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【南仏プロヴァンス暮らし】Le Rhône sous la pluie / 雨下のローヌ川

私は川が、川のある町、風景が好きです。

パリが特別な町である理由はたくさんあるでしょうが、私にとってはセーヌ河岸、全体が世界遺産である川とそれをかたどる建造物群の、得も言われぬ美しさがまず浮かびます。


2019年の初夏、修士課程1年目の終わりに、プロヴァンスのアルル(Arles)という町でインターン(stage、スタージュ)をしました。
2か月間、エアビー(Airbnb)の狭い一室を借りて家主と共同生活。スタージュ先の企業はアルル中心部から離れた野原(笑)の中にあり、毎日往復12km、自転車を漕いで通いました。

その道中、毎度渡ったローヌ川。今日はそのローヌの数枚を。


ローヌ川はセーヌ(la Seine)、ロワール(la Loire)、ガロンヌ(la Garonne)と並ぶフランスの四大河川の一つです。フランスを通過する長さとしてはロワールに次いで二番目、全長800km超。

プロヴァンスの5月、小雨が降って寒い日の夕方、ローヌ河岸を一人歩いた。

雨下の、でも晴れていたとしても、川がいつも少しだけ悲しげに見えるのはどうしてだろう。思えば、日本の川は急流が多く勢いがあるので、こう感じるのはヨーロッパの川を見る時である気がします。

フランス語だと「川」を表す単語がいくつかに分かれていて、海に注ぐ大きな河川は「le fleuve」、そのfleuveに注ぐのが「la rivière」、さらに小さな小川は「le ruisseau」です。

なぜか、正確にわからないけれど、私はfleuveを前にしていると落ち着き平穏を感じます。上の写真を撮った日も傘を差さずに歩いていましたが、寒さも冷たさも問題なかった。いつか海に注ぐ、大きくて静かな川が安心を与えてくれるのかもしれません。


雨の下ローヌ河岸を眺めていたら、オードリー・ヘップバーンの声で「Moon river」が頭の中に流れてきました。

Moon river, wider than a mile
I'm crossing you in style someday
Oh, dream maker, you heartbreaker,
Wherever you're going I'm going your way
Two drifters off to see the world
There's such a lot of world to see
We're after the same rainbow's end
Waiting 'round the bend,
My huckleberry friend,
Moon river and me

ちなみに「ティファニーで朝食を」(フランス語だとDiamants sur canapé)、最も好きな映画の一つなのです。


よく知らない町でスタージュを開始した当初の、曇り空に一人、少し寂しい日の思い出でした。