サイバーエージェントを退職します

2023年1月でサイバーエージェントを退職することにしました。
僕は2011年新卒入社なので、今年度で12年。ちょうど干支一周分いたことになります。

なぜ辞めるのか

元々は3年で辞めて独立する予定だったのが10年近く延びてしまった、という感じです。
職場の人に退職を伝えると、あまり驚かれず「むしろもっと早く辞めて起業すると思ってた」と口々に言われます。

なぜ10年も伸びてしまったのかというと「サイバーエージェント沼」にハマっていたからです。

学生の時から自分でアプリを作ってヒットさせたり、入社後も新規事業プランコンテスト(ジギョつく)や、全社経営会議(あした会議)で提案したりしていたタイプなのもあって、入社以来たくさんのチャンスをいただきました。
(やったきたことの記事→「経歴」)

事業を上手くいかせたら更なるチャレンジの話をもらい、上手くいかず撤退したらすぐに面白いセカンドチャンスをいただき、夢中になって働いていました。
まるで一度きりのAV出演と決めてた女の子がチヤホヤされてAV沼に引きずりこまれるような感じ(?)で、どんどんのめり込んでいきました。

おそらくここ10年の社員の中では、1番たくさん新規事業の責任者をやらせてもらったと思います。
ちなみに、これは誇れることに見えて、裏を返すと「1番たくさん失敗もした」ということで、誇れないことだとも思っています。
しかし、さらに裏を返すと「失敗しても次のチャンスを渡したくなる信頼があった」ということでもあり、それは誇りに思っています。

そんなこんなで、予定よりもだいぶ遅くなりましたが、1年ほど前に独立することを自分の中で決めました。そして、最後の1年間は経営企画室をの立ち上げを提案し、会社が困っていることを進んでやって恩返しをして、計画的にサイバーエージェントを退社をすることにしました。

辞めて何をするのか

入社した頃は「自分が作りたい事業をやれるようになりたい」と思っていました。

エンジニアからプロデューサーになり、プロデューサーから経営者になり、失敗と成功を繰り返し、「どうすれば事業がうまくいくのか」と事業戦略を学び、マネジメントを学び、気づいたらたくさん積み上げられ、ようやく自分の中で「少し出来る」と思えるようになりました。

そして念願だった独立のタイミングが近づき、さて何を作ろうかと考えところ、結構衝撃的ななことに気づきました。

「あれ、作りたいものが……..無い…」

十数年前はスマホが出たての頃で、世の中にたくさん不便なことがありました。しかし今では既にたくさんのサービスがあり、不自由はほとんどなくなっています。特にエンタメにおいてはコンテンツが飽和しており、消費が追いつかないくらいです。

そして僕には「自分らしいドメイン」というものが実はありませんでした。
思い返すと、サイバーエージェントでやってきた新規事業も、ドメインは社長や役員からもらっていました。
「ブラウザゲーム」「ネイティブゲーム」「カジュアルアプリ」「動画」「生配信」「VTuber」「SaaS」など、会社が新しい分野に切り込んでいく時に、「このドメインで上手くやってみて」という起用をされていました。
その度に、その分野を趣味にして、自分自身が入り浸り、どうすれば新しい価値を提供できるのか考えるという感じでした。

改めて、辞めて何をするのか

ドメインに固執がない一方で、フェーズにはこだわりがあり「立ち上げ期・グロース期」が好きです。「創造」というのが自分自身のテーマなのだと思います。

そして、自分が「立ち上げ期・グロース期」の事業責任者をやってきた中で、1番辛かったことがあります。
それは「右腕がいないこと」でした。

新規事業のリーダーは、やることはめちゃくちゃ多いです。マクロとミクロ、右脳と左脳を行き来していると、MPを大量に消費して、どこかに狂いが生じてきます。
現場寄りになって「事業や企画」に狂いが生じたり、現場と乖離して「マネジメント」に狂いが生じたり。
だから、リーダーにはそれらを分担できる「優秀な右腕」が必要です。

しかし、それはなかなか実現しないことが分かりました。
なぜなら、人間力学として、
「リーダーの右腕ができるくらい優秀な人は、自分もリーダーをやりたがる」からです。

ある会社が「バディ制度」というのを作り、1つの事業に2人のリーダー人材を投入するようにしていたのですが、いつの間にか無くなっていました。
2人の相性の問題も大きいし、先ほど言ったように、右腕人材が別事業をリーダーとしてやりたがって離れていくことも多かったです。

優秀な人を右腕に留めるには、王騎将軍のような器が必要です。

そして、自分についてもう1つ気づいたことがあります。
他人の新規事業が、右腕がいないせいで立ち上げきれなそうになっているのを見ると、心が痛くなるのです。
「2つの事業をやらずに、手を取り合って1つの事業をやればいいのに」と感じてしまいます。

これまでずっとリーダーをやってきましたが、「社長」「リーダー」といったポジションをやりたいわけではなく、「創造」によって「問題解決」がしたいだけの人なのだと気づきました。

自分のこの性格や、ドメインへの固執の無さ、そしてこれまでの経験・スキルを活かして「MIGIUDE」という、右腕を売る会社をやることにしました。
スタートアップのリーダーを、リーダーと同じ目線になれる右腕として支援する会社です。コンサルのように提案して終わりではなく、現場でリーダーの構想の実現に向けて一緒に汗をかきます。

具体的にどんなことがやれる人間なのかは、おいおい書いていこうと思います。

事業をつくっていける右腕がいなくて困っているスタートアップを支援していきたいです。

リーダーは「優秀な右腕」が欲しい。
しかし「優秀な右腕」は、別の事業のリーダーになる。

右腕の法則

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