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日記:きっと今日のため(2024/02/18(日))

浴室に錆びかけのカミソリが置きっぱなしになっている。替え刃のストックも無く、冬なのをいいことに数ヶ月は使っていない。色々な箇所がぼうぼうだ。

ドラッグストアへ行くたびに女性用カミソリのコーナーで立ち尽くす。

複数のメーカーやブランドの替え刃が並んでいるが、自分が持っているカミソリはどれなのか自信がない。多分これだというメーカーはあるが、その中には紫とピンクの異なる名前のカミソリがある。間違えて買ったらどうなるのだろうか?
そこまで考えて「次は写真を撮ってこよう」と決意する。そして忘れる。この流れをもう三回は繰り返している。

二月になり暖かい日が増えた。
近いうちにタイツを脱いで、靴下でスカートを履きたくなるだろう。ニットの袖もまくるかもしれない。カミソリ問題は日に日に現実味を増しているのに、今日もスマホの中にカミソリの写真は無かった。

駅に来たついでに義務感でドラッグストアへ寄る。見た瞬間に「これだ!」と確信する可能性に賭けているので素通りはしない。
店舗に入ってすぐ、ラミネートされた真っ赤な広告が目に入った。

「店舗移動により、一部商品20%オフ」

なに!?じゃあ、あれも?
期待する商品は一つしかない。女性用カミソリのコーナーを目指してずんずん奥へ入ると、先に「男性用カミソリ全品20%オフ」の文字が目に入った。
勝ち確(勝ちが確定)だ。

予想通り。パステルカラーのカミソリが並ぶ一帯も「全品20%オフ」の広告で囲まれていた。

ピンとくる商品が無いのはいつものことだが、今日は迷う必要もない。さまざまな店舗を巡った中で一番見覚えのあるカミソリ本体と替え刃のセットを手に取った。危ない。本体はラスト一つだった。わたしのような人間が、ここぞとばかりにカミソリを買っている。

写真を何度も撮り損ねたのもきっと今日のためだったんだ。物覚えの悪い自分を正当化しながら、会計の列へ並んだ。
新しく買ったカミソリはまだ写真を撮っていない。


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