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日記(2024/7/3、7/5)

ちょこちょこと書いている日記から、今週の二日分を抜き出しました。


2024年7月3日(水)

二十二時。
リビングのソファから仕事机に目をやると、見慣れないビビッドピンクが目に入る。
何だあれは......。そう思いながら近寄ると、なんとわたしのブラジャーが机に引っ掛けられていた。

どうしてブラジャーが仕事机の側面に引っ掛けられているのか。
犯人は数時間前のわたしだ。

わたしは家では基本的にノーブラだ。在宅勤務でももちろんノーブラ。
しかし今日は社外とのオンライン会議があり、珍しく襟付きの服(と下着)をイヤイヤ着けていた。

会議が終わった瞬間に着替えたかったが、会議が押していた。「退出」ボタンを押した瞬間に、もう次の会議へ入らなければいけない。

そこで、会議に出ながら着替えることにした。
「入室」ボタンを押して「すみませ〜ん、前の打ち合わせが押しまして......」と言いながら、背中に手を回す。

よし、ブラのホックが外れた。
カメラには顔と肩しか映らないため、腕を上下させなければ違和感はない。

さらに身体をイスに沈め、肩をカメラから外す。
袖から手を突っ込んで素早く肩紐を下ろす。音を出すと、参加者の画面に自分がデカデカと映し出される。話す順番が来ないことを確かめながら脱がなければいけない。

いよいよ最後。お腹の辺りから手を差し込む。
カップとカップの間を掴み、シュパッとブラジャーを抜き取った。

よしっ!

見事に会議に出ながらブラジャーを脱いだのだが、今度は右手に掴んだブラの行き場がなくなってしまった。

机の上はカメラに映らないはずだが、手やコップを引っ掛けた弾みに映ったらと思うと気が気じゃない。

どうしようか、と思った時に視界に入ったのが、机の側面に引っ掛けたS字フックだった。
これだ。

同僚の発言に笑顔でうなずきながら、ブラジャーを右手から左手へ持ちかえ、S字フックに引っ掛ける。これで安心。

空いた手をキーボードに戻し、何もなかったように会議に戻る。
こうしてブラジャーは忘れられたのだった。

狩りの獲物のように右手にブラジャーを掴みながら、夫に事の顛末を話す。
彼は「どうしてそうなっちゃったんだ......」と悲しそうに言った。

どうしてって、いま話したじゃないかと思うが、夫の「どうして」が指すのは恐らくブラジャーが引っ掛けられた経緯ではない。


2024年7月5日(金)

引き続き出張。
同じチームの同僚とハンバーグを食べながら、出張の荷物の話になる。

自分以外の二人が「ヘアアイロンは絶対に外せない」と口を揃えて言うので驚いた。いや、あなた達は飛行機で来てますよね......?

そのうち一人は、在宅勤務でも必ず毎朝髪をアイロンでセットするらしい。
彼女の外ハネを髪のクセかヘアゴムの後だと思っていた自分は、心の中で反省した。

だって、一日中家の中にいるのにヘアアイロンを掛ける(あれ? ヘアアイロンって『掛ける』でいいの?)なんて想像できない。
ショートヘアにして「これでコンディショナーとドライヤーがいらなくなった!」と喜んでいるわたしと彼女達には、努力とか心持ちでは超えられない隔たりがある。生き方の違いだ。

ちなみに、わたしの二泊三日の荷物は通勤用のリュックに収まる。
ヘアケア用品はクシのみ。基礎化粧品はすべてアメニティ頼りだ。

「でもホテルのアメニティって合わなくてヒリヒリする時ありません?」と聞かれたが、もちろんある。
でも、それはそういうものだから。そこまで含めて出張や旅だから。

その日泊まったホテルには、自宅のシャンプーの倍以上泡立ち、髪をギシギシにするシャンプーがあった。
アメニティの顔用クリームを半分髪に塗って、プラマイゼロ。
ということにした。

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