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[好きな広告を勝手に解説するシリーズ] とある求人広告 ~君の技術は、黄色いバナナのためにある。~

好きな広告を勝手に解説するシリーズ vol.9は、2004年のとある求人広告「君の技術は、黄色いバナナのためにある。」です。ちなみに、魅力的な企業ですが有名ではありません。

形容詞を操る

うつくしい、かわいい、たのしい、うれしい…などの形容詞。例えば「このねこ、かわいい」など、普段からよく使う便利なフレーズです。日常会話においては全く問題ないのですが、ターゲットにベネフィットを伝える広告、という場面において、これほど読み手に捉え方を委ねる単語はありません。にも関わらず、案外気軽に形容詞は多用されているのが残念で仕方ありません。そういう意味において、今回ピックアップさせてもらった広告は、それに該当しません。むしろ、形容詞という曖昧なワードが持つ魅力を、ぞんぶんに増幅させているのです。

ついつい便利な形容詞を気安く使用したのではなく、この広告のキャッチは黄色いを確信犯的に利用しているところが芸術的。ん?ってなりますよね。あ~そういうことか!なるほど!うんうん!と思っていただけるよう、頑張って解説してみます。できるかな、自信ないな。おてやわらかに^^

テンポが良い。

まず一つ目。「黄色いバナナ」の「黄色い」を除去して音読すると分かります。テンポというかリズムというか。57577だとテンポがいいけど、5757で止め、最後の7がないと、なんだか読後感がすっきりしないのと似かよっています。ん~、解説下手でスミマセン。でもいいんです。さらにスゲェのは次だから!

ついつい気軽に形容詞を使ったわけではない。と前述しましたがそれが二つ目です。

バナナの魅力を増す、重ね技。

バナナは何色?と聞かれたら、ほぼ100%の人が「黄色」と回答すると思ひます。広告でのコミュニケーションにおいては、同じことを伝えるなら短いほうが良い、という法則に則ると、黄色は本来不要です。でもあえて使った。それはむしろバナナの魅力度を増すためです。バナナより、黄色いバナナのほうが、「新鮮だな」「美味しそうだな」という印象を受けませんか。ほかに例を出すと、ボールより、丸いボールのほうが、「まん丸感」「やわらかそう」という印象になりませんか。形容詞にはこんな使い方があったのか!と勉強になりました。

わざわざ形容詞を使うのはOK、気軽に使うのは要注意。なんでここで「黄色い」をバナナにつけたんだろう?とやたらと気になって勝手に考えた結果、そういう答えに辿り着きました。以来コピー制作時は意識して形容詞を使おうと思うのですが、なかなかうまくいきません。

以上、広告好きの私見でした。ちなみに、この広告の制作者に僕の見解を言ったら、ふ~んと言われました。ひけらかさない対応までカッコいいです。カッコいいの定義は僕次第ですw


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