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【詩】「手招き」

どんなに笑っても隠せないほどの
傷をあなたは負ってしまった
涙で流しても消えないほどの悪を
あなたは抱えてしまった
誘い込んだ私が悪役(ヒール)なら
あなたも充分素質があるわ
本当はあなただって 望んでいたんじゃないの
暗闇の中で笑いかけたのは
あの時私がそうしたからでしょ
苦痛に耐えられないと声をあげて叫ぶなら
変わりに幸福を招き入れてよ
傷つくことが怖いなら
その世界なんて捨ててしまえ
ここが良いか悪いかなんて
死ぬ時やっと知るんだ

夢の中で語る少女は僕にそっと手を伸ばす
彼女の暗闇のような瞳に吸い込まれて
いつもそこで目が覚めるんだ
昨晩響いてた聞き覚えある甲高い声は
君の遠吠えかそれとも泣き声か
今日もキミは日常を過ごす

喜劇の中に溺れていたのは夏の記憶か幻か
あなたが愛したあの物語にまとわりつく
金木犀の匂い
偽りが生み出した 正義と悪の間で
あなたはまだもがいている
優しさが邪魔をして 余計に足した一言
丁寧に指先まで力と願いを込めたのに

綺麗なおべべを着て赤い紅をつけた君が
嬉しそうに歩いていた 結局世界は2面性で
まだ 疑念として残ってる
あの時のあなたの言葉
まだ 消えずに残ってる
あの時ついた腕の傷跡
喉に使えて飲み込めないでいる
この気持ちをなんと呼ぶか知るにはまだ若すぎた

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