見出し画像

神経系②-2 末梢神経~脊髄神経~

前回は、末梢神経の概要と脳神経をやったので

今回は、脊髄神経の走行について確認していく。

脊髄神経

脊髄Nは、椎間孔から出て
前枝と後枝に分かれる。
前肢は後枝よりてめちゃ太い。
つまり、カバーしてる範囲が広い。

中枢Nからの末梢N
~馬尾の部分、黄色って見づらいよね~

脊椎から左右31対あり、それぞれが担当する
区域(分節)がある。

頚神経×8対:後頭部~上肢
(C1~8)C=Cervical
胸神経×12対:胸腹部、上背部
(T1~12)T=Thoracic
腰神経×5対:腰部~下肢
(L1~5)L=Lumbar 
仙骨神経×5対:会陰部~下肢
(S1~5)S=Sacral
尾骨神経×1対
(Co1)Co=Coccyx
頸・腰・仙骨神経は、神経叢をつくる。
神経が枝分かれしたり合流したりして
くさむら(叢)みたいなのでこの名前。
神経叢以降では、分節が違う神経同士が
セットになっている。
Ex.)正中N=C5~T1のセット
  大腿N=L2~4のセット

脊髄Nは、皮膚・筋・内臓など体中に分布しているが、自律神経はそのうちまとめるので、
ここからは、
・ミオトームとデルマトーム
・神経叢以降の筋枝・皮枝
の支配領域についてみていきたい。

ミオトームとデルマトーム

諸説ありすぎて微妙な部分もあるが、
体幹のここ!ていうポイントのデルマトーム
と上肢・下肢の代表的なところを覚えておけば
良いと思っている。

ざっくり分節
~体幹のデルマトームは昇順なので、だいたいこの辺かな?くらいでいける~

【体幹のデルマトーム】
乳頭ライン:T4
剣状突起ライン:T7
ライン:T10
鼠径部ライン:L1
会陰部S3
肛門部S5
※S3・S5については、
 出産後に痔になりやすい悲しみを思い浮かべ
 ながら、前と後ろを順番に押さえつつ
 「産後」と唱えると、一発で覚えられる。

【上肢】
ここからは、上肢のミオトームとデルマトームを確認する。
※葱的ポイント※
・ミオトームはC6とC7が上から
 前後交互に並んでいる。
・デルマトームは肩から時計回りで
 C7が中指


上肢のミオトーム&デルマトーム

ミオトームは息抜きがてら体動かしつつやるのも良いかと…
その動きができなかったらそこの神経根がやれれてるのかな?と思える。
C5:三角筋上腕二頭筋
  
(腕上げて肘曲げる)
C6:上腕二頭筋腕橈骨筋・手関節伸筋
  (肘まげて手首そらす)
C7:上腕三頭筋・手関節屈筋
  (肘伸ばして手首曲げて指伸ばす)
   ↑はりきってやると手首痛めるので注意
C8:手指屈筋(手を握る)
T1:手指外転筋(手を広げる)
※腱反射を見るとき上腕二頭筋腱だけでは、
 C5かC6かわからんので注意

デルマトームは肩から末端、末端から脇の流れで
C5→6→7→8→T1→2
となっている。
※すごく仲の良い友達同士でお互い中指
 立てながら「C7」と言い合うと一発で
 覚えられる。
 ㊟友達がいないからといって、
  通りすがりの人にむかってしないこと。


【下肢】
ここからは、下肢のミオトームデルマトームを確認する。
※葱的ポイント※
・ミオトームのLとSは拮抗筋
・L4は足首L5は足趾
・デルマトームは内から順に4・5・1

下肢のミオトーム&デルマトーム

てなわけで、ミオトーム。
L4:大腿四頭筋・前脛骨筋
L5足趾伸筋
S1:長短腓骨筋・下腿三頭筋
膝蓋腱反射=L4
アキレス腱反射=S1

デルマトームは
鼠径部のラインから放射状に
後面まで広がる感じで
L2→3→4→5→S1→S2
となっている気がするが、
ヘルニアとかすべり症とかでやられやすい
L4~S1くらいを覚えとけばいいんじゃないかと…

脊髄損傷

脊髄分節にちなんで押さえておきたいのが、脊髄損傷。
筋肉を支配している脊髄の高位が分かれば、どこを損傷すると何ができて何ができないのか想像できる。
脊髄損傷では、やられた高さより下の機能はすべて障害されるので、リハビリの目標地点を決めるためにも、障害高位を知ることは大事。
Ex.)C5レベル(C5は無事)
・肩を動かしたり腕を軽く曲げられる(三角筋〇上腕二頭筋△)けど
・腕をぐっと伸ばしたり(上腕三頭筋✕)
・手首や指先の細かい動きはできない(手関節動かす筋✕指動かす筋✕)
なので、
・プッシュアップして体勢かえたりはできないけど、
・自助具と使うと自力で食事はできる。
といった感じ。

損傷レベルとできること・できないこと
~BFOはごはん食べるなら上からつるすタイプ描けば良かったな…と後から思ったけどまぁ許して~

※ 脊髄損傷や脳卒中のような中枢神経の損傷では
  最初はショックで弛緩性麻痺(筋トーヌス↓)がおこるが、
  最終に痙性麻痺(筋トーヌス↑)がおこる。
※ 末梢神経の損傷では、ずっと弛緩性麻痺
中枢神経損傷で痙縮がおこるのには、
筋収縮に関係する受容体の異常や中枢ー末梢間の介在ニューロンの異常など
がかかわってるらしいが、長くなりそうなのでここではさっくり
・中枢神経は運動を制御しているので、したくないのに収縮。
・末梢神経は運動の命令を伝えるので、収縮したくてもできない。
くらいにして、次回伝導路のあたりで少し詳しめに見ていきたい。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sobim/42/4/42_199/_pdf

ちなみに、脊髄についてはこちらを参照↓


上半身

ざっくりわけると上半身は
・頭頚部は頚神経叢
・上肢は腕神経叢
・体幹は胸神経
が主に支配している。

頚神経叢 C1~4(5)

頚神経叢は、副Nや舌下Nと合流して
後頭部頸部を支配している。
顔面は脳N支配(三叉N

頚神経叢
~前枝皮枝はごちゃごちゃになる予感しかしなかったので書かないと決めた~

脊髄Nは前枝のほうが発達していて、
神経叢作ってるのも前枝だが、
C1、2後枝は割と太くてちゃんと
名前もある。
C1後頭下N(筋枝)
→後頭下筋群を支配
C2大後頭N(皮枝)
→後頭部の大部分を支配

前枝は、
~筋枝~
頚Nワナ C1~3
横隔N C3~5
~皮枝~
小後頭N C2
頚横N  C2・3
・大耳介N 
C2・3
鎖骨上N C3・4

腕神経叢 C5~T1

頚神経の後半は、上肢(上肢帯&自由上肢)
を支配している。
腕神経叢は、
上(C5+6)中(C7)下(C8+T1)
神経幹から始まって前後に分かれる。
前方は内側&外側神経束
後方は後神経神経束
となって、さらに枝分かれする。

前方の主要な枝は
筋皮神経 C5・6 
正中神経 C5~T1
・尺骨神経 C8・T1

後方の主要な枝は
腋窩神経 C5・6
橈骨神経 C5~T1
主な枝の走行や支配領域はこんな感じ。



こうしてみると、
筋肉(深めのところ)支配した後に
皮膚(浅めのところ)に出ていてくる
パターンが多いので、走行を覚えておけば
筋枝と皮枝でパニックになりにくい…はず。
Ex.)筋皮神経N:上腕の筋→前腕の皮膚
  尺骨N・正中N:前腕の筋→手の皮膚

※上背部や胸腹部は胸N(肋間神経・肋下神経)
 の支配だが、わざわざイラストつけるほど
 でもないので飛ばす。


下半身

ざっくり分けると下半身は
・下腹部&大腿前&下腿内を腰神経叢
・殿部陰部&大腿後&下腿前外後を仙骨神経叢
が支配している


腰神経叢 T12~L4

腰神経叢は一部胸N(肋下N)と合流して、
下腹部や大腿の前、下腿の内側を支配している。

主な枝は
腸骨下腹N T12.L1
腸骨鼠経N L1
陰部大腿N L1.2
外側大腿皮神経 L2.3
大腿N L2~4
閉鎖N L2~4

〜通る穴〜
筋裂孔:外側前腕皮Nと大腿N
血管裂孔:陰部大腿N(大腿枝)
鼠径管:陰部大腿N(陰部枝)
閉鎖孔:閉鎖N

腰神経叢ー下肢に向かう枝中心ー
~腸骨下腹Nとか鼠経Nとか大腿N以外の神経根は書いたらぐっちゃぐちゃになるので割愛~


仙骨神経叢 L4~S4

仙骨神経叢は一部腰N(L4、5)と合流して、
臀部や大腿後、下腿前・外・後・足部
を支配している。

主な枝は
上殿N L4~S1
下殿N L5~S2
後大腿皮N:S1〜3
坐骨N L4~S3
 (総腓骨N、浅腓骨N)

〜通る穴〜
梨状筋上孔:上殿N
梨状筋下孔:下殿N・後大腿皮N・坐骨N

仙骨神経叢
~おしり中心に書きすぎて表にめり込む悲劇~
ちょっと詳しめ下肢の皮枝
~総腓骨Nからの外側腓腹皮Nと脛骨Nからの内側腓腹皮Nが合流して腓腹Nになる。いったん分かれてまたくっつく…

どっちかの神経でカバーすることはできなかったのかという謎~

陰部神経叢 S2~S4

陰部Nは、仙骨神経叢に含まれるけど、
分けて呼ばれることもあるらしいので、
独立させてみた。
その名の通り陰部を支配している。

内陰部動脈といっしょに
梨状筋下孔から出ていって
小坐骨孔から戻って
アルコック管(陰部神経管)
経由で陰部向かっていく。
陰部N S2~4

陰部神経叢
~まぁ、名前のまんま下ネタエリアをカバー~

末梢神経の走行と障害

ここまで見てきたように、
各神経ごとに担当の領域があって、そこに届く
までにちぎれたり圧迫されたりすると、
特定の領域で知覚異常や筋力低下・反射減弱が起こる。
脊髄から神経抜けちゃったり、ちぎれちゃった
場合は、手術だし、
ちぎれる手前(外周は無事で軸索×)なら、
自然に治るのを待つばかり・・・
でも、硬くなった筋肉に圧迫されてるなら、
鍼治療で緩めると楽になることもあるので、
神経がどこを通っているか知っておくのは
とっても大事。
(近くを通ってる太い血管なんかも合わせて
 知っておくと事故のリスクを減らせてGOOD)

神経が絞扼(圧迫)されやすいポイント

てことで、神経障害の原因はどのへんにあるか、見当つけられるように、よく聞く末梢神経の絞扼性障害をチェック。
主要な神経の絞扼症状と症候群の名前を覚えなきゃなのだが、走行と筋枝・皮枝が分かってていれば、特殊な名前だけ暗記すればOK。

【上肢】
前述のとおり、上肢=C5~T1・腕神経叢

上肢の絞扼・圧迫ポイント
~ハネムーンsynd.は腕枕で起こりがちってことでこの名前だが、ソロでも普通に起こるので寝相に注意~

腕神経叢がまとめて出ていく胸郭付近の絞扼で
「胸郭出口synd.」になる。
上肢のどこかしらに症状(知覚異常、筋力低下、腱反射減弱)が出る。
テストしてみると、どこが原因かなんとなく推測できる。
アレン・アドソン・モーレーテスト
 →斜角筋synd.

エデンテスト →肋鎖synd.
ライトテスト →小胸筋synd.
※神経根がやられてないか確認するため
 ジャクソン・スパーリングテスト
 あたりも併せて行うとGOOD。

無事出口をとおりぬけたとしても、
まだやられがちポイントあり。
神経ごとに絞扼(圧迫)されやすいポイント・テスト・代表的な症状を合わせて確認。

〖正中N〗
ポイント:円回内筋手根管
テスト:ティアドロップテスト
    ファーレンテスト
   ※ファーレンは手根管synd.で(+)
症状:猿手・手掌橈側の知覚異常

〖尺骨N〗
ポイント:肘部管ギヨン管
テスト:フローマンテスト
症状:鷲手・手尺側の知覚異常

〖橈骨N〗
ポイント:上腕部(ハネムーンsynd.)・回外筋
テスト:手関節背屈✕
    指伸展✕
症状:下垂手)・手背橈側の知覚異常
※回外筋(フローゼのアーケード)とおりぬけていく後骨間N(橈骨N深枝・運動N)がやられると指伸ばせなくなるけど、手首背屈できて知覚も無事。

【下肢】
続いて下肢。
下肢=T12~S4・腰神経叢・仙骨神経叢

下肢の絞扼・圧迫ポイント
~腓骨N麻痺のシンドローム名が見つけられなかった…知ってる人いたら教えて…~

では、神経ごとの絞扼(圧迫)されやすいポイント・テスト・代表的な症状を確認。

〖大腿N(伏在N)〗
ポイント:ハンター管(内転筋管)
テスト・症状:下腿内側の知覚異常
※伏在Nは皮枝なので筋力は無事。

〖坐骨N〗
ポイント:梨状筋
テスト:K-ボンネットテスト
症状:総腓骨&脛骨N絞扼症状の合わせ技

〖坐骨N(総腓骨N)〗
ポイント:腓骨頭周辺
テスト:足関節背屈✕
症状:下垂足・下腿外側・足背の知覚異常

〖坐骨N(脛骨N)〗
ポイント:足根管
テスト:足趾屈曲✕
症状:足趾筋力↓・足底の知覚異常
※もっと上の方で脛骨Nがやられたら
 足関節の底屈できなくなって鈎足になる


そろそろ「長いな( ^ω^)・・・」と思い始めたので終了。
次回は感覚と運動の伝導路!

~余談~
ここしばらく体調崩して転職したり、軽トラに轢かれて入院したりでバタついていたが、また少しずつnote再開しようと思う。
つっても仕事休みの日にだらだらやるので更新は「遅いな( ^ω^)・・・」ってなる予定。

ここから先は

0字

この記事は現在販売されていません

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?