見出し画像

読み古した本に会いに行けば心のふるさとを取り戻せる

 気がめいっているとき、何をしてやり過ごしたり対処するだろうか。各々色んな方法があるだろうが、僕の方法のひとつは読書だ。それも「読み古した本に会いに行く」読書である。


1.気がめいったら会いに行くあいつら


 非常に気がめいっている。最近の僕のことだ。公私ともに参ることが多い。

 個別に見ていくと大したことないものでも、気持ちが弱っているときに出くわすといつもよりもうんとダメージをくらう。自分のなすことすべてに自信がなくなるし、アイデンティティが揺らいでいる。

 こう書くと超絶非常事態に聞こえてしまうが、そこまでではないと自分では思っている。本当に大変なときは、身体がまったく動かず朝からずっと起きられない。そのときと比べたら生活できているのでいくぶんかマシだ。

 とはいえ日常をのびのび過ごせているわけではない。胸のつっかえはずっと取れないし、ほぼ治ったはずの逆流性食道炎が出てくる頻度がまた増えた。不安や怖さで頭がいっぱいになり、いつものように行動しにくくなる。動くのがおっくうだ。

 でも生活はできているのでセーフ。健全な生活を送るときと比べたら、屍のような日々かもしれないが。

 自分と同じような状態か分からないが、似たようなことにおちいる人はいるだろうか。どのように対処しているだろうか。すっぽり布団をかぶって寝たり、美味しいものをたらふく食べたり、各々の解決策を持っているはずだ。

 では自分は何をするか。この日の僕は、読み古した本たちに会いに行くことにした。

2.読書で心のふるさとを取り戻す


 読み古した本というのは、自分が感銘をうけて何度も何度も読んだ本のことだ。

 一度読んだ本は二度と読まない人もいるそうだが、僕は気に入った本は何度も読む。読んだ時期によって気になる箇所が違ったり、大事だと思っていたのに忘れていたことを思い出したりするからだ。

 困ったり辛いときはお気に入り本のストックの中から、今の状況にあった本を選んで読むことにしている。

 今の自分がもやーっと不安に感じていることに合った本を7冊ほど机に積み上げ順番に読んでみた。じっくり読まなくていい。自動人形のようにペラペラめくるだけだ。それだけでも内容を思い出したり、気になる箇所は目に入る。

 なぜなら何度も読んだことがあるので、ページをめくりさえすれば頭の片隅はかつて読んで記憶を呼び覚ましてくれるからだ。何度も読んでいるからこそ体力がそこまで必要ではなく、弱っているときでも僕は読みやすい。

 気になったり、今感銘を受けたこと、本を読んでやってみたいことは、ノートに箇条書きでひたすらメモをする。なんでもいい。「なんか今の自分には光になるかもしれないぞ」と思える箇所に出会ったら確実にメモだ。

 一冊終えると少し心がスーッとしてくる。ただページをめくっているように見えて、頭はちゃんと一冊読んでいるように感じているのだ。

 本を読み切ったときの感覚は清涼剤だ。ましてや面白かった本はなおさらである。何度も読んでいる本は、その清涼剤感覚を確実に味わうことができるでおすすめだ。

 読み返すと、以前感銘を受けた内容や言葉を忘れている自分がいたことに気がつく。

 改めて感銘を受けることもあれば、自分にとって大事なものを忘れていた気持ちになることもある。初めて読んだあのときはこういう思いで生きていこうと思ったのに……と。本を何度も読むというのはそれを思い出す旅でもあるのだ。

 そういった本はなんとなく懐かしい味がしてこないだろうか。実家の味なのか、ふるさとの味なのか、はたまた別の味なのかは分からない。だが自分の心のふるさとを思い出させるような味わいがあるはずだ。

3.軸をもち思いのたけを書き散らせ


 本を読み終えたらいったんノートに書いた箇条書きを読み返してみる。その後は自由だ。本の感想を書き連ねてもいいし、例えば本に書いてあったワークをやってみてもいい。

 僕は本から派生して「自分が感じているコンプレックスは何があって、どう悪さしているのか?」や「自分の好きなことや欲って改めて何だろう?」などといったことを書き連ねていった。

 え、結局書いたらスッキリするってことじゃん。そう思う人もいるだろう。でも僕はその前に読書をすることが大事だと考えている。読み古した本とまた会うことで心のふるさと、自分が大事に感じていることを思い出し軸が定まる。その上で思いを書き散らすからこそ意味があるのだ。

 僕にとって本は原点に帰ってこれるものだ。今回もこの数年かけて僕が自分を見失っていたのではないかという結論にたどり着いた。

 気が参る状況は続いているので、胸のつっかえやえずきはまだなくならない。それでも、前よりはなんとか人生をやっていけそうな気がする。

 できればこういう機会は定期的にしておいた方が心のメンテナンスにつながりそうだ。問題は調子のいいときほど、新しい本にばかり目がいき、昔なじみの本のことを忘れてしまうところだが。

4.会いに行った本たち

 今回読んだ本の一部を紹介する。もし状況が違えば小説やマンガが入っている可能性もあったはずだ。

若林正恭『ナナメの夕暮れ』

佐久間宣行『佐久間宣行のずるい仕事術』

楠木建『好きなようにしてください』

楠木建『絶対悲観主義』

佐藤満春『スターにはなれませんでしたが』

本の購入費に使わせていただきます。読書で得た知識や気づきをまたnoteに還元していきます!サポートよろしくお願いいたします。