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現代医学の基礎①

このあたりは丸暗記しようと思ってしまいがちだが、ここを押さえておくと、各器官の働きや疾患、病理などを理解するときに役立つので、ある程度知っておくほうが身のため。

ということで、今回からは
細胞と組織について
・細胞の構成
・細胞分裂の周期
・染色体と遺伝子発現
・組織の発生と分類
・各組織の特徴
についてまとめつつ、
器官の働きや疾患(主に癌)
にも触れてみる。

細胞

私たちの体は、体重1kgあたり1兆個くらいの細胞でできている。
細胞にはいろんな形態や機能のものがあるが、
まずは細胞の基本的な構造や機能を見ていく。

細胞の構造と膜輸送

細胞は
外側は細胞膜に囲まれていて
中身は細胞質が詰まっている。
細胞膜を介して細胞外と物質をやり取りしつつ
恒常性(ホメオスタシス)を維持している。

細胞膜はリン脂質二重層になっていて
外側は水になじみやすい親水性
内側は脂質になじみやすい疎水性
脂質の膜だけだと鉄壁過ぎるので
物質を輸送するタンパク質がはまっている。
細胞外液に触れながら、必要なものだけ通す、とっても理にかなった構造。

細胞と膜輸送

細胞膜での物質の出し入れ方法は、
大きく分けて受動輸送能動輸送の二つ。

【受動輸送】
濃度勾配にお任せするタイプ。
①膜をそのまま通過する単純拡散
(O2・CO2・脂質)
②輸送たんぱくを通る促通(促進)拡散
(糖、アミノ酸)
がある。

【能動輸送】
エネルギーを使うタイプ。
①細胞内の電荷を保つイオンポンプ
②重要な栄養素を吸収する輸送たんぱく
③異物を細胞内に取り込む食作用
がある。
小腸や腎臓でナトリウムやグルコースが
ガンガン吸収されるのは②のおかげ
ちなみに、小腸では、
フルクトースを受動輸送②
グルコースを能動輸送②
で取り込んでいる。

細胞小器官

細胞質の中には
遺伝情報が詰まった核や
細胞の働きを助ける細胞小器官たちがいる。

核&細胞小器官

【核】
ところどころに孔が開いた
二重の核膜に覆われていて
中には染色質クロマチン)や
核小体(RNA作ってる)がある。

DNAとかRNAって何?って思った時のための
ー用語メモー
ヌクレオチド=塩基+糖+リン酸
核酸=ヌクレオチドの鎖
DNA:2本のらせん構造の核酸
   塩基はA・T・G・C
    (アデニン・チミン・グアニン・シトシン)
   糖はデオキシリボース 
RNA:1本の核酸
   塩基はA・U・G・C
    (アデニン・ウラシル・グアニン・シトシン)
   糖はリボース
染色質:DNAとタンパク質が結合したもの

【細胞小器官】
細胞質にいる細胞小器官たちを紹介。
ミトコンドリア:エネルギー(ATP)を作る
リボソーム:タンパク質を作る
祖面小胞体:リボソームの活動の場
ゴルジ体: タンパク質を加工、分泌する
滑面小胞体:筋ーカルシウム貯蔵
      肝臓ーグリコーゲン合成
      副腎・性腺ーステロイドホルモン合成
中心小体:細胞分裂のサポート
リソソーム:いらないものを加水分解する。

~タンパク質を作る。とは~
遺伝情報はDNAの塩基配列によって
暗号化されている。
mRNAが転写してリボソームへ情報を伝え
tRNAが運んできたアミノ酸を
rRNAが暗号に従ってつなげて(翻訳
タンパク質を合成する(遺伝子発現
本社(核)にある設計図(DNA)を
伝達係(mRNA)がコピーして
生産工場(リボソーム)へ運び、
運送会社(tRNA)から受け取った
部品を使って商品の製造を行う感じ。

遺伝子発現
~翻訳が必要なくらい字が汚い~


細胞周期

細胞は成長し、分裂してその数を増やす。
G1期:細胞が成長
S期:DNAの複製
 (分裂に備えてDNAを二倍量にしておく)
G2期:細胞小器官を形成
M期:細胞が分裂
という流れの繰り返し。
SがいないとMが成り立たないという話。
M期はさらに
前期:染色体ができて核膜消える
   中心小体が両サイドでスタンバイ
中期:染色体が赤道面に並ぶ
後期:染色体が中心小体に引っ張られ
   両サイドへ
終期:細胞が2つに分裂する
に分けられる。

細胞周期

染色体

染色体はクロマチンが凝集したもので遺伝情報をもっている。
染色体には
22対の常染色体
1対の性染色体(㊛XX㊚XY)
46本ある。
この46本はお母さん由来お父さん由来
が半分ずつくっついたもの。
つまり、卵子と精子は通常の細胞の
半分量の遺伝情報(23本の染色体)
を持った状態になるように減数分裂している。

組織

同じ性質を持つ細胞の集まりが組織となり、
組織が集まって器官(消化器とか泌尿器とか)となる。

細胞の分化と組織の発生

1個の受精卵が分裂を繰り返して
たくさんの細胞ができていく。
その中で、細胞は特定の性質(極性)
を持つようになる(分化する)。

離れた場所でオリジナリティを発揮されると
収拾がつかなくなるので、
どのあたりの細胞がどんな機能を持つように
なるかはあらかじめ決められている。
各組織は内胚葉中胚葉外胚葉に由来する

【内胚葉~】
 体の内にあるけど外とつながってる系
 とその付属器官
呼吸器消化器膀胱・甲状腺
 ※甲状腺はもともと外分泌線だったらしい

【中胚葉~】
 体の中にある系
結合組織循環器
   腎臓副腎皮質・生殖器系

【外胚葉~】
 体の外に近いあたり&神経系
 (表皮感覚器(眼・鼻・口)
   &神経下垂体副腎髄質
 ※下垂体後葉や副腎髄質は
   神経直通なので関連付けて覚える
といった感じ。

胚葉くん
~とりあえず、内と外を覚えとけば何とかなる~


組織の分類

組織は大きく
上皮組織結合組織筋組織神経組織
に分けられる。

【上皮組織】
 ・基底膜上で細胞同士がくっついて並び
 ・表面を保護したり分泌・吸収したりする

【結合組織】
 ・細胞間質の中に細胞がちらほらいて
 ・器官の隙間を埋めてサポートする

【筋組織】
 ・骨格筋・心筋・平滑筋の3パターンあって
 ・収縮弛緩して体や内臓を動かす

【神経組織】
 ・細胞体から送受信用のコード
      (軸索・樹状突起)が伸び
 ・周辺には↑を助ける支持細胞がいて
 ・情報を伝達する
といった特徴がある。
(各組織の詳細は次回以降にまわす。)

組織の種類


~いわゆる癌について~

癌って、正確にいえば上皮性の悪性腫瘍のことなので、世間で言われている血液の癌とか骨の癌とかはとっても不思議な言葉…

というのははさておき、
ここでは腫瘍細胞と正常な細胞との
違いを見ていきたい。

正常な細胞は、ここまで見てきたような
構造や機能があり、ルールに従って
(他律的に)増殖しているが、
悪性腫瘍の細胞はルール無視して
(自律的に)めちゃ増える。
特徴としては、 
・核がでかかったり
 (N/C比↑ N=核 C=細胞質)
 ・染色質がめちゃ増えたり
 (クロマチン↑
 ・染色体の数や形がおかしかったり
 (異倍数性標的染色体
 ・結果変な形してたり
 (異型性高い
 ・あんま分化できてなくて
  特有の機能が少なかったり
 (分化度低い未分化極性を欠く
といった感じ。

良性&悪性腫瘍の特徴
~この表だけ見ると意味わからんけど、正常な細胞の話が分かってるとなんとなく「へぇー」ってなる~

悪性のものは極性を欠くといっても、
どこ由来かによって増え方や活動に
傾向はある。
上皮性のものは、上皮組織同様細胞同士が
くっついている(蜂窩状)とか
腺細胞由来だと無駄に粘液を分泌してみたり
とか・・・

細胞の由来と腫瘍の特徴

腫瘍の話までしてたらバリ長くなったので、
また次回(^_^)/~

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