊敬の一つとして

朝ごはんを食べた
本当は何も食べずに家を飛び出した

すっかり晴れたのが嬉しかったから

虹は出ていなかった
埃っぽい空気が鼻腔をくすぐった

長靴じゃなかった
お気に入りのスニーカーを履いて出てきた

誰かとすれ違った
わたしじゃないどこかの知らない誰かと

振り向きたくなった
とても可愛いバッグを持っていたから

何もすることがないから
何もしなくてもいいし
何かをみつけて過ごしてもいい
今日はそんな何もない日

帰路につくのが嫌でもなければ
早く帰りたい訳でもないけど
今日の寝床はあそこしかないから
おとなしく家に帰った

日記もつけず音楽も流さず
電気も点けず着替えもせず
ベッドの上で頭の中で
今日一日を繰り返した

おくすりを飲んだ
今日の一日の最後の締めに

明日ことを何一つ
考えずに眠りにつこう

灼熱

灼熱
真夏
いかれた
季節に

打ち出の
小槌の
些細な
ご褒美

夢も
未来も
憧れも
叩いたところで出てこない

わかっているのに
一縷の望み
願って縋って藁をも掴む

太陽落ちても
熱帯夜
狂いは夢まで追ってくる

気持ち
違えば
気が
違う

想いと
想いは
すれ違う

握った拳が心を痛めて
柔らかな頬が
腫れ上がる

沼にて

闇の、沼の、深いところに
どろりと落ちて
きもちいい

泥がゆっくり、わたしの身体を
浸食していく
きもちいい

飲み込まれていく
飲まれていく
ハマっていくのが
きもちいい

染まったわたしを
浸かったわたしを
洗わないで、引き上げないで
ただ、このままが きもちいい

生存するための練習

夜は目を閉じて
狩猟と生存の練習だ。
生きるためのイメージトレーニング。
爪を研ぎ牙を磨いて、本能を呼び覚ます予行演習だ。

風のような俊足で
捕食から逃れる練習だ。

かじられたら
切り捨てろ。
惜しまずに。
生き残るためのテクニック。

折々

干上がった池に雨が降ってきて、ただの窪地が水で溢れる。
綴るを忘れていた場所を言葉で埋めていくのはそんな感覚。
異常気象の精神に帰ってきたのは春夏秋冬。
25%のバランスのよい力加減など要らないから、
のどかに、暑く寒く、吹きすさび散り乱れ、
色とりどりを見せ続けていて欲しい。
わたしはひらがなでかたかなで、時に漢字やアルファベットで、
その移り変わりをスケッチしよう。

対になるもの

短い夜と長い夜
対になるなにかがすき
熱い風と冷たい風
燃える恋と冷めた愛
対になるなにかがすき

表と裏が
ひとつになっても
きっとまた
裏と表にわかれていく

そうして似ていて異なる
何かと何かの二つの対になる
そんなものがすき

否定

愛されれば愛されるほど
愛情を嫌いになって
わたしのことも嫌いになって
命を天に突き返したくなる
優しさも辛くって
この身を炎で焼きたくなる

だって自分は無価値だから
わたしがわたしを否定する
だから
わたしはあなたを否定する
あなたがわたしを否定しなくても

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