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みちくさのしおり

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いただいた本や、仕事のために読んだ本、学生に勧めたい本を備忘のためにまとめています。
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記事一覧

『読んで観て聴く 近代日本の仏教文化』

いただきもの。 日本の近代仏教研究が活発なのは、いまさらいうまでもない近年の研究トレンド…

negadaikon
3週間前
8

好きなマンガのはなし

とにかく更新せねば、などと思って過去最高にゆるい回になってしまいました…。これまで読んで…

negadaikon
1か月前
1

出版と平和

魚住昭『出版と権力』は、連載をもとにした講談社・野間家についてのノンフィクション。戦前期…

negadaikon
2年前

谷口功一『立法者・性・文明』

白水社刊行の論文集。著者よりお送りいただいた。 昨年は、父親の病気や介護のこともあり、ほ…

negadaikon
3か月前
10

R.ダーントン『検閲官のお仕事』

ロバート・ダーントン [著]ほか. 検閲官のお仕事, みすず書房, 2023.12. 978-4-622-09663-4. h…

negadaikon
3か月前
7

エイコ・マルコ・シナワ著『悪党・ヤクザ・ナショナリスト』

原著2008年の本の邦訳(藤田美菜子訳)。大学の演習の輪読テキストとして読んだ。 演習参加者…

negadaikon
4か月前
3

『葬送のフリーレン』を読んで

11月、シンガーソングライターのKANさんの訃報に衝撃を受け放心していた翌週、父親が他界した。 そのことをゆっくりと受け止める暇もないまま、バタバタと喪中ハガキを出し、仕事に行き、遺影の前にチョコレートパイを備えたりしながら、それでも父がもういないことへの違和感も上手く言葉にできずにこの頃を過ごしている。時折、背後からするどく突き刺すように悲しみが襲ってくるのに今も戸惑う。 そんなタイミングの前後で、流行の漫画を手に取っていた。 山田鐘人原作・アベツカサ作画『葬送のフリー

古内一絵『百年の子』を読んで

小学館の学年別雑誌をモデルにした100年分の出版史小説です。 図書館や出版、雑誌の歴史に…

negadaikon
6か月前

有山輝雄『近代日本メディア史』Ⅰ・Ⅱ

メディア史研究者待望の書。 私が2023年夏に読んで最も勉強になった本でもある。 1990年代以降…

negadaikon
6か月前
6

書評と紹介 杉山亮『井上哲次郎と「国体」の光芒』

白水社より刊行された本の書評です。 『日本史学集録』第44号(2023年7月)に載せてもらいま…

negadaikon
8か月前
2

佐藤卓己『池崎忠孝の明暗』

佐藤先生と研究室の方々による評伝シリーズの第1冊。 池崎忠孝という人物が私にとってどうし…

negadaikon
8か月前
7

プロの「技」を受け継ぐ若者が出て来る小説2つ

若い人が専門的な技能を受け継ぐ小説2作品を読んだ感想です。たまたま似たような時期に聞いて…

negadaikon
8か月前
1

中島京子『小さいおうち』

中島京子『小さいおうち』(文春文庫)を読んだ。 『夢見る帝国図書館』を読んだ後、気にはな…

negadaikon
10か月前
6

濱野靖一郎『「天下の大勢」の政治思想史』

昨年の夏頃にいただいていたのだが、すっかりご紹介が遅れてしまった。 頼山陽を専門とされる濱野さんが博論以後の課題を射程を広げて書かれたもの。 松平定信のイクメンとも言える子育て指南など、ニヤリとしてしまう指摘も見られる。 礼とリクルートスーツや制服の話など、濱野さんが学生や生徒と向き合うなかで工夫して編み出されたのであろう比喩もおもしろい。 後半では、木戸や伊藤博文ら、山陽の著作に親しんだ者たちの構想が述べられていて、こちらも興味深い。 個人的には、近代日本の思想史に