총대と총대[총때]の話

총대という語彙

北朝鮮音楽の歌詞には時折「총대」という語彙が登場する。

웨친다 변심을 모르는 혁명의 총대

《혁명무력은 원수님 령도만 받든다 | 革命武力は元帥様の領導のみを戴く》より

붉은기 추켜들고 진격해간다 총대를 앞세우고 돌격해간다

《공격전이다 | 攻撃戦だ》より

세상에 제일 좋은 우리의 사회주의 총대로 지킨다고

《이 땅의 주인들은 말하네 | この地の主人たちは語る》より

선군의 청대우에 천만이 굳게 뭉친 우리 힘 무한타

《더 높이 더 빨리 | より高く、より速く》より

YouTube等で投稿されている動画では漢字語の「銃隊」と和訳されている事が多いが、実は違うのでは?と私は考えている。

というのも、もしこれが漢字語ならば대が有声化して「チョン」のように発音されるはず(령도<領導>が「リョン」になるのと同じ)だが、歌では明らかに濃音化して[총]と発音されているからである。
……といいつつも、歌なので規範通りになるとは思えないし何とも言えないが。

辞書で語義を見てみる

ひとまず、いつもの『朝鮮語大辞典』で確認してみよう。
実はこの「총대」という単語、かなり同音異義語が多いのだ。

語義を見ていこう。

총대(1)
発音: [-때]
品詞: [名]
①«国力も총대から出来た民族的自負心も총대からなります。軍隊が強ければこそ民族が富興し、国も隆盛繁栄します。총대を抜きにした自主性はあり得ません。» 金日成
«武器(1)»または«武力(1)»を一般的にいう言葉。
例: ~で政権が出来る。
②«歩銃(1)»や«歩銃の銃身部分»を別にいう言葉。
例: ~を砕き、ひねりつぶして怨讐の火点を睨みつける戦士たちの胸には憎悪の火の手が活火山のように燃え上がっていた。
③«銃(3)»を一般的にいう言葉。
例: ~を握り祖国保衛の哨所に立つ。

朝鮮語大辞典より

총대(2)
品詞: [名]
銃を使う人達で組織された隊伍。

朝鮮語大辞典より

ちなみに、別の朝鮮語大辞典では총대は「銃대」と表記されているものもある。

朝鮮語大辞典(朝鮮の今日)より

さて、濃音化する方の총대にある金日成の言葉は『世紀とともに』23章 2. 革命家 金策 からの引用で、これは公式の日本語訳があるのでそれも掲載しておこう。

国力もから生まれ、民族的自負もから生まれます。軍隊が強ければこそ民族が興隆し、国も繁栄するのです。を抜きにした自主性はありえません。

わが民族同士の動画より(該当箇所は18:55~19:08)

掲載したサイトは少し読み込みが遅いのでなかなか閲覧することができないだろうが、該当箇所を見ると明らかに총대を[총때]と発音している。

公式の訳文を採用するなら、총대[-때]は「銃」という意味(朝鮮語大辞典の語義③)になるが、金日成の言葉を①に持ってきている事を考えると、基本的な意味はやはり「武器や武力を一般にいう言葉」なのだろう。

ということで、총대[-때]は「銃隊」というよりももっと単純に「武器・武力」という訳にしたほうが合うのではないか?というちょっとした記事でした。

余談

ちなみに、南にも「총대」という言葉は存在している。もちろん총대も총대[-때]も両方。ただ、총대[-때]の方は北の辞書の②に近い、「銃床」という意味しかないようだ。

총대 (銃대)
[名詞]
じゅうしょう【銃床】

Naver 韓日辞書より

銃-(총대) : 말 그대로 무기인 전체를 얘기한다. 대체로 긴 물건에 ~대의 표현이 붙는 한국식 표현법과 총이 결합한 것.
文字通り武器である銃全体のこと。だいたい長いものに -대の表現が付く韓国式表現法が銃と合わさったもの。

namu.wikiより(内心、「ホンマかぁ?」と思っているが)

どちらかといえば基本的な意味は「銃床」や「銃そのもの」のことだが、北ではそれを「武器・武力全般」を指すように意味が拡大されているのだろうか?

あとがき(ふとしたつぶやきも兼ねて。)

そういえば拳銃が贈られている場面を朝鮮中央テレビかどこかで見たことがある。

2020年7月27日付 朝鮮中央通信より
2020年7月27日付 朝鮮中央通信より

この拳銃は「白頭山」といって、チェコの拳銃のコピー品なのだそうだ。
将校への贈答品として用いられることが多いらしく、実際、上の画像は祖国解放戦争(朝鮮戦争)勝利(と自称して)67年を記念した「白頭山」が共和国武力主要指揮メンバーに贈られたときのものである。(多分映像で見たのは朝鮮中央テレビの『偉大な領導 不敗の歴史』などの金正恩委員長のドキュメンタリー番組だろう。イマイチ覚えてないが。)

追記(2023/6/24)

1992年の『朝鮮語大辞典』で「총대」を調べてみたら、驚いたことに「歩銃やその銃床部分」の意味しかなかった。「武器全般」という意味は、割と最近にできたものなのだろうか?

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